令和3年度予算に対する個人質問をおこないました。【動画】

16日に、令和3年度予算に対する個人質問をおこないました。

個人質問では、所属する委員会の所管部局以外について質問するように決まっています。今回私は、担い手育成支援事業を主とする農林水産振興費についてと、栽培漁業センターについて質問しました。

取り急ぎ、動画をアップさせていただきます。

 

1.農林水産業の担い手支援と産業振興について

 

2.栽培漁業センターの運営業務について

 

12月定例会閉会と反対討論の報告です。

15日、12月定例会が閉会しました。下関市議会は今回の定例会に提出されていた92議案をすべて賛成多数で可決しました。今回の議案のなかで、学校給食施設再編整備事業を含む補正予算議案(161号)と、下関市立大学の中期目標に特別支援教育特別専攻科を加える内容を含む議案(245号、246号)に反対し、反対討論をおこないました。以下は、反対討論の要旨です。

161号についての討論

議案第161号 令和2年度下関市一般会計補正予算(第7回)について、反対討論をおこなう。このたびの補正予算は、歳入歳出に19億6076万1千円を追加し、その総額を1501億9584万2千円としようとするもので、その内訳には、人事異動にともなう職員人件費の減額や、新型コロナウイルス感染症対策、災害関連事業費の増額などが計上されている。

このなかに、金額の変更はないが、学校給食施設再編整備事業の債務負担行為についての変更が含まれています。令和2年の当初予算で議会が認めたものでありますが、再編整備事業については先日から申し上げている通り、現在の教育委員会の進め方に保護者や学校関係者、栄養士、調理員のみなさまから疑問と、説明を求める声が上がっている。

民設民営で8000食規模のセンターをつくり、そこに自校方式の学校を再編するという内容を、きちんと保護者やかかわるみなさんに対して説明するべきだと思う。委員会での答弁では「要望があればする」ということだったが、事業者が決まる前の段階、もっといえば公募を始める前の段階で、きちんと説明し、みなさんの意見を聞くべきだと思う。スタートに立つのはそれからではないか。

今とくに、食材についての関心が高まっていることは先日の一般質問で述べたとおりだ。衛生面だけでない「安心・安全な給食」を提供することはもちろん、生産者を含めて安心・安全な持続可能な生産体制をつくっていくことは自治体の戦略にかかっている。今あるセンターを現地で建て替えたり、自校式の学校を各学校で建て替えるには、衛生基準に達するための敷地的な問題や財政の問題があり、大規模センターにするにしても公設公営よりも安くできるのが民設民営だというのがこの間の決定の経緯だろうが、学校給食の存在価値について改めて捉え直し、保護者や学校、栄養士、調理士さんなど関係者の意見を聞き、「これからの下関市の子どもたちが食べる給食をどうするか」を検討すべきではないか。今回の補正予算が通れば、プロポーザル公告に入り事業が動き出す。今現在の給食に関してもさまざまな課題があるが、それも含めて協議するいい機会だと思うので、決めてしまう前に関係者へ事業の説明をすることを強く要望する。

今回の補正予算には、とくに新型コロナ対策として、市民病院、海響館、市民会館の改修事業、住宅リフォーム助成事業、公共交通事業者・国際定期航路事業者の支援、3密回避のための公園整備、修学旅行の中止・延期にかかるキャンセル料等支援事業などがあるほか、トビイロウンカによる被害を受けた農家に対する給付金の交付や特牛港の給油施設増設にかかる経費の一部補助など、市民生活を支えるための事業が多く含まれている。それらのことには賛成だ。しかし、給食施設再編事業に対して決まってしまう前の説明を求める声をないがしろにするわけにはいかない。遅れが生じたのは偶然ではあすが、市民の声を聴く機会を得たと思って、いったん立ち止まることが必要ではないか。議員のみなさまにおかれましては賢明な判断をお願いする。

 

245号、246号についての討論

議案第245号「公立大学法人下関市立大学に係る第3期中期目標の変更について」、ならびに、議案第246号「公立大学法人下関市立大学が徴収する料金の上限の認可について」に反対の立場から答弁をおこなう。

この議案は245号において、下関市立大学の第三期中期目標(2019~2024年度)に特別支援教育特別専攻科を加えること、また総合大学化のための学部新設に向けた文言改定、地域共創センターを廃止することがあり、246号においては、令和3年4月開設の特別支援教育特別専攻科の授業料、入学金、入学検定料を定めるものだ。 

そもそも中期目標とは、大学が6年間で達成すべき業務運営について市長が定めた目標であり、それになかった専攻科の設置が突如出てきたのが昨年5月以降のできごとだが、すでに強引に決めてきたものを後になって付け加えている感が否めない。

