水道料金値上げについて。【反対討論】

12月議会最終日の17日、市議会は来年4月からの水道料金を平均2割改定する条例案を賛成27、反対5の賛成多数で可決しました。来年4月から現在の水道料金が家庭用で約20~30%の割合で上がることになります。老朽施設の更新や維持管理に対するお金は必要です。それら事業に必要な経費を料金収入で確保していくというのが現行の制度です。しかし、現在の物価高における市民生活を考えたときそれは不可能で生活が立ち行かなくなる人が出てくる心配がおおいにあります。そうした市民生活に対する行政側の議論がないこと、水道局による料金改定の進め方のおかしさ、そして現行制度のあり方を転換しない限り市民負担は今後際限なく膨らんでいくと考え、以下のように反対意見をのべました。

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「下関市水道事業給水条例の一部を改正する条例」「下関市飲用水供給施設の設置等に関する条例の一部を改正する条例」に反対の討論をおこないます。

反対の理由は、今回の水道料金改定が市民生活へ与える影響が大きすぎる点と、上下水道局の料金改定の進め方であります。まず、市民生活へ与える影響としては、昨今の物価高で市民が本当に苦しい生活をしているなかで、なぜ今、20%もの改定をおこなうのか、市民生活への影響、打撃をまったくわかっていないのではないかと考えるからであります。

単身高齢者でわずかな年金のみで暮らしていらっしゃる方は本当に苦しい生活を強いられています。少ない年金額に対して、物価が高すぎて、生活の苦しさが増しているなかにあって、国は抜本的な対応をしてくれず、現場の市町村任せです。

そのような状況のなかで、生活者にもっとも身近であるべき市町村までもが、追い打ちをかけるように水道料金を一度に20%も値上げするのです。これまで下関市を支えてきてくれたような人たちを切り捨てるような話だと私は思います。

しかもこれは、ひと月20㌧使用した場合の数字であり、実際には水道使用者の4割近い人は、ひと月10㌧以下の使用です。ひと月10㌧の使用を見た場合の改定率は20%をこえていて、30%をこえる人もいるんです。つまりは、改定率20%といいながら、市民の4割は20%をこえる料金改定を強いられることになります。

明日から価格が20%をこえる、30%をこえるという話は、牛肉やおコメ、玉子などの話ではありません。生活になくてはならない、水の話です。

市民は牛肉が高ければ、鶏肉、豚肉にかえる、おコメが高ければ、パンや小麦の製品にかえる、玉子が高ければ玉子を使わないような工夫を必死でします。でも、水はかわりがきかないんです。

9月の一般質問の答弁のなかで、市長は、ペットボトルも値が下がっているというようなことをおっしゃいました。このような発言も本当に市民生活を理解されていないんだと感じます。

確かに以前に比べれば安価なペットボトルは出てきています。でも、生活に必要な水は飲み水だけではないんです。炊事、洗濯、トイレ…さまざまな場面でなくてはならない水であり、ほかに替えがきかないものであります。

一方で、ほかに替えがきかないから、将来世代に水道をつなげていくためにも我慢しろという主張もあるでしょう。今を生きるものだけのことを考えてはダメだ、将来の子や孫たちのためにも我慢して受け入れるべきだという主張もあるでしょう。

そのことを理解したうえで、私は、市民一人一人の顔が、生活が、本当に見えていますかということを訴えているのです。

今日、明日の生活を必死で生きている人を前に、将来のためにという言葉が、どれだけ意味を持つのでしょうか。将来のことを考えることも大事ですが、本当に大事なのは今日の生活、明日の生活であり、その生活がやっていけると感じたうえで、初めて将来のことが考えられるのではないでしょうか。

私も含めこれまでの議会では、上下水道局だけではなく、市の財政にも対応が求められてきましたが、一様に法律や原則の話ばかり。厳しいいい方をすると自分たちの立場の説明ばかりで、全く市民生活、とりわけ生活困窮者の現実を直視しようとしていません。市役所、上下水道局は誰のために存在しているのかということに、私は一層疑念を持ちました。

 

次に、反対のもう一つの理由として、料金改定の進め方です。象徴的なのが先ほどあげた改定率の話です。改定率20%といいながら、多くの市民には30%をこえる改定率であることを明確にせずに改定を進めてきた点への不信感です。

