文教厚生委員会で安岡小と勝山小を視察しました。

建て替えが決まった安岡小学校2舎

5月13日に文教厚生委員会の市内視察があり、安岡小学校と勝山中学校に行ってきました。みなさんご存じのとおり、下関市は子どもたちが日々過ごしている施設の老朽化が深刻です。とくに小中学校は約60校ありますが、長年にわたって必要な維持管理や老朽化対策、更新がなされてこなかったことから、今になって施設の維持や更新をどうしていくのかが大きな課題になっています。今年3月に学校施設長寿命化計画が改定されていますが、下関市政の大きな課題であるこのテーマについて文教厚生委員会として視察することになりました。遅くなってしまったのですが、ご報告します。

安岡小学校 改修計画策定と早急な対応が必要

安岡小学校は市内でもっとも老朽化が進んでおり、危険度が高いといっても過言ではありません。とくに築71年の「2舎」は外壁の剥落が起き、危険カ所をたたき落としているため、校舎の壁面は【写真】のような状況です。昨年夏の大雨のさいには、この2舎の屋上から雨漏りがし、こどもたちの教材に被害が出ています。昨年12月、この2舎について建て替えの方向性が明らかになりました。その理由としては、昨年度に教育委員会がおこなった校舎耐力度調査により、安岡2舎は基準点を大きく下回ったことがあります。「長期間の使用に適さない」という結果を受け、下関市教育委員会は建て替えを決定しました。

来年度(令和9年度)に基本設計、実施設計に着手する予定で、その後は令和10年度に解体、11年度に建設の予定となっています(学校施設長寿命化計画より)。その間は、4舎正面の運動場にプレハブを建設することが検討されているようです。教育委員会は「単なる建て替えでなく将来のことを考えた設計にしたい」とのべておられ、どのような校舎を建てるのかは内部で協議中のようです。設計は来年度の予定で新校舎の完成にはまだ4~5年はかかる計画になっており、ここは子どもたちの安全のため少しでも早く進めていただきたいところです。

安岡小では2舎の建て替えとは別に、令和5年に解体した3舎の跡地に、「校舎増築事業」(以下、増築事業)としてプレハブ校舎(軽量鉄骨造2階建、延床面積800平方㍍)の建設が予定され、今年度の事業として動いています。これは現在の教室不足解消のためのもので、普通教室2室、特別教室2室、多目的室、相談室、放課後児童クラブ、トイレが整備される予定です。10年で4億円のリース契約で10年後には市の所有となり、その後も使っていくそうです。今年度整備し来年度に供用開始の予定ですが、増築の予定地は駐車場として利用されていて、新たな駐車場の敷地の確保も課題となっています。また、懸念されるのはイラン戦争の影響等で資材の高騰であったり、資材が入らない状況になることです。これは増築事業に限った話ではありませんが、今後の計画に大きな影響を及ぼすのではないかと思われます。

さらに、安岡小では老朽化が進む1舎(築57年)についても今後の方向性を決めるための校舎耐力度調査を実施する予定で、現在は委託業務の事業者公募の最中となっており、今後としては長寿命化大規模改修が計画されています。

以上のように、安岡では1舎、2舎、3舎(跡地)で改築、増築等の計画が動いていることになりますが、今はこれらがバラバラに動いています。そのことから、安岡小学校全体の施設の計画をたて、校舎や体育館も含めた施設の更新や維持管理を計画的におこなっていかなければならないと思っています。この全体の計画については「早ければ令和9年度に予算をとりたい」とのことで、そのために教育委員会のみならず、資産経営課(総務部)、財政課などと必要な協議をおこなっていくとのことです。

昨年12月に2舎の建て替えの方向性が決まったことはいいのですが、それから5カ月が経過しています。安岡の保護者や住民のみなさんからは「方向性はわかったが、その後なにも動きがない」「いつになったら危険な校舎が建て替わるのか」「早くしなければこどもたちになにかあってからでは遅い」という声が上がっているのが現実です。学校施設長寿命化計画の見直しにより、今後大規模改修の進め方を「学校単位」から「棟単位」でおこなっていくことになりました。であれば、なおさら安岡小学校全体を、いつ、どのように改修していくかの計画が必要ですし、そのうえでスピード感をもって改修を進めていくことが必要であると感じたところです。

