一般質問のご報告①【南風泊地区高度衛生管理整備事業】

17日に12月議会が閉会しました。今議会でおこなった一般質問について、質問と執行部の答弁(要旨)を紹介いたします。

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本池 平成25(2013)年に水産庁が策定した「下関地区高度衛生管理基本計画」にもとづき、本市の事業として南風泊分港の高度衛生管理型荷さばき所を整備することが決まった。平成28(2016)年には基本設計・実施設計がおこなわれているが、それ以降、工事が進んでいる様子が見えず、漁業関係者、市場関係者、彦島地区の住民の方々より「なにが起きているのか」といった声をいただいている。加えて、経済委員会にて何度も工事費の増額、工期の延長がおこなわれていることから改めて質問する。どのような経緯でこの事業が始まったのか。

三木農林水産振興部長 下関市地方卸売市場南風泊市場は昭和49(1974)年11月にフグを中心とした卸売市場として開設され、本事業を検討し始めたときにはすでに40年経過しており施設の老朽化が著しく耐震化についても未整備の状態だった。平成25(2013)年9月に国が全国的な水産物の流通拠点である下関漁港において、水産物の高度な衛生管理を実現するための基本的な考え方や対応方針等を示した「高度衛生管理基本計画(下関地区)」を策定している。この基本計画等をもとに平成25(2013)年10月に国が策定した「特定漁港漁場整備事業計画(下関地区)」にもとづき、安全安心な水産物の供給と販路拡大等をはかるための整備を山口県と下関市でおこなっている。財源的に有利な国の補助制度を活用し、全国の特定第3種漁港のすべてがとりくみを開始していた高度衛生管理対応に着手することは、南風泊市場の将来を考え実施すべきものと判断した。

本池 もともとあった市場を解体し、現在は仮設市場にて業務がおこなわれている。新しい市場が建てばまた引っ越しというスケジュールになっているが、現在の仮設市場の場所に初めから新市場を建てればよかったのではないかとの声もある。この場所に決まった理由は。

三木農林水産振興部長 平成28(2016)年3月に基本構想を策定し、そのなかで整備方法について4つの案を検討した。その検討のなかで現在の仮設市場の位置では十分な用地が確保できなかったことから、旧市場の位置へ建設することとした。高度衛生管理型荷さばき所は「搬入エリア」「洗浄エリア」「荷さばきエリア」に分け、衛生管理をおこなう必要がある。現在の仮設市場の位置に新たな市場を整備した場合、横長の設計が難しいことから、荷さばき所の区域が広くなり、陸揚げから搬出までの移動距離も長く、市場関係者に負担を強いることになる。さらに、陸揚げする船や畜養する生け簀を設置するには静穏度を保たせるために防波堤を延伸しなければならず、他と比較すると全体的にコストもかかることから現在の計画になった。

止水対策工事が進まない原因

本池 平成28(2016)年から地質調査と基本設計、実施設計をはじめ、各種工事の施工業者が決まっていったわけですが、基礎工事に遅れが生じ、現在も、まだ【写真】のような状態になっている。

 

本池 工事に関する遅れの原因をお聞きしする。建築主体工事の契約締結後から工事内容の変更がほぼ毎定例会ごとに出てきている。工事費も当初の契約金額24億394万円から、4億839万4800円増え、28億円を超えるまでになっている【下の表参照】。増額の大半を占めるのが止水対策工事で、これまで止水対策が進まず二度の工法変更がおこなわれている。工事変更内容はどのようなものか。

伊南建設部長 荷さばき所建設のためには海水を止水して基礎を施行することが必要となる。このため、止水工法として「硬質地盤クリア工法」という方法を採用した。この工法は鋼製の矢板で設置するいさいにオーガスクリュー(ネジ状の掘削機)により先行して地下を掘削し連動して鋼製の矢板を圧入するという工法で、硬質な地盤に鋼製の矢板を設置する場合に有効とされる工法だった。2度目の工法は耐震岸壁から旧護岸にかけて一定レベルまで掘削をし掘削した底面に海水を止水するためのコンクリートを打設した。