こうした不信感は広報の仕方でも感じました。

なかでも、8月におこなった市民説明会では、市内8カ所で開催したといいながら、1人も参加者がないところもあったため、再び説明会をすべきではないかということを私は訴えました。

市民説明会があること自体を、多くの市民は全く知らなかったからです。行政ではよくある話ですが、かたちだけ整えておいて、参加者が少なくても後で一応の言い訳ができるようにしておくようなものが感じられるものでした。これが、市民生活に大きく影響する水道の話であるため私はより声を強めて訴えたのです。

結局その後、自治会長を通じてしっかり周知をして説明会のやりなおしをおこなった地区は、当初に比べてはるかに多くの参加者があり、反対の意見もありました。それなのに、ほかの地区での説明会のやり直しをすることなく、ホームページや動画を公開しているというような広報の進め方で、大きな見直しはせずに今日に至っています。

 

上下水道局の最終的な説明は、反対もあったが賛成の意見もあり、経営審議会でも妥当とされたということですが、この経営審議会の議論のなかでも、市民生活の実態を議論されたようなものはありません。また、行政内部、例えば市長部局と上下水道局の間で今回の料金改定が市民生活に与える影響について議論した形跡もありません。この点を問いただした回答としては、「情報提供はしている」という冷たいものでした。

これまで私は水道事業の知識が少なかったことから上下水道局を訪問し、説明を受けてきました。誠実に対応もしていただいたと思っています。

しかしながら、今回の料金改定については、市民生活へ与える影響が大きすぎる点と、上下水道局の料金改定の進め方に不信感が拭えない点から、明確に反対の意志を示したいと考えています。

加えて、今、全国各地で水道料金の値上げがあいついでいますが、それらを見ていると一市町村でなんとかなるような状況ではないことは明らかです。目の前の交付金や補助金の確保や活用はもちろん大事ですが、時代にあわなくなっている現行の制度を変えていくことしかないのではないでしょうか。

具体的には、市民の負担が青天井になっていく根拠の地方公営企業法の「独立採算の原則」、地域間格差拡大の要因となっている水道法の「市町村経営の原則」、この見直しです。現在を生きる市民も将来の市民も、市民の財産である水道事業も守っていく制度に変えていくこと、これを国に対し強く要望していただきたいと思います。

水道料金改定をめぐっては議員のみなさんのなかでも意見が分かれるところだと思いますが、最後に私が一番に訴えたいのは、みなさんそれぞれが、本当に市民一人一人の生活、顔を見ていますか、想像を働かせていますか、ということです。

私の反対討論は以上です。

 

12月議会での一般質問「子どもたちが育つ教育環境の維持管理、改修、更新について」のご報告。

17日に12月議会がおわりました。

私は12日に一般質問をおこない、「子どもたちが育つ教育環境の維持管理、改修、更新について」として、老朽化が深刻な事態になっている安岡小学校をはじめ市内の校舎の設備更新について質問をおこないました。

遅くなりましたが、以下、質疑要旨の文字起こしを掲載しご報告といたします。傍聴に足を運んで下さったり、中継を見ていただいたみなさま、ありがとうございました。

安岡小学校「2舎」は建て替えへ

本池 子どもたちが育つ教育環境の維持管理、改修、更新について質問する。今年2月議会でもこのテーマで質問したが、今、市内の多くの学校施設は「老朽化」を通り過ぎてとても「危険」な状態になっている。学校施設の維持管理については、学校施設長寿命化計画にもとづき大規模改修と予防保全をおこなっており、このほか緊急性の高いものは適宜「修繕」により対応している。そのほか、空調整備事業、トイレ快適化事業、LED化改修事業に加え、個別には、玄洋中学校区小中一貫校施設整備事業、安岡小学校校舎増築事業としてプレハブ校舎の建設が動いている。ただ、学校施設の危険な状況は全般として改善に向かっておらず、子どもたちが学ぶ環境が年月の経過とともにどんどん悪化し、先が見えない状況に置かれている。

教育委員会が9月末に委員会に提出した資料で、今年8月9日~12日にかけての大雨で雨漏りした学校は、64校中34校という信じがたい数になっている。この雨漏りも含め、どれほどの学校で雨漏りが起きているのか。