専攻科の設置をめぐっては、昨年5月30日に前田市長が山村理事長に担当研究者を紹介したことに始まっており、中期計画にもなかった専攻科設置の計画が市長の意向として動き始めた。特定の人物の採用ありきの専攻科設置に学内での反発が広がり、9割の教員が反対する事態まで起きたが、教育現場からの意見を聞かぬまま採用を内定したのは周知のとおりだ。こうしたなかで昨年の9月議会では、大学運営の根幹にかかわる教員採用や学部・学科の設置などの重要事項を、教育現場の意見を聞くことなしに、市長の任命する理事長の任命する理事で構成される理事会で決めていくことができるようになる定款変更議案が出され、それを市議会が可決した。その後、市長の意向で採用された研究者が市大理事と副学長に内定し、新定款のもとで教授として採用された。さらにその後に決まった新しい教員採用規程のもとで、教授会の資格審査などを経ることなく複数名が採用されるなど、他の国公立では考えられないような事も起こってる。

この一年、「大学間競争にうち勝つための大学改革」だとの言葉を何度も何度も耳にしてきた。先日の一般質問に対し市長も「多少強引な時期もあった」といわれていたが、専攻科設置と教員採用をめぐる動きについてはあまりにも民主主義的手続きを逸脱しており、その異様さこそが問題視されているのではないか。
 
インクルーシブ教育そのものについてはなにも否定するものではないし、その手法についても専門家や教育現場の英知を集めて決めていけばいいものだと思っている。必要な学部・学科やそれにかかわる人材は、学内の合意形成のもとで手続きを踏んで進めていけばいいだけの話で、それが叶わないなら定款変更をしてしまえ、学内規定そのものを変えてしまえ、中期計画も変えてしまえというような強引なやり方については看過できない。学内の合意形成が大切なのは、それが下関市立大学という一つの大学にとって、共通理解や目標、理念の共有という点で欠かせないからであり、それこそ大学の針路を決定付けるものだと思う。学長のリーダーシップといいながら、市長の意向で教員採用や専攻科の設置が決まっていくことは、「大学改革」とはいえない。

「多少強引な時期もあった」とのことだが、初めから特定の人物の採用ありきだったことがこの一年半の専攻科設置をめぐる騒動の根源であり、「強引」であるが故に「強引」に定款変更をしてしまい、そのルール変更によって「強引でない」と正当化して今日に至っているに過ぎない。私はこうしたやり方について賛成することはできない。以上で反対討論を終わる。

12月定例会での一般質問『2、下関の学校給食』のご報告です【文字おこし】

一般質問でおこなった『2、下関の学校給食』の質疑(要約)を掲載いたします。下関市では彦島にある南部学校給食共同調理場の建替え計画が進んでいるのですが、同時に、今現在自校方式で給食をつくっている学校も再編し、新調理場の受配校に加える計画になっています。ところが、このことについて、保護者にも学校にも、給食にかかわってくださっている方々にも伝わっておりません。今回の質問は、そのような声をうけておこなったものです。ぜひご覧いただき、質問やご意見をお寄せください。

 

南部学校給食共同調理場

2、下関の学校給食について

本池 次に、小・中学校の給食について質問する。大きくは、南部学校給食共同調理場の老朽化にともなう建て替え、学校給食調理場の再編計画についてだが、文教厚生委員会でも報告がありそこでもいくつか質問させていただいたし、先日の林議員、村中議員の一般質問のなかでも明らかにされた通りだ。学校給食をめぐっては、献立作成、食材の生産、集荷、調達、配送、調理など多くのみなさんがかかわってくださり、自校給食であれ、センターであれ、日々、子どもたちに安心でおいしい給食を提供してくださっています。しかし、その給食の提供体制が変わることが保護者や学校側に認識されておらず、ここ数か月のあいだに「新調理場ができると聞いたが、民営化するのは本当か」「自校式で温かい給食が食べられているのに、それがなくなるのか」「民営化すると食材はどうなるのか」といった声を頂いている。

 委員会の質問では、この度の施設が民設民営であることから、「業者が決まり、仕様が固まってからするという説明がなされ、その前段階の説明は「要望があればする」ということでした。しかし、現段階で決まっていることとして、新下関市場の場所に8000食のセンターをつくること、民設民営であること、自校式の学校の再編も含んでいることがあります。この3点については施設の中身に関係なく、保護者や学校に対して説明すべきだと申し上げている。ここで質問だが、これまでこの計画について、誰に対し、何回説明をしてきたのか答えてほしい。

徳王丸教育部長 文教厚生委員会で合計8回、今年4月の文教厚生委員会の勉強会で事業内容と進捗状況を説明。教育委員会の定例会で7回、校長会や組合など5つの団体に2回、PTA連合会にも2回。その他、市民の方からのお問合せにも丁寧に答えている。

本池 今おっしゃられた団体に対して、どの段階まで説明しているのか?

