3月定例会の個人質問「学校体育施設開放の予約システム導入問題」についてのご報告。

 下関市議会3月定例会の来年度予算をめぐる個人質問(6日)で、昨年からスポーツ関係者のなかで大きな問題になっている学校体育施設の予約システム導入問題をとりあげました。スポーツ振興課は関係者の声は認識しつつも「問題ない」「今すぐ見直す必要はない」との見解を示しましたが、すでに起きている混乱を顧みることなくこのやり方を続けるなら市民の混乱は増すばかりではないかと思います。以下、個人質問の質疑要旨を紹介し、ご報告といたします。引き続き、皆様からのご意見をお待ちしております。

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本池 前田市長は施政方針のなかで「文化・スポーツの振興により交流の場を創出することで地域の活性化や交流人口の拡大を図る」とされ、その方針に沿って体育振興費1億4150万円、このうち社会体育振興育成業務には8192万円が計上されている。
 社会体育の振興と深くかかわって学校体育施設開放業務がある。この業務をめぐって下関市では現在、利用団体やスポーツ関係者から非常に厳しい怒りの声が上がっている。学校体育施設開放業務の事業内容とその目的を示してほしい。

田中観光スポーツ文化部長 下関市におけるスポーツ及びレクリエーションの振興のために、市立小・中学校の体育施設を学校教育に支障のない範囲内で広く市民に開放するものだ。

本池 学校開放をめぐっては、以前は各学校の利用団体でつくる体育推進運営委員会が受託しており、利用者は窓口である学校を経由して登録・利用申請をおこない年間の利用を決め、希望が重なったりしたときには話しあい、譲りあって利用がされてきた。これが業者による一括窓口に変わったのが令和6年度の利用分からで、来年度の利用分から予約システムによる予約と利用調整が始まっている【表①】。昨年12月に開いた説明会の参加者合計とどのような声が出たのか示してほしい。

田中部長 市内5カ所で利用団体やスポーツ関係団体等を対象に説明会を開催し、317団体、454人に参加いただいた。おもな意見としては、既存団体の活動を優先してほしい、備品や消耗品の管理をどうするのか、1カ月ごとの利用予約では活動の維持が懸念されるといった指摘がある一方、空き状況が明確化されることで活動場所を確保しやすくなったという意見もいただいている。

本池 私も1カ所に行ったが、かなりの意見が出ていた。その他の会場の様子も聞いたが、さらに激しかったようだ。その声を受けながらも2月1日には4月利用分の申請・予約【図②】が始まった。まず登録団体はいくつになったのか。

田中部長 4月分の抽選実施日である2月11日時点で登録団体数は485団体だ。

本池 2月11日の抽選結果通知で利用希望が叶った団体数とそうでない団体数は?

田中部長 485団体のうち428団体が申し込み、利用希望が1件も叶わなかった団体は23団体あった。

本池 1件でも当選した団体が残りの405団体だ。全体の申し込み件数と当選件数、落選件数を示してほしい。

田中部長 8223件の申し込みがあり、当選は7018件、落選は1205件。当選率は85・4%だった。

本池 市として一回目の抽選結果をどう評価しているか?

田中部長 相当の利用団体が希望する活動場所を確保できており、落選した団体も空き状況を見て継続的に予約している。システム導入前の活動状況と比較しても大きな差異は見受けられないので、概ね想定通りの結果であると考えている。

本池 私は1件も当選しなかった23団体がその後どうされているのか本当に心配している。そして405団体についても、複数件申請して1件でも落選すれば関係者がどんな苦労をされているかをご存じないから「概ね想定通り」といわれるのだと思う。予約システムの導入の話が浮上して以来現在まで関係者からたくさんの声をいただき、なかでもとくに重大だと思われる点について質問する。

一つ目は活動拠点が実質的に失われることによる活動の不安定さだ。たとえばどこかのチームに入って練習してみようとなったとき、「どこで、何曜日の何時から練習しているか」が一番大事な情報になる。でもそれがいえない状況だ。とくにスポ少やクラブチームはこの情報を募集チラシ等でも発信されている。それがあるから募集も申し込みもできる。「曜日が不確定では入れない」という声もあるし、指導者側の声としては、月謝をもらっているので「場所が確保できないために練習できない」は許されない。だからといって曜日や場所を変えることができるだろうか? 子どものいるチームだったら子どもたちの放課後や土日の過ごし方が大きく変わるし、送迎する保護者の予定にも影響が出てくる話だ。