門田教育部長 冒頭、「とても危険な状態になっている」といわれたが、とても危険な状態があるのならぜひ申し出ていただき、早急に対応したいと思っているので、遠慮せずにすぐにいっていただきたい。

雨漏りの状況だが、令和6年度は117件。そのうち修繕が完了したものが110件だ。残り7件の内訳は、同様の不具合が生じていないため「経過観察」となっているものが4件、修繕対応中が1件、工事対応を検討中が2件となっている。令和7年8月の豪雨による雨漏りは36件で、修繕完了は17件。修繕が完了していない19件の内訳は、「経過観察」が10件、工事中が1件、工事対応を検討中が8件となっている。

本池 「危険な状態があるなら申し出ていただきたい」といわれたが、教育委員会は把握済みのはずだ。

今年の大雨でもっともひどい雨漏りが起きたのが安岡小学校だ。9月に宮野直樹議員が詳細についてはとりあげた。雨漏りのひどかったのが築71年の2舎だ【写真】。外壁の剥落だけでなく、剥がれたあとのコンクリート部分も劣化し、崩れているのがわかる。これが危険ではないというのか。

8月豪雨で大規模な雨漏りが発生した安岡小学校「2舎」の外と内の壁(10月)

雨漏りした屋上は、しばらくビニールシートで覆ってあったが、最近になって塗装がほどこされた。その内側もかなり傷んでおり、その結果、雨が校舎内に流れ、床板が浮き上がったり、雨漏りで子どもたちの教科書やピアニカが濡れて使いものにならなくなった。

この校舎は耐震補強もされておらず、コンクリートの圧縮強度が足りない「要調査」の校舎だが、今年7~9月に校舎耐力度調査を実施していることが9月の宮野議員の質問で明らかになった。基準点を下回れば「構造上危険な状態にある建物」として建て替えの対象になると説明しているが、結果はどうだったのか。

教育部長 安岡小学校の耐力度調査は、耐力度点数の満点が1万点であるのに対し、3764点となった。国庫補助における長寿命化改良事業の対象判断において、耐力度点数が4500点を下回る建物は長期間の使用に適さないとされている。今後、国の補助を活用し校舎の改築に向けて検討していく。

本池 基準点以下で長期間の使用には適さない、そして改築の対象になったということか。

教育部長 その通りだ。

本池 教育委員会として今後、2舎の建て替えを進めていくということでいいか。

教育部長 検討に入っていく。

本池 建て替えするかどうかの検討ではありませんよね。

教育部長 改築つまり建て替えるという形で検討していかなければならないという判断をしている。建て替えを今後どの規模で、どの時期に、どうやっていくのか検討していく。

子どもの命に関わる問題

本池 今後のスケジュールはどの程度まで決まっていて、どのように進めていくのか。

教育部長 現在のところ決まっていない。

本池 完成時期はいつごろを目指すのか。

教育部長 工事実施がまだ決まっていないので、完成時期についても未定だ。

本池 耐力度調査の結果で「長期間の使用には適さない」という結果が出ている。つまり構造上危険な状態にある。いつまでも待つことはできない。来年度には計画策定に着手するなど、なにもないのか?

教育部長 長寿命化の補助事業に乗るか乗らないかというのが一つの判断だ。たちまちこちらのものが危険だということではないと思うが、国の補助事業の長寿命化(大規模改修)に乗らないのであれば、別の方法をということで、建て替えの方向で考えている。学校の建て替えは限られた敷地のなかで授業をしながら工事をおこなっていくため、通常いろんな調整が入る。いつできるかスケジュールとしては持ち合わせていない

本池 長く使うことが適さないという結果が出ているのだから、何年も検討を長引かせることがないようにしてほしい。「建て替えが必要」という結論については、保護者・地域からは大変歓迎されると思う。子どもたちの学ぶ環境がやっと改善に向う道筋が見え安心した。校舎は非常に危険な状態になっており、悠長にしている時間はないので早急にやっていただきたい。