本池 これからおこなうガンパイル工法はどのような工法か。

伊南建設部長 矢板を設置する位置には裏込石(うらごめいし)が施行されている。これは5㎏~10㎏の雑石で大きさは20㎝~40㎝ある。硬質地盤クリア工法を施行し始めたが、オーガスクリューにより地中の裏込石の掘削を進めると、裏込石が動いて結果として矢板を設置することができなかった。この次として止水コンクリートの工法を試してみたが止水ができなかった。こうした経緯・現場状況も踏まえ改めてケーソン構造の岸壁の安定性なども確認しながら再度止水工法の検討を入念におこなった。今回のガンパイル工法では先端の石を粉砕しながら矢板を打撃により打ち込む工法なので、裏込石が動いて崩落することがあっても施行が可能となる工法と見込んでいる。

本池 今回のガンパイル工法で3回目になるが、止水のためには矢板をうたなければならないということになったのだと思う。今回の工法変更にいたるまで庁内でどのような検討・協議がなされてきたか。かかわった部局はどこか。

三木農林水産振興部長 問題解決に向けて止水工法の検討を海洋土木のコンサルタントに委託し工法の選定をおこなうなど、工事を進めるための調整をおこなってきた。市場流通課、農林水産振興部と建設部、港湾局にも意見を聞いてきた。

本池 「止水ができない」ということで、なんとか水を止めようと協議され変更がおこなわれているが、結局のところ止水ができない原因はなんだったのか。

伊南建設部長 地中の裏込石の状況が不確定だったこと、潮位が海沿いということで、ある程度は想定していたが思った以上に海水の圧が強く、なかなか止水ができなかったことだ。

本池 (荷さばき所建設予定地である)県施工の耐震岸壁はいつ着工しいつ完成したのか。

三木農林水産振興部長 着工は平成29(2017)年3月7日で完成は令和3(2021)年7月30日。

本池 下関市で荷さばき所の設計委託業務がなされたのはいつか。

三木農林水産振興部長 基本・実施設計は契約日が平成28(2016)年7月1日、契約期間は平成28(2016)年7月4日~平成30(2018)年3月9日。

本池 ということは(荷さばき所の)設計のさいには耐震岸壁はまだなかったことになるが、岸壁工事の詳細はどこまで把握していたのか。県と市でどのように情報共有をして荷さばき所の設計まで至ったのか。

伊南建設部長 市の建設部、農林水産振興部と、県の関係部局、県及び市の設計事務所による定期的な協議により情報共有をしながら設計を進めてきた。

本池 荷さばき所の設計後、耐震岸壁の設計内容に変更はあったのか。

三木農林水産振興部長 県に確認したところないということだった。

本池 県との連携、情報の共有はできていたのだと思うし、裏込材についても承知していたということになる。では、なぜ当初の設計に「硬質地盤クリア工法」がとられたのかという疑問が浮かぶ。これで施行できるという判断を、どの部局が、どのような根拠にもとづいて決定したのか。

伊南建設部長 判断したのは建設部公共建築課。硬質地盤クリア工法の採用にあたっては矢板の施行に関する専門の協会に対して硬質地盤クリア工法の概要、また、当該施工場所での適用についての聞き取りをおこなっている。実際に現地でも確認してもらったうえで施行が可能というご意見があったので採用した。

本池 結果的に、工法が間違っていたというのが止水ができない原因だと思う。しかし、現在までそこ(原因)には絶対に触れられてこなかったし、終いには「土木工事は難しいのだ」「掘ってみなければわからない」といわれてきた。これは聞き取りでもそうだった。これほどの増額が次々におこなわれているのに、「掘削する工法が間違っていた」ということが委員会でもこれまでいわれていない。そこが明らかにされないのはおかしいし、逆にいえば「難しい」の一言で片づけないでいただきたい。また、公共建築課が協会に意見を聞いて、そこにもとづき判断したとのことだが、市場流通課内には設計図書を確認できるなど事業を進めるに必要な体制はあったのか。