指導者も仕事を持ちながら、子どもたちの成長に携わっていただいている。「場所」も「曜日」も社会体育に参加するための大事な条件だ。だからこそ関係者が必死に施設の確保に動いておられる。社会体育を支えて下さっているみなさんのことを想像しているだろうか? はっきりいえば、関係者になにをさせているのかという話だ。

 スケジュール【図②】を見ると、1カ月中会場が確保できるかどうかに追われ、すぐに次の月の予約が始まって、年がら年中、朝も夜も考え続けなければならない。この状況はスポーツ振興の観点から見てどうか。

田中部長 本業務においては利用団体の活動すべてに対し、特定の曜日や時間を毎回必ず担保することは難しいということをご理解いただきたい。そのうえで市民のだれもが身近にスポーツを親しめる環境を整え、さらに公平性を担保することはスポーツの振興につながると考えている。

本池 次に、システム導入のうたい文句であった公平性の質問だ。私自身、公平性といってこのようなシステムを強引に入れること自体に疑問を持つ立場だが、市がそういうからには本当に公平にするのか見なければならないと考えている。

市内中心部の競争率の高い学校では、地域のスポーツ団体の利用日である週2日を学校が非開放にしてしまって、他の団体が予約できる枠すらない状態になっていると聞いた。このことは認識しているか。しているのであればどのような対応をしているのか。

田中部長 当該事案は学校長が状況を踏まえて優先利用の取扱を判断して開放不可日とされているものであり、特段の対応はしていない。

本池 学校任せでなにもしていないといっているが、そういう対応が社会体育の振興になっていると考えるか。

田中部長 対応には問題がないと考えている。

本池 「公平」だと考えているのか?

田中部長 この状況であれば公平であると考えている。

本池 そのかかわりはどうかと思う。私は、スポーツを通じた交流や、人間関係の希薄化等をかかえる地域社会の再生、心身の健康の保持増進という視点からも、地域の方々の活動もまた大事だという立場だ。しかしそれはみんな同じだ。だからこそ譲りあって気持ちよく使わなければならない。そうした利用をしていく働きかけを社会体育を所管するスポーツ振興課はしなければならないはずだ。

スポーツの振興のためにさまざまな施策があるし、例えばこのたびの予算でも賞賜金など選手の活躍を称えるものも含まれている。そういう結果も日頃の活動あってのものではないか。もっといえば社会体育を支えて下さっている関係者のおかげだと思う。この学校で起きている事象に対し、一度でも学校や利用団体と膝をまじえて話をしているか? 教育委員会に話をしただろうか? していない。「学校が決めたこと」といって目の前の問題から逃げているだけではないだろうか。

その結果、練習場所からはじき出されるチームが出て、団体同士の対立が深まり、分断されて、学校や窓口には苦情が押し寄せている。終いには学校をどう抱きこむかみたいな話にならないだろうか。今の対応は学校を立てているように見えて実際は放り投げであり、学校関係者をどんどん苦しい立場にしている。

2年前、学校現場も社会体育の実情も無視して調整業務を市内一括で民間業者に放り投げたことで混乱が生じた。やり方を変えた背景には社会体育の窓口であった「教頭先生の負担軽減」があった。ここまできて、その達成度はどうか。

田中部長 学校体育施設開放業務を見直す契機になったのは、コロナ禍に施設利用の可否に関する電話連絡等が増加し、各学校の負担が過大となったことだ。業務を一括して民間事業者がおこなうことにより、学校における団体の利用調整や連絡業務は解消されたので、一定程度軽減されたものと認識している。

本池 たしかに利用調整は切り離されているが、開放にあたっての実務はまだあり、このたび加わったものもある。ストレスも加わってとてもではないが軽減にはなっていないと思う。

それもこれも新規の団体が入れるように、平等にするのだといわれてきたので、新規の団体がどう思っているのかを聞いてみた。少なくとも「システムになったから入れた」と喜んでいる声は私には届いていない。新規の団体も同じように安心して練習できないことに困っている。