しかし一方で、そのような結論にたどりつくのは必然でもあるように思う。これほどまでに老朽化した学校をさらに長寿命化して使うという結論が出るなら、それはむしろ異常だ。今後、建て替えが進んでいくのは2舎だけか。安岡小は全体的に老朽化が進んでいる。今年の夏ごろにはもっとも新しい築43年の4舎の屋上部分が剥がれて落下する事態になっている。2舎の1棟だけでなく、残りの3棟や雨漏りしている体育館も含めて、安岡小の全体的な計画を考えていく必要があると思うが、検討するのは2舎だけか。

教育部長 建て替えについては2舎のみ。その他については、建て替え、長寿命化も含めた施設管理の計画のなかで優先順位をつけ判断していく。

本池 安岡小学校は今、教室不足が深刻だ。体育の授業のさいには男女が入れ替わって着替えないといけないとか、PTA室もないとか、1年生が2年生に上がるタイミングで5クラスから4クラスに編成されるので狭くてたまらないとか、特別支援学級が2つのクラスを1つの教室でやったり、通級が図書準備室を使ったりしている。これへの対応として、10年で3億円のプレハブ校舎を増築するのだと動き始めている。少人数教室、多目的室、放課後児童クラブなどの不足に対応するもので、改善する部分はあるが、普通教室が入っていないため教室不足の解消にはならないことが指摘されている。2舎を建て替えるとなると条件も変わってくると思うので、安岡小全体を考えた計画の検討が必要だと思うがどうか。

教育部長 建て替えにおいては、仮設、その後の使用方法も含めて、工事にともなう児童の影響も踏まえ検討もしていく。

本池 よくわからないが、安岡小全体を考えた計画の必要性について考えるのか。

教育部長 安岡小全体を新築にするという検討はない。

本池 全体を一気に新築してくださいといっているわけではなく、2舎の建て替えにともなって、教室不足や、他の校舎の老朽状況、体育館の雨漏りも踏まえて全体的な計画をつくらなければいけないのではないかと聞いている。

教育部長 2舎以外の校舎については現在のところ「使えるもの」と判断している。使えるものについては長寿命化計画のもとで長く使っていきたい。教室のあり方については、2舎を建てるときに教室のレイアウトであったり、不足している教室などの検討はする。

本池 もっとも新しい校舎の屋上が剥離し落下したことや、体育館の雨漏りも紹介したが、必要な改善を必要な時期にしなければ2舎と同じことが起きる。危険な状況を一刻も早く解決するために2舎の建て替えは早急にし、そのほかの不具合箇所や危険な場所についても解決のためにとりくむことを求める。

「要調査」の学校の現状

本池 こうした学校施設の老朽化は安岡小に限らない。安岡小2舎の建て替えの目途がたったことはいいが、逆に、市内の他の学校の危険な校舎は、安岡小2舎のような状況にまでならなければ建て替えが検討されないのか――という疑問が湧いてくる。雨漏りや屋上・外壁が落ちている校舎はたくさんあるが、子どもたちの教材が犠牲にならないと校舎の建て替えは検討されないのか。

築年数を見ると他の学校の校舎も安岡と似たり寄ったり。残念ながら、雨漏りは多くの学校で当たり前になっている。少しひどい雨になると管理職の先生がバケツを置いたり、たまった水を捨てるために走り回っておられる状況だ。

加えて、豊浦小や勝山小のように外壁が剥落してどんどんなくなっていったり、川中西小では窓が落下する危険性が生じて窓が固定された。また、多くの学校で窓が枠ごと固定され、片方は開けられない状態になっている。天井が傷んで落ちてきた中学校も複数ある。

教育関係者が「児童・生徒の犠牲が出ていないのが奇跡だ」と口にするほど今の学校現場の状態はひどい。もちろん工事で対応済みのものもあるが、応急的であったり、場当たり的といわれても仕方ない工事内容になっており、現状を安全・快適なレベルまで改善するところには至っていない。誰が考えても建て替えが必要なのに、安岡の2舎のような状態になるまでできないということにはならないか。

安岡小2舎と同じく、耐震性もなく躯体健全度調査でコンクリート強度が足りずに「要調査」となっている校舎がほかにもいくつかある。その校舎はどの学校に合計何棟あるか。加えて耐力度調査の実施の有無はどうか。

