17日に12月議会がおわりました。
私は12日に一般質問をおこない、「子どもたちが育つ教育環境の維持管理、改修、更新について」として、老朽化が深刻な事態になっている安岡小学校をはじめ市内の校舎の設備更新について質問をおこないました。
遅くなりましたが、以下、質疑要旨の文字起こしを掲載しご報告といたします。傍聴に足を運んで下さったり、中継を見ていただいたみなさま、ありがとうございました。

安岡小学校「2舎」は建て替えへ
本池 子どもたちが育つ教育環境の維持管理、改修、更新について質問する。今年2月議会でもこのテーマで質問したが、今、市内の多くの学校施設は「老朽化」を通り過ぎてとても「危険」な状態になっている。学校施設の維持管理については、学校施設長寿命化計画にもとづき大規模改修と予防保全をおこなっており、このほか緊急性の高いものは適宜「修繕」により対応している。そのほか、空調整備事業、トイレ快適化事業、LED化改修事業に加え、個別には、玄洋中学校区小中一貫校施設整備事業、安岡小学校校舎増築事業としてプレハブ校舎の建設が動いている。ただ、学校施設の危険な状況は全般として改善に向かっておらず、子どもたちが学ぶ環境が年月の経過とともにどんどん悪化し、先が見えない状況に置かれている。
教育委員会が9月末に委員会に提出した資料で、今年8月9日~12日にかけての大雨で雨漏りした学校は、64校中34校という信じがたい数になっている。この雨漏りも含め、どれほどの学校で雨漏りが起きているのか。
門田教育部長 冒頭、「とても危険な状態になっている」といわれたが、とても危険な状態があるのならぜひ申し出ていただき、早急に対応したいと思っているので、遠慮せずにすぐにいっていただきたい。
雨漏りの状況だが、令和6年度は117件。そのうち修繕が完了したものが110件だ。残り7件の内訳は、同様の不具合が生じていないため「経過観察」となっているものが4件、修繕対応中が1件、工事対応を検討中が2件となっている。令和7年8月の豪雨による雨漏りは36件で、修繕完了は17件。修繕が完了していない19件の内訳は、「経過観察」が10件、工事中が1件、工事対応を検討中が8件となっている。
本池 「危険な状態があるなら申し出ていただきたい」といわれたが、教育委員会は把握済みのはずだ。
今年の大雨でもっともひどい雨漏りが起きたのが安岡小学校だ。9月に宮野直樹議員が詳細についてはとりあげた。雨漏りのひどかったのが築71年の2舎だ【写真】。外壁の剥落だけでなく、剥がれたあとのコンクリート部分も劣化し、崩れているのがわかる。これが危険ではないというのか。


8月豪雨で大規模な雨漏りが発生した安岡小学校「2舎」の外と内の壁(10月)
雨漏りした屋上は、しばらくビニールシートで覆ってあったが、最近になって塗装がほどこされた。その内側もかなり傷んでおり、その結果、雨が校舎内に流れ、床板が浮き上がったり、雨漏りで子どもたちの教科書やピアニカが濡れて使いものにならなくなった。
この校舎は耐震補強もされておらず、コンクリートの圧縮強度が足りない「要調査」の校舎だが、今年7~9月に校舎耐力度調査を実施していることが9月の宮野議員の質問で明らかになった。基準点を下回れば「構造上危険な状態にある建物」として建て替えの対象になると説明しているが、結果はどうだったのか。
教育部長 安岡小学校の耐力度調査は、耐力度点数の満点が1万点であるのに対し、3764点となった。国庫補助における長寿命化改良事業の対象判断において、耐力度点数が4500点を下回る建物は長期間の使用に適さないとされている。今後、国の補助を活用し校舎の改築に向けて検討していく。
本池 基準点以下で長期間の使用には適さない、そして改築の対象になったということか。
教育部長 その通りだ。
本池 教育委員会として今後、2舎の建て替えを進めていくということでいいか。
教育部長 検討に入っていく。
本池 建て替えするかどうかの検討ではありませんよね。
教育部長 改築つまり建て替えるという形で検討していかなければならないという判断をしている。建て替えを今後どの規模で、どの時期に、どうやっていくのか検討していく。
子どもの命に関わる問題
本池 今後のスケジュールはどの程度まで決まっていて、どのように進めていくのか。
教育部長 現在のところ決まっていない。
本池 完成時期はいつごろを目指すのか。
教育部長 工事実施がまだ決まっていないので、完成時期についても未定だ。
本池 耐力度調査の結果で「長期間の使用には適さない」という結果が出ている。つまり構造上危険な状態にある。いつまでも待つことはできない。来年度には計画策定に着手するなど、なにもないのか?