大規模改修を終えた勝山中学校

安岡小学校を視察したのちは勝山中学校に行きました。

勝山中学校は、令和5年度~令和7年度にかけて長寿命化大規模改修工事をおこないました。長寿命化計画にもとづき大規模改修をした1校目となりますが、躯体以外の部分は全面的にリニューアルし、新品同様になっていました【写真】。

大規模改修した勝山中学校の外観

勝山中学校図書室

勝山中学校の大規模改修に要した費用ですが、

・工事請負費 18億8063万7000円(1舎=5億5423万6000円、2舎=7億136万2000円、3舎=6億2503万9000円)
・仮設校舎賃借料 1億4283万5000円
・設計業務ほか委託料 7109万1000円
・その他 2018万9000円
合計 21億1475万2000円

です。

この3年間のあいだに物価や人件費の高騰もありましたので、工事請負費は当初(17億九487万円)よりも8576万7000円増額となったそうです。

1年間に1棟の工事が進み、計3棟の工事が3年で終了しました。

校舎内を見て回らせていただきましたが、廊下も教室もトイレもとてもきれいで、先に視察した安岡小学校との落差を感じました。授業中であったため教室の写真はありませんが、案内していただいた教頭先生も、校舎がきれいになったことで生徒たちの「大切にしようという気持ちが育つ」といわれており、生徒の成長にとってもよかったと感じました。

大規模改修をした勝山中学校の校舎ですが、築52年がもっとも古く、教育委員会曰く「一番いいタイミングで工事した」とのことです。この「一番いいタイミング」とはなにかということですが、長寿命化計画では建築から50年を迎えるころに長寿命化改修をおこない、25年に1度は予防改修をおこなうことで、建物を100年もたせることができるとうたわれています。そういう意味で勝山中学校は「一番いいタイミング」であったということです。

ただ、下関市には築60年~70年を経過した校舎が多くあります。50年前後の校舎は大規模改修が適切かもしれませんが、60~70年以上も経過し老朽化が進む校舎をどうしていくかは別の話であり、同時並行で進めていかなくてはならないものだと感じています。

改築(建て替え)について

教育委員会は、今年3月の改定長寿命化計画で「長寿命化改修までに築年数が70年をこえる建物については、維持保全をおこない、適切な時期に改築する」と明記しました。改築=建て替えということですが、令和12(2030)年度までに実際に建て替えが計画されているのは安岡2舎だけです。しかし計画には、改築方向性が示されている校舎は安岡2舎を含めて8棟あります。「8棟」という数字ですが、長寿命化改修の対象を令和12年度推計の学級数が12学級以上の学校に絞っているためで、実際の老朽校舎はもっと多いことは指摘しておきます。ただ、それだけで見ても、豊浦小学校は4棟分が「改築」の方針になっているにもかかわらず令和12年までの計画は空白です。このペースでいいはずがなく、子どもたちの安全のために対応が急がれます。

下関市内の学校現場の実態ですが、老朽箇所の修繕や対応は、先生方や公務技師さん、学校支援課の方々が走り回ってしてくださっており、そのおかげで事故が起きずに保たれている状況です。雨漏りは通常になってしまっていますし、天井の崩落や窓枠の落下が起きたなどの学校もあり、現場の感覚としてはどの学校も「なんとかならないか」「いつになったら修理されるのか」という感情をもっておられる状況です。

そういうお話をお聞きしていると、勝山中学校1校の工事完了をもって「よかった」とはならず、もっとペースをあげてとりくむべき課題だと感じます。築年数が50年前後の長寿命化大規模改修をすれば新品同様になるということは伝わりましたので、他の学校もぜひ早急に進めていっていただければと思います。今のペースでは改修時期も逃してしまう校舎が出てくることが懸念されますし、なにより、子どもたちが学校で過ごすのは今しかないからです。

勝山中学校の工事は設計などを含めると実質5年かかっており、教育委員会も「今後はもう少し短縮できないだろうか」「古くなっていくものをどんどんやっていかないと間に合わない」との思いはもっておられることがわかりました。だからこそ、改修の進め方を変えておられますし、いかに早く進めていくかにシフトしておられるように感じます。

改定長寿命化計画では、予防保全(部分的な改修)についても「老朽化の実態にあわせて雨漏りや外壁落下の恐れがある施設を優先して改修する」としています。これら改定した計画のもとで学校施設の改善がどのように進んでいくのかを今後も確認し報告をしていきたいと思っています。

今後予算もかかることとは思いますが、委員会として現地を視察し必要性を共有できたことはよかったと思っています。

説明、案内をしていただいた関係者のみなさまに感謝申し上げます。