教育部長 文関小が2棟、清末小が1棟、誠意小が1棟。要調査の校舎に対する耐力度調査は大規模改修工事の実施前におこなう予定としていたので、現時点では安岡小以外ではおこなっていない。しかし、安岡小の耐力度調査結果を踏まえ、その他の要調査となっている校舎についてもできる限り速やかに調査をおこなっていきたい。

本池 長寿命化判定をおこなったのは平成18年~24年ごろだ。すでに10年以上、20年近くたっているのに、「要調査」にしたまま耐力度調査をおこなっていないということだ。「よりよい教育環境」以前に、生徒の命や安全をどのように考えているのかという問題だ。今回安岡で基準点以下になったが、そのほかの学校もわからない状態だ。耐力度調査はいつ実施するか。

教育部長 できるだけ速やかにおこなっていきたい。

本池 来年度にやるのであれば予算化に向けて動かなければならないがどうなっているか。

教育部長 予算編成のなかで判断される。

本池 命がかかわっているので早急にやってほしい。年数でいえば安岡小2舎より古い校舎も含んでいる。事実として、「健全ではない」という結果が出ている校舎に子どもたちを詰め込んで、その先を決めるための調査をいつまでもしていないのはおかしい。早急にやってほしい。

放置されている誠意小の現状

本池 安岡小と同じく、「要調査」の校舎を抱えている誠意小について聞く。誠意小は今年で150周年を迎え、現在153人の児童が通っている。築45年の「新校舎」、裏に「要調査」となっている築67年の「旧校舎」がある。新校舎では1~3階のすべての男子トイレで小便器の水が流れない。そもそも用を足したあとにその都度流す仕組みではなく定期的に上部のタンクから水が流れる「配タンク式」トイレだが、その水が流れない。だったらどうなるかわかると思う。なるべく臭いを抑えるために、毎朝、校長先生がジョーロに水を汲み、1日に何回も流しておられる。また、使う便器をローテーションしており、使ってはいけない便器には張り紙がしてある。この状況を教育委員会はご存じのはずだ。

誠意小学校の旧校舎のトイレと洋式便器

そして、築67年で「要調査」となっている旧校舎のトイレ【写真】だ。67年前の仕様なので電気が少なく全体的に薄暗い。女子トイレは、きれいに掃除されているが、ウェット式であり基本は和式。奥に一つ洋式便器がある【写真】が、まるでキャンプ場か海水浴場の仮設トイレのようだ。しかも、このトイレを日常的に使っているのは1年生と通級の子どもたち。木のパレットのようなもので高さを出してあるのはわかるが、これはあんまりだ。

校舎内部も雨漏りに加え、床板が剥がれているところをテープで補修してあったり、職員室の鍵が壊れたまま修理されず、輪ゴムで止めてある。防犯上もありえない状況だ。こうした状況についてはすべて教育委員会に報告が上がっていると思う。

こうしたことが長期間にわたって改善されない、危険個所すら手つかずという状況を見ていると、現在の整備事業がいったいどうなっているのかと思う。トイレの水が流れない状況を紹介したが、トイレ快適化事業の対象校に誠意小学校は入っているのか。

教育部長 対象校になっているが、現時点ではトイレ改修の時期は定まっていない。

本池 1~3階まで男子トイレの小便器はすべて水が流れないが、その状況はいつなおるのか。そのまま使っていくつもりなのか。

教育部長 現場を早急に確認させていただく。トイレ快適化事業は便器だけでなく、水の道(1階から3階までの配管を含めて)の敷設から変えていく事業で、これについては計画的にとりくんでいると思う。今後もそれぞれの学校の状況を聞きながら対応が必要なところについては急いで対応していきたい。

本池 旧校舎のトイレ【写真】だが、2月議会のさい当時の教育部長は、「平成30年には校舎の各フロアに1カ所以上の洋便器の整備を終えた」と答弁した。その洋便器がこれだろうか。1年生が使うものだ。「整備を終えた」といえるものではない。

誠意小学校は第3期適正規模・適正配置計画までは豊洋中学校に統合が計画されていたために長寿命化事業の対象にすら入っていない。統合がうち出されている学校は環境改善の見通しはないのだろうか。誠意小の改修はどのように進んでいくのか。