教育部長 長寿命化の補助事業に乗るか乗らないかというのが一つの判断だ。たちまちこちらのものが危険だということではないと思うが、国の補助事業の長寿命化(大規模改修)に乗らないのであれば、別の方法をということで、建て替えの方向で考えている。学校の建て替えは限られた敷地のなかで授業をしながら工事をおこなっていくため、通常いろんな調整が入る。いつできるかスケジュールとしては持ち合わせていない
本池 長く使うことが適さないという結果が出ているのだから、何年も検討を長引かせることがないようにしてほしい。「建て替えが必要」という結論については、保護者・地域からは大変歓迎されると思う。子どもたちの学ぶ環境がやっと改善に向う道筋が見え安心した。校舎は非常に危険な状態になっており、悠長にしている時間はないので早急にやっていただきたい。
しかし一方で、そのような結論にたどりつくのは必然でもあるように思う。これほどまでに老朽化した学校をさらに長寿命化して使うという結論が出るなら、それはむしろ異常だ。今後、建て替えが進んでいくのは2舎だけか。安岡小は全体的に老朽化が進んでいる。今年の夏ごろにはもっとも新しい築43年の4舎の屋上部分が剥がれて落下する事態になっている。2舎の1棟だけでなく、残りの3棟や雨漏りしている体育館も含めて、安岡小の全体的な計画を考えていく必要があると思うが、検討するのは2舎だけか。
教育部長 建て替えについては2舎のみ。その他については、建て替え、長寿命化も含めた施設管理の計画のなかで優先順位をつけ判断していく。
本池 安岡小学校は今、教室不足が深刻だ。体育の授業のさいには男女が入れ替わって着替えないといけないとか、PTA室もないとか、1年生が2年生に上がるタイミングで5クラスから4クラスに編成されるので狭くてたまらないとか、特別支援学級が2つのクラスを1つの教室でやったり、通級が図書準備室を使ったりしている。これへの対応として、10年で3億円のプレハブ校舎を増築するのだと動き始めている。少人数教室、多目的室、放課後児童クラブなどの不足に対応するもので、改善する部分はあるが、普通教室が入っていないため教室不足の解消にはならないことが指摘されている。2舎を建て替えるとなると条件も変わってくると思うので、安岡小全体を考えた計画の検討が必要だと思うがどうか。
教育部長 建て替えにおいては、仮設、その後の使用方法も含めて、工事にともなう児童の影響も踏まえ検討もしていく。
本池 よくわからないが、安岡小全体を考えた計画の必要性について考えるのか。
教育部長 安岡小全体を新築にするという検討はない。
本池 全体を一気に新築してくださいといっているわけではなく、2舎の建て替えにともなって、教室不足や、他の校舎の老朽状況、体育館の雨漏りも踏まえて全体的な計画をつくらなければいけないのではないかと聞いている。
教育部長 2舎以外の校舎については現在のところ「使えるもの」と判断している。使えるものについては長寿命化計画のもとで長く使っていきたい。教室のあり方については、2舎を建てるときに教室のレイアウトであったり、不足している教室などの検討はする。
本池 もっとも新しい校舎の屋上が剥離し落下したことや、体育館の雨漏りも紹介したが、必要な改善を必要な時期にしなければ2舎と同じことが起きる。危険な状況を一刻も早く解決するために2舎の建て替えは早急にし、そのほかの不具合箇所や危険な場所についても解決のためにとりくむことを求める。
「要調査」の学校の現状