ある指導者は、「子どもたちにはみんな予定があって練習がない日には塾を入れたりしている。家族との夕食の時間、勉強の時間、寝る時間も確保してやらないといけないから必死だ」「なんのためにこれほど悩まなくてはいけないのか」といわれていた。システム導入の効果を市としてどのように考えているか。

田中部長 システム導入以前と比較して登録団体は増加傾向だ。これはオンライン化による利便性の向上に加えて、各学校の施設情報をシステムを通じて利用者に提供できるようになった結果と考えている。また、利用団体の集計や抽選結果をシステムから一括で出力できることから、事務処理の負担軽減に資するものと考えている。

本池 説明会で利用団体にいった「利便性」「公平性」は向上したか?

田中部長 すべての手続きや施設情報の取得、連絡調整のやりとりがシステム内で完結することにより利用者の利便性は確実に向上している。また抽選予約を導入し、より多くの市民が公平に学校体育施設を利用できるようになったことから、公平性も向上している。

本池 利便性が向上したという根拠は何か?

田中部長 システムでどこの施設が空いているとか、どこが埋まっているとかがわかるようになったことが一番だ。

本池 市内一括にした段階(令和6年)で施設の空き状況は見えるように変えた。システム導入とは関係ないと思うが。

田中部長 新規の団体がシステムで見られるようになったのは今回からだと思う。

本池 認識が違うと思う。システム導入前からどこが開放でどこが非開放なのかは可視化されていたと思う。

田中部長 学校施設や時間などはオープンにしていたが、抽選結果などがタイムリーにわかるようになったのは便利なところだと思う。

本池 本当に利便性の向上なのかは利用団体に確認しなければ分からないと思う。みんな不便だといっているのでしっかり確認してほしい。

これまで新規の団体が入れない状況が間違いなくあったのだろうし、決して円満ではなかったことはわかる。しかし、解決の仕方がおかしい。

委託料120万円の内容は

本池 来年度予算では学校体育施設開放業務に委託料として120万円の予算がついている。この120万円でなにをどんな業者に委託しようとしているのか。

田中部長 従来通りの学校及び利用団体との連絡調整に加え、システムに関する問い合わせ対応、抽選申し込み等の情報管理などシステム処理全般を民間事業者に委託する予定だ。

本池 利用調整はシステムなので、それ以外の学校開放に関する業務を委託する、つまり学校開放はスポーツ振興課の手を離れるということだ。大混乱させるだけさせておいて、苦情も含めて窓口は民間に委ねるというのはどうなのだろうか。利用団体の苦情は民間業者とスポーツ振興課とでなすりつけあいになって、まともに受け止めるところがない様が目に浮かぶようだ。

今後の方針を聞く。関係者からはこのようなシステムはやめてほしいという声もかなりある。使うなら大幅な改善が必要だし、体育施設をみなが仲良く使えるにはどうしたらいいかの検討が必要だと思うが、関係者の声を聞いて是正していくつもりはあるか。このままこの予約システムを使い続けていくつもりかどうか、答弁をお願いする。

田中部長 令和6年度から段階的に業務の見直しを進めてシステム導入に至った。運用を開始したばかりなのでシステム運用は継続するが、運用状況を注視し、見直しの必要が生じた場合はその都度対応していきたい。

本池 すでに見直しの必要性が生じていると思うがどうか。

田中部長 4月の抽選結果を見ると概ね活動場所をみなさん確保されている。今の段階でなにかシステムを変えなければいけないことはない。

本池 「多くの団体が1件はとれているから」ということだろうが、みなさんがどんな苦労をしているかを部長自身も把握した方がいいと思う。

根拠法に基づく施策を

本池 話を委託料に戻す。学校開放業務の委託料の推移【グラフ③】を見ると、この数年間で大幅に削られている。なぜ利用調整のない来年度予算で増えているのかは不明なので、ぜひ委員会で確認していただきたい。