教育部長 誠意小は長寿命化計画の上位計画である第3期下関市立学校適正規模・適正配置計画において閉校予定となっていたため、大規模改修工事の計画は定めていなかった。今後は本年8月に定めた第4期下関市立学校適正規模・適正配置計画の整合を図るなど、長寿命化計画の見直しをおこなうなかで改修時期を検討していく。

本池 安岡も誠意も一つの事例であって、各学校それぞれが深刻な状況を抱えている。統合予定だからとか、児童数が少ないからとかで改善に向けて動き出さない状況があるのではないか。子どもたちの教育環境にとっての必要性よりも、「どうせ人口減少する」「児童が減る」などの大人の都合が優先され、後回しになってきたのが教育現場であると思う。

本池 市内のほとんどの学校で、改修を必要とする箇所が長期にわたって放置され、先生方や公務技師、学校支援課のみなさんのおかげでこれまで犠牲が出ずにきている。ここで、学校の改修がどこまで進んでいるのか質問する。まず、外壁や屋上防水について聞く。長寿命化計画では、対象施設254棟中、「5年以内に修繕が必要」のD判定が、「屋上・屋根」で105棟、「外壁」で104棟になっていた。どこまで進んだのか。

教育部長 大規模改修は菊川中学校の体育館の建て替え(令和4年度)、勝山中学校の校舎3棟(今年度完成予定)だ。予防保全は、令和4年度から今年度までに実施中のものも含め、外壁や屋根・屋上が4校4棟。トイレの大規模改修が15棟47フロアだ。

本池 屋根・屋上が105棟のうち何棟なのか。外壁が104棟のうち何棟進んだのか。

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9月議会一般質問「水道料金の値上げについて」のご報告。

先の9月議会で、下関市で来年4月に予定されている水道料金の値上げについて質問しました。急激な人口減少が進むなか、全国の自治体で水道事業が困難になっており、下関市も事業の赤字を理由に水道料金の値上げに踏み切ろうとしています。物価上昇のなかで市民生活は厳しさを増しており、誰もが切り詰めた生活をしている最中にです。今議会では8議員が水道料金にかかわる質問をしましたが、それほど市民の関心が高い問題です。ハコモノ開発に何十億円も注ぎながら、安易な料金値上げをするのではなく、市民生活を守るために市政の抜本的な見直しが必要です。以下、執行部との質疑の文字起こしを掲載し、ご報告といたします。今後とも忌憚のないご意見をよろしくお願いします。

本池 水道料金については今議会で8人の議員がとりあげており、それほど市民への影響が大きく重要な問題であるということを重く受け止めていただきたい。上下水道局の説明内容は来年4月から、水道料金が平均20%上がるというものだ。そして4年後にまた値上げされ、現行と比較し約4割の値上げがおこなわれるというものだ。8月1日~8月8日にかけて水道局が市民説明会をおこなっているが、この目的はなにか?

伊南上下水道局長 料金改定の検討状況を知っていただくこと、料金改定の必要性を理解していただくことだ。

本池 参加状況は表のとおりだ。この人数を水道局内ではどのように評価をしているか。

水道局長 一部の地域では参加者がとくに少なかったり、いなかった地域もあった。周知についてはもう少し工夫することができたのではと考えている。

本池 私も2カ所の説明会に行ってみたが、参加者が少ないだけでなく水道局関係者をどちらでも見かけ、いわゆる「さくら」のような雰囲気もあったのだが92人のうち純粋な市民の参加は何人か。

水道局長 確認していない。

本池 ほとんど市民参加なき説明会であったと思う。豊北町などは参加者ゼロで中止になった。地域性から考えても信じがたいものがある。具体的にどのような周知をしたのか?