本池 こうした学校施設の老朽化は安岡小に限らない。安岡小2舎の建て替えの目途がたったことはいいが、逆に、市内の他の学校の危険な校舎は、安岡小2舎のような状況にまでならなければ建て替えが検討されないのか――という疑問が湧いてくる。雨漏りや屋上・外壁が落ちている校舎はたくさんあるが、子どもたちの教材が犠牲にならないと校舎の建て替えは検討されないのか。
築年数を見ると他の学校の校舎も安岡と似たり寄ったり。残念ながら、雨漏りは多くの学校で当たり前になっている。少しひどい雨になると管理職の先生がバケツを置いたり、たまった水を捨てるために走り回っておられる状況だ。
加えて、豊浦小や勝山小のように外壁が剥落してどんどんなくなっていったり、川中西小では窓が落下する危険性が生じて窓が固定された。また、多くの学校で窓が枠ごと固定され、片方は開けられない状態になっている。天井が傷んで落ちてきた中学校も複数ある。
教育関係者が「児童・生徒の犠牲が出ていないのが奇跡だ」と口にするほど今の学校現場の状態はひどい。もちろん工事で対応済みのものもあるが、応急的であったり、場当たり的といわれても仕方ない工事内容になっており、現状を安全・快適なレベルまで改善するところには至っていない。誰が考えても建て替えが必要なのに、安岡の2舎のような状態になるまでできないということにはならないか。
安岡小2舎と同じく、耐震性もなく躯体健全度調査でコンクリート強度が足りずに「要調査」となっている校舎がほかにもいくつかある。その校舎はどの学校に合計何棟あるか。加えて耐力度調査の実施の有無はどうか。
教育部長 文関小が2棟、清末小が1棟、誠意小が1棟。要調査の校舎に対する耐力度調査は大規模改修工事の実施前におこなう予定としていたので、現時点では安岡小以外ではおこなっていない。しかし、安岡小の耐力度調査結果を踏まえ、その他の要調査となっている校舎についてもできる限り速やかに調査をおこなっていきたい。
本池 長寿命化判定をおこなったのは平成18年~24年ごろだ。すでに10年以上、20年近くたっているのに、「要調査」にしたまま耐力度調査をおこなっていないということだ。「よりよい教育環境」以前に、生徒の命や安全をどのように考えているのかという問題だ。今回安岡で基準点以下になったが、そのほかの学校もわからない状態だ。耐力度調査はいつ実施するか。
教育部長 できるだけ速やかにおこなっていきたい。
本池 来年度にやるのであれば予算化に向けて動かなければならないがどうなっているか。
教育部長 予算編成のなかで判断される。
本池 命がかかわっているので早急にやってほしい。年数でいえば安岡小2舎より古い校舎も含んでいる。事実として、「健全ではない」という結果が出ている校舎に子どもたちを詰め込んで、その先を決めるための調査をいつまでもしていないのはおかしい。早急にやってほしい。
放置されている誠意小の現状
本池 安岡小と同じく、「要調査」の校舎を抱えている誠意小について聞く。誠意小は今年で150周年を迎え、現在153人の児童が通っている。築45年の「新校舎」、裏に「要調査」となっている築67年の「旧校舎」がある。新校舎では1~3階のすべての男子トイレで小便器の水が流れない。そもそも用を足したあとにその都度流す仕組みではなく定期的に上部のタンクから水が流れる「配タンク式」トイレだが、その水が流れない。だったらどうなるかわかると思う。なるべく臭いを抑えるために、毎朝、校長先生がジョーロに水を汲み、1日に何回も流しておられる。また、使う便器をローテーションしており、使ってはいけない便器には張り紙がしてある。この状況を教育委員会はご存じのはずだ。

誠意小学校の旧校舎のトイレと洋式便器