本池 学校体育施設開放は行財政改革推進会議「通称・せんたく会議」で見直しの対象となり、委託料の縮減が求められてきた。財政健全化プロジェクトには「小・中学校体育施設等使用料の徴収を行い、新たな収入を確保する」として受益者負担が掲げられている。さらに、スポーツ推進計画には施設の有効活用を図ることが記載されている。多くの団体が使える土台をまず整備し、いずれ料金を徴収しようとしているのだと理解している。新規団体が入れるようにするにしてはちぐはぐだし、現場を理解しようとせず、既存団体を「既得権益」呼ばわりしているあたりを見ていても、本当の狙いはこちらなのだと私は思っている。動機が異なるから現場と対立しているのだと思う。

料金の徴収については、維持管理費として負担してもいいという人は多いし、必要なら正直に相談すればいいことだと思う。それ以前に知っていただきたいのが、みんなが負担なしで使っているわけではないということだ。スポ少を例に見ても、保護者は月謝を払っているし、チームとして、グラウンドの砂が減ったら真砂を学校と折半して買ったり、体育館の備品や修理を負担したというチームもある。また、子どもたちへの教育的な関わりの一環だが、年末や年度末には感謝を込めて練習拠点の体育館や倉庫の大掃除をするチームがほとんどだ。このような実態をご存じのうえで「既得権益の打破」とかいっておられるのか?

田中部長 既存団体が既得権益化されているというつもりもあまりないが、実際に同じ団体が同じ場所でずっと活動している状況はある。新しい団体が入っている割合が少ないのも事実だ。今回仕組み自体で公平性を担保しようということなので、早いうちに導入した方がいいと考えている。

本池 学校施設開放の根拠法は何か。

田中部長 学校教育法第137条、社会教育法第44条、スポーツ基本法第13条だ。

本池 根拠法の理念にもとづいて、対立を持ち込むのではなく、それこそ「他者を尊重し協同する精神」で誠実に対応しなければならないはずだ。その視点からの施策をとってほしいと思う。

現在、部活の地域展開と関わって各団体に中学生の受け皿にならないかと声をかけておられると聞いている。関係者は「まともに練習場所も確保できないのに受け入れられないじゃないか」といっておられる。SDクラブが始まったらもっと混乱するのではないかと懸念する声もある。

どんな環境にある子どもたちも安心して参加できるような部活の地域展開にしなければならないし、そのためにも学校開放を全体がうまくいく仕組みに変えないといけないと思う。「トイレ高質化推進室」をつくるそうだが、子どもたちには今しかないので、トイレ以上に推進室なりをつくってことに当たる必要があると思う。どう見ても今の人員で手が回るわけがない。苦情受付を民間委託するのではなく、耳の痛い話こそ大事にして現場を改善してほしい。委託料120万円はそこに回してはどうか。

前田市長の見解

本池 今市がやっていることが社会体育の充実につながっていると思うか。

田中部長 従前から広く市民にスポーツの場として学校体育施設を利用いただくことによって社会体育の振興に寄与してきた。このたびのシステム導入により空き施設の有効活用が図られ、より一層の本市の社会体育の充実につながるものと考えている。

施設の利用の公平性が仕組みによって担保されたら社会体育の振興になると思う。早めにシステムを導入することが振興につながる。

本池 システム導入が公平性につながるといわれたが、システム導入によって公平性が揺らいでいるからこれほどの苦情が来ているのだと思う。前田市長は学校体育施設開放についてスポーツ関係者からなにも聞いていないか? 見直す必要があると思うか、思わないか、考えをお願いする。

田中部長 前田市長をはじめわれわれのところにも多くのご意見が寄せられている。市民のスポーツ活動に対する熱意を改めて感じたところだ。今回のシステム導入は、多くの市民のみなさんに学校体育施設を一層有効に活用いただき、より主体的にスポーツ活動にとりくめる環境を整備することを目的としたものだ。今後もシステム運用を継続しながらスポーツの振興をはかって参りたい。

本池 前田市長にお願いする。

前田市長 聞いている。少しでも前に進められるように担当課を信じている。

本池 今日紹介した問題はほんの一部だ。これほど関係者を怒らせている事業は絶対に見直すべきと思っている。現場の方からは、開放時間の前半を子どもたちがいるチームを優先し、夜間の時間帯との二部制にすれば施設ももっと効率的に使えるのではないかなど、かなり具体的な提案をいただいている。関係者の声を聞き、知恵を借りて、本当の意味で社会体育の充実を実現させていくべきだと思う。少なくとも「既得権益」などと敵視していては実現できないのではないかと思う。