水道局長 市報の7月号でお知らせをした。6月下旬に水道局のホームページに掲載し、7月中旬に水道局のSNS、下旬に市のSNSに掲載した。各開催場所で開催1週間前にチラシを配布した。

本池 市報(7月号)だが小さすぎて誰も気が付かないし時期も早すぎる。8月号に載せてもよかったし、ホームページも新着に押し下げられていくので再掲しても良かったと思う。豊北町では一昨日にやりなおしの説明会があった。自治会長を対象に呼びかけられたそうだが、たくさんの参加があり相当な意見が出た。まともに呼びかければこれほど来られるということだ。それを市内8カ所でされていれば今のような状態にはなっていなかったのではないか。市民が水道料金の値上げについて理解していると思うか。

水道局長 参加された92名の方にアンケートを実施し、アンケートの回答者76名のうち72名が「理解できた」と回答している。一定の成果はあったものと理解している。

本池 参加者は理解しているということだ。一番最初に確認した説明会の目的は達成されたか。

水道局長 参加者のアンケートによれば、市民説明会の目的とすれば一定の成果は上がっている。

本池 市民全体が理解しているのかといっている。そもそも周知が行き届いていないなかで、来た人だけの評価をもって達成されたというのは違う。「周知については工夫ができたのではないか」といわれているが、その後の行動が市民に知ってもらおうという行動になっていない。今後10月に第3回経営審議会をおこなって答申を出し、12月に条例改定というスケジュールになっているが、これで市民に説明をしたことにするのか。

水道局長 料金改定は市民生活に影響を与えるということもあって、市民のみなさまのご理解が必要だと考えている。その手法として市民説明会を開催した。それだけでは十分ではないと思うのであらゆるSNSを活用して周知をかけ、市報を活用して分かりやすい説明に努めていくということだ。

本池 きちんと周知をすればたくさんの市民が来ることは豊北の事例で証明されたと思うが、今のままでは市民の多くがなにも知らないまま料金改定がされることになる。水道事業が厳しくなっていることは理解するが、なおさら市民に正しい情報を伝え、一緒に水道やインフラ整備の重要さについて考えなければならないのではないか。まともな周知をせず、説明会を終えたことにするのでは市民は納得しない。説明会のやりなおしを求めるがどうか。

水道局長 市民説明会は周知の重要な一つの手法だが、それだけでなく、SNS・市報、あらゆる情報とあわせてしっかり周知をはかっていきたい。その手法の一つに市民説明会をおこなったが、一部の地域で参加者がいない状況があったのでフォローして進めている。

本池 一部ではなく、ほとんどの会場で参加者が少なかった。これについてやり直しをしないのかと聞いている。検討するのか、しないのか?

水道局長 市民説明会は一つの手法なので、あらゆる手法をもってみなさんのご理解をいただけるよう努める。

本池 検討しないのだろうと思う。

参加者ゼロで中止となった豊北町では、住民の要望でやり直しの説明会がおこなわれ、多くの方々が参加されました(9月22日)

値上げの影響 ろくに説明もせず実行

本池 説明内容について触れていく。すでに指摘されているが、説明資料は、「水道料金を値上げするしかない」ということに徹した資料だ。水道料金が家計に占める割合は「ガス料金の半分以下」「電気代の5分の1」「飲料水として考えるとペットボトル水の320分の1」とか、市民からすれば、だからなんだという話だ。普段から水道水を使ってもらうためにこれをいっていくならわかるが、値上げを呑ませるためにいうことではないはずだ。企業会計の仕組みについて突然いわれても理解できるわけがなく、もしもこれを本気で考えたのであれば、誰に対し、なにを伝える説明会なのかを一旦整理したほうが良い。

値上げの理由は、「人口減少などによる料金収入の減少」「近年の急激な物価・人件費の上昇」「老朽化した施設・管路の更新や耐震化の本格化」といわれている。要するに、令和8~11年の総括原価(事業の維持・運営に必要な費用)が約232億円、現行の料金収入見込みが約193億円、不足額が約20%にあたる39億円。これを、20%の料金値上げによって回収するという内容でよいか?

水道局長 総括原価は232億円、現行の料金のままだと収入見込みが193億円、不足額が39億円で間違いない。

本池 232億円に対して現行料金収入193億円は約83%で、不足分39億円は約17%になるが、もしも【図】をもって値上げするのなら、20%ではなく17%ではないのか? また、「5年間で25・5%」を「4年間で20%」まで下げたといっているが、説明の端々にごまかしがあるように思う。説明会では総括原価232億円の内訳も、値上げ分の39億円の使い道も触れられなかったが、値上げによって増収となる39億円の使い道は?