徳王丸教育部長 文教厚生委員会では毎定例会ごとに詳細に報告している。

本池 それが実際に保護者や現場の栄養士・調理師に伝わっていない。だから今、疑問の声が上がっている。今回の調理場建て替え・再編計画にはさまざまな問題が絡んでいることは承知している。南部調理場の老朽化、自校式調理場の老朽化、子どもの減少、市の財政難などいろんなものが絡んでいるのは承知している。しかし先ほどからいっている、新下関市場に8000食、民設民営、自校式の学校の再編を決める前に、「これからの学校給食をどうするのか」といった関係者を交えた協議が必要だったのではないかと、この間のみなさんの声を聞いていると思う。ここで質問だが、今市が計画しておられる給食調理場の再編によって、得られるもの、失われてしまうものはなんだと考えておられるか、また子どもたちにとってベストな給食提供の形態はなんだと考えられているのか、教えてほしい。
 
徳王丸教育長 新調理場の整備により得られるものとして、衛生基準に適合した施設で給食ができるようになる。高度な衛生管理手法のHACCP対応が可能になる。アレルギー対応給食の専用調理施設の整備ができるという部分が改善される。自校式から受配校になることにより学校行事への対応は難しくなる。

本池 ベストな給食の提供の形態はなにか。

徳王丸教育部長 衛生管理の改善が図られることがベストな給食が提供されることにつながる。

本池 改めて給食について考えてみるうえで、下関市内外の教育に携わっておられる方の声をきいたが、美味しさに関しては自校式の上をいくものはないとみなさん共通しておっしゃっていた。また、学校内に調理場があることそのものが子どもたちにとって大きな影響をあたえている。また、将来子どもたちが生活のなかに正しい食をとりいれられるよううに、給食を生きた教材として使うことがやりやすいのもまた自校方式だと聞いた。学校行事等の変化に対応できる、食材調達に関しても小回りが利くという利点があると聞いている。対してセンターでは、先ほども衛生面や安全面からの良さはあるでしょうが、子どもたちにとってどうかというところではベストは自校だ。そういう意味で下関は多く自校方式が残っており、子どもを育てる環境としては非常に優位であるということがいわれていた。
 子どもの成長にとって非常に優位な自校式だが、もう一つ、現在における問題として、食の安全性への関心も高まっていることがある。林真一郎議員の質問さいに食品の基準がないという話が出たが、ないのであれば独自で食材の品質にかかわる基準をつくるべきだと私も思っている。というのが、今、食品があらゆるルートで入ってくるようになっており、安全面・栄養面から考えても不安なものが出回っていることに保護者は非常に注視されているからだ。地場産食材はもちろん、より安全な有機食材の導入を求める要望があるのですが、こうした問題意識に対する教育委員会の見解をお願いする。

児玉教育長 先ほど質問のあった、ベストな給食の提供形態は自校方式かもしれない。ただ、教育委員会が果たすべき第一の役割は、安全な給食を確実に子どもたちに食べさせることだと認識している。そのためにセンターが必要であればセンターも導入したい、自校式で残すところは残したい、そういうバランスを保っていくために新しい共同調理場が必要だと考えている。

本池 地場産食材の導入、もっといえば、より安全な有機食材の導入を求める声があるが、そうした問題意識に対する教育委員会の見解をのべてほしい。

児玉教育長 地場産食材の使用については可能な限り実現したいと考えている。自校式であると食材納入業者に負担がかかる、センターでやると大量に必要になる、そういったところをどうバランスをとっていくのか、献立をどうするのか、そういう問題はこれから検討していくべきだと思っている。有機栽培や無農薬の野菜については現時点では調達可能な野菜品目や数量なども不明で、実際に学校給食に使用できるか不明。今後、これらの野菜を提供できる生産者があらわれ、必要な種類と量を学校給食に提供いただけるのであれば給食用食材として献立に活用することを検討したいと考えている。