そして、築67年で「要調査」となっている旧校舎のトイレ【写真】だ。67年前の仕様なので電気が少なく全体的に薄暗い。女子トイレは、きれいに掃除されているが、ウェット式であり基本は和式。奥に一つ洋式便器がある【写真】が、まるでキャンプ場か海水浴場の仮設トイレのようだ。しかも、このトイレを日常的に使っているのは1年生と通級の子どもたち。木のパレットのようなもので高さを出してあるのはわかるが、これはあんまりだ。
校舎内部も雨漏りに加え、床板が剥がれているところをテープで補修してあったり、職員室の鍵が壊れたまま修理されず、輪ゴムで止めてある。防犯上もありえない状況だ。こうした状況についてはすべて教育委員会に報告が上がっていると思う。
こうしたことが長期間にわたって改善されない、危険個所すら手つかずという状況を見ていると、現在の整備事業がいったいどうなっているのかと思う。トイレの水が流れない状況を紹介したが、トイレ快適化事業の対象校に誠意小学校は入っているのか。
教育部長 対象校になっているが、現時点ではトイレ改修の時期は定まっていない。
本池 1~3階まで男子トイレの小便器はすべて水が流れないが、その状況はいつなおるのか。そのまま使っていくつもりなのか。
教育部長 現場を早急に確認させていただく。トイレ快適化事業は便器だけでなく、水の道(1階から3階までの配管を含めて)の敷設から変えていく事業で、これについては計画的にとりくんでいると思う。今後もそれぞれの学校の状況を聞きながら対応が必要なところについては急いで対応していきたい。
本池 旧校舎のトイレ【写真】だが、2月議会のさい当時の教育部長は、「平成30年には校舎の各フロアに1カ所以上の洋便器の整備を終えた」と答弁した。その洋便器がこれだろうか。1年生が使うものだ。「整備を終えた」といえるものではない。
誠意小学校は第3期適正規模・適正配置計画までは豊洋中学校に統合が計画されていたために長寿命化事業の対象にすら入っていない。統合がうち出されている学校は環境改善の見通しはないのだろうか。誠意小の改修はどのように進んでいくのか。
教育部長 誠意小は長寿命化計画の上位計画である第3期下関市立学校適正規模・適正配置計画において閉校予定となっていたため、大規模改修工事の計画は定めていなかった。今後は本年8月に定めた第4期下関市立学校適正規模・適正配置計画の整合を図るなど、長寿命化計画の見直しをおこなうなかで改修時期を検討していく。
本池 安岡も誠意も一つの事例であって、各学校それぞれが深刻な状況を抱えている。統合予定だからとか、児童数が少ないからとかで改善に向けて動き出さない状況があるのではないか。子どもたちの教育環境にとっての必要性よりも、「どうせ人口減少する」「児童が減る」などの大人の都合が優先され、後回しになってきたのが教育現場であると思う。
本池 市内のほとんどの学校で、改修を必要とする箇所が長期にわたって放置され、先生方や公務技師、学校支援課のみなさんのおかげでこれまで犠牲が出ずにきている。ここで、学校の改修がどこまで進んでいるのか質問する。まず、外壁や屋上防水について聞く。長寿命化計画では、対象施設254棟中、「5年以内に修繕が必要」のD判定が、「屋上・屋根」で105棟、「外壁」で104棟になっていた。どこまで進んだのか。
教育部長 大規模改修は菊川中学校の体育館の建て替え(令和4年度)、勝山中学校の校舎3棟(今年度完成予定)だ。予防保全は、令和4年度から今年度までに実施中のものも含め、外壁や屋根・屋上が4校4棟。トイレの大規模改修が15棟47フロアだ。
本池 屋根・屋上が105棟のうち何棟なのか。外壁が104棟のうち何棟進んだのか。