水道局長 4年間で約39億円の使い道は、長府浄水場更新事業に約20億円、老朽化した管路の更新や耐震化に12億円、その他老朽化した施設の更新・耐震化などに7億円だ。

本池 そうした内容を市民に示すべきだ。今、全国各地の水道料金が値上げされているがほぼ同じ説明だ。施設・管路の老朽化は今に始まったことではない。平成23年の下関市の水道料金値上げ時にも長府浄水場の更新が理由になっていたし、「インフラ長寿命化基本計画」も国が平成25年に策定していることを見てもそれは明らかだ。

全国で状況は同じだが、想定をこえるスピードで人口減少が進行しているのが下関市の特徴だと思う。それを解決しないまま今日まで来て、このたびの説明会で、今、値上げしなければ、たちまち能登の(管路の被害状況)ようになるかのような説明をすれば、市民の不信感が広がるのも当然だ。説明会では「脅しは慎んでほしい」というご意見も出ていた。事後回収が難しい、施設更新にかかる費用を現在の利用者負担としていく制度のあり方も議論されており、そうしたことを正直に、丁寧に説明しないままでは納得されない。

ほかにも、水道局の経営努力の取組と成果として、水道サービス公社の廃止で5・5億円の成果を上げたとある。しかしこれまで公社がやってこられた業務のなかにある漏水箇所の特定が、今後は市民の負担になる。廃止によって市民に生じる負担や、サービスの低下についてはなんの説明もない。これは成果なのだろうか。

多い高齢単身世帯 少量使用者の負担増大

本池 値上げの内訳だが、基本料金の改定率は26%値上げで概ね固まっており、従量料金にスポットが当たっており、平均15・7%の改定率をどのような配分にするかという検討になっている。その主な検討部分は、「生活用水としての使用が多いメーター口径25㍉以下の従量料金」で、「ひと月10㌧までは1㌧あたり10円」になっているところを、「11円」にするか「20円」にするか「40円」にするかが案①~③で検討されている。なぜ従量料金の改定が検討の中心になっているのか?

水道局長 単身者、低所得者といった方々は、傾向として水の使用量が少なくなることが想定される。こういった方々への配慮として小口径13㍉、20㍉、25㍉の1月の使用量10㌧まで、他の区分に比べて安い単価に設定している。少量使用者への配慮で、その区分は増額を抑えるようにはしているが、その分、他の区分に上乗せされるようになるので、バランスを考えて従量料金を中心に検討しているところだ。

本池 少量使用者への配慮はするが、配慮しすぎることで他の区分の人とのバランスが崩れるので、公平性を鑑みるということか。

水道局長 そのとおりだ。

本池 平成23年の改定時に基本水量の廃止にともなってもうけられたのが、「10円」の部分だ。なぜここが「10円」となっているのか、簡潔に説明をお願いする。

水道局長 平成23年度までは基本水量に入っていたのでゼロだったが、それを改め、他市の事例も見ながら一番低額の10円に設定した。

本池 これは激変緩和措置だという説明も受けた。平成23年度の料金改定ではそれまであった「基本水量」が廃止となっている。それまでは1㌧使っても10㌧使っても料金が同じという「不公平感」があったことが理由になっている。このときは1㌧でも10㌧でも「1029円」だった。それが基本水量が取り払われたことにより、13㍉口径で1㌧の人は「1102円」、10㌧の人は「1192円」となり、90円の差ができたことを「不公平感の解消」といっているようだ。「不公平感の解消」といって、双方値上げをして差をつけた。冷静に考えたらただの値上げではないかと私は思っている。今回の値上げにさいしても少量使用者とそうでない方との不公平感解消といっている。質問だが、水道料金でもっとも多いのは、どの使用水量か?

水道局長 口径13~25㍉の令和6年度の使用水量の実績では、1カ月当り10㌧までの使用が一番多い。

本池 水道局の経営審議会でも使用水量の分析をしておられる【グラフ】。10㌧未満は4割となっており、「使用水量の少ない使用者群の構成比が上昇している」との記述がある。使用水量の少ない世帯の世帯構成や経済状況は把握しているか?

水道局長 今手持ちの資料がないが、当然検討して算出している数字だ。 続きを読む