本池 検討していただけるのはありがたいが、そうなると8000食規模にしてしまうことでその実現はさらに遠のいてしまうのではないか。周南市の給食センターを視察したさい、運営している民間企業の提案として、給食の残菜を肥料にして有機農産物を生産し、それを給食に使うという試みをされており、すでにとりくまれているが、その実現の見通しを聞きたとき、4000食の大規模ではなかなか難しいというお話を聞きこれは教訓だと思った。市内の農家も高齢化しており地場産食材の確保も難しい。有機農家はもっと難しい。そのなかでやろうと思えば計画的にやらなければならないし、産業として育てていかなければならないが、一気に多量を確保というよりも小規模から始めていくしかないのではないか。その場合、農政のかかわりが不可欠だと思うが、地場産農産物を学校給食に多くとり入れていくために、農林水産振興部としてとりくんでいることを教えてほしい。

渡壁農林水産振興部長 より多くの地場産農産物を取り入れてもらうために、教育委員会、学校関係者、青果物の取扱事業者等で構成される地場産農産物学校給食連絡会に生産者団体であるJA山口県とともに出席し、地場産農産物の使用量が増えるよう、生産量等の情報提供に努めている。また、学校給食の食材として市内で生産量の多い農産物だけでなく、子どもたち本市の農業に興味をもってもらうためにハナッコリーや垢田のトマトなど、市内の特色ある農産物を提供している。今後も利用拡大に向けてJAと連携し、本市多妻の農産物のの生産振興をはかっていきたい。

本池 ここで学校給食を中心にした有機農産物の生産で先進的なとりくみをされている今治市の例を紹介したい。9日の田中議員の質問のさいには千葉県いすみ市に触れられたが、今治市も先進事例の一つだ。今治市では1980年代から有機農業のとりくみを始めておられ、その契機となったのが、1万9000食分を作っていた大型給食調理場の建て替え計画だったそうです。保護者や農業者が地元産の安全な食材使用と自校方式による手作り給食を求めて運動を展開し、そのなかで誕生した新市長により、大規模調理場から自校調理方式への転換が進み、2000年に市内全部の学校が、自校方式か2~3校で構成される共同調理場への切り替えになったそうだ。こうした流れのなかで昭和63年には、今治市議会が「食糧の安全性と安定供給体制を確立する都市宣言」を決議し、そのもとで学校給食への有機農産物の導入や、地元産の農産物や加工品を地道に増やし、地産地消のとりくみを進めてこられた。そのことには理由があり、今治市には小規模農家が多く、産地間競争では大規模産地には勝てないということがあり、しかし逆に、気候や地理的条件から比較的どんな作物でも生産できるという強みがあったため、同市の農業を守り振興させていくために、地域内循環を目指したのだそうだ。

先の市議会の都市宣言は合併後も引き継がれ、この宣言を行政が受け止めつくられたのが「今治市食と農のまちづくり条例」だ。全会一致で可決されているが、この条例には、地産地消の推進、食育の推進、有機農業等の推進が規定され、さらに第10条ほかには遺伝子組み換え作物の栽培許可に関する規定があり、市長が認めたものでなければ栽培してはならないようなしくみがつくられている。今治市ではこの条例のもとで農林水産業の振興、食の安全の確保、地産地消を進めており、学校給食もしっかりとそのなかに組み込まれている。安全な食糧生産によって市民の食を守り、学校給食の導入で子どもたちの健やかな成長を促し、後継者を育成し、農山漁村の果たす役割まで明記して、豊かで住みよい、環境の保全に配慮した持続可能なまちづくりをおこなっている。

給食は教育委員会の管轄だと思いがちですが、そうではなく、やり方次第で大きな可能性を秘めている。その点自校式が多いことは強みだ。そこに戦略的な食に関するとりくみを入れていけば、安心・安全への関心が強くなっている今だからこそ、若い子育て世代の定住を促進するものにもなりうるのではないか。目の前の老朽化の問題は深刻だが、子どもたちの成長を含めてどんな下関市にしていきたいのかということに直結するものだと思うが、前田市長はどうか。

前田市長 いいお話をいただいたが、食の安全と、農業の跡継ぎ問題等々、下関がかかえる問題たくさんありますから、総合的に考えてベストを目指していきたい。 

本池 地産地消を進めるというとき、より生産者に近い農業振興課が深くかかわって、それこそ横の連携で、地場産農産物を増やす努力をしなければならないと思う。そして学校給食の提供形態も、地産地消をより早く実現しうる形を考えていかなければならないし、そのために、ぶつかっている問題については先に決めてしまう前に保護者や市民になげかけ、「下関の子どもたちの給食をどうするか」「下関の未来をどうするか」をテーマに、市民の熱意と知恵を借りるときだと思う。新型コロナで明らかになったが、すでに地産地消、地域内循環の必要性に気が付いている市民はたくさんいる。ある方が、「安全で災害に強い食糧供給は、コンパクトな地産地消に活路がある」と語っておられたが、市民を交えた活発な議論をすることを強く要望する。