三木農林水産振興部長 工事の設計については建設部(公共建築課)のほうに意見をいただきながらやっているので体制としてはあったと思っている。

本池 公共建築課は日々さまざまな公共工事の関係業務に追われており、この南風泊もそのなかの一つということになってくるかと思う。よく大きな事業を進めるさい、技術職員を集めて「推進室」として工事関係の業務にあたるやり方もあったと思うが、そういうやり方はとられなかったのか。

笹野総務部長 一般的にさまざまな事業・プロジェクトを進めるなかで重点化するものには課内室を設置する場合がある。実際にいろんな協議をされたなかでこういった判断をされたかと理解している。当然職員の数は限られているので、そうしたなかで一番有効な解はなにかというところを探して、結果としてそういう体制を敷いたということだろうと理解している。

本池 「整備推進室」には技術職員は何人いるか。

笹野総務部長 室には二人。室長一人で技術職。もう一人は事務職員だ。

本池 技術職員は室長の一人だ。おそらくこれまで市場流通課からも技術職員の配置の要望があったかと思うがそれはできなかったのはなぜか。

笹野総務部長 市場流通課にかかわらず全庁的にいろんな事業の話を聞いたうえで増員要望があるが、そのなかで配置ができる、できないはある。市場流通課だけでなく建設部との連携をはかりながら事業に携わる職員が努力していると理解している。

本池 南風泊の事業を見ていて、公共工事を含めた安定的な行政運営にとって、技術職員の専門的で公的な視点というものの大切さを感じるところだが、この間、技術職の職員が足りず、追加の募集などもおこなってることはみなさん周知の事実だと思う。そこでお聞きするが、技術職(土木、建築、機械、電気)の職員数はどのように変化しているか。

笹野総務部長 (答弁は表参照)

土木 建築 機械 電気 合計
2005年 164 50 56 56 326
2015年 158 43 57 61 319
2024年 146 37 49 62 294

本池 一見関係ないように思われるかもしれないが、技術職の人数は公共工事の質に直結するものだと思っている。「減ってはいるが、今と昔ではやっている業務が違う」ということも聞いたが、業務量が減ったかといえばそうではないと思う。例えば設計に関しては委託がすごく増えているが、そのチェックは自前で設計する以上の技術的な視点が必要だとの指摘も元ある。自己都合で辞めていく若手の技術職の割合も多い。時代背景もあって全てが市の責任とはいわないが、組織としての弱体化が非常に危惧されている。今回は南風泊工事の工事の遅れという事実についても技術職員の体制、設計確認の体制はどうだったのか。組織としての検証が必要ではないか。市民から見れば一向に進まない工事に何億円もどんどん注ぎ込まれているようにしか見えない。

関係者への説明状況

本池 話を南風泊に戻すが、これだけ工事が長引いているなかで、適宜、説明がなされているのか。

三木農林水産振興部長 「高度衛生検討委員会」で整備状況や今後のスケジュール等について説明している。昨年度は3月に開催した。今回の工法の変更や今後の見通しに関しては、直接の影響が大きい卸売業者に説明している。

本池 関係者は卸だけではない。関係者のなかでも、もう(市場は)できないのではないともいわれているくらいだ。仮設市場も使用年数が延びすでに雨漏りなども起き始めている。修繕が必要な箇所はきちんと対応していただくのはもちろんだが、進捗がどうなっているかを関係者に丁寧に説明することを求める。

水産業の振興を

本池 天然ふぐを漁獲する延縄漁の漁船の数はどのように推移しているか。

三木農林水産振興部長 日本海や九州西の海域におけるフグ延縄漁業については5t以上の漁船は国の承認が、5t未満の漁船は国への届出が必要となっている。市内で承認・届出済の漁船は合計で22隻だ。

本池 下関漁港水産統計年報より、南風泊に水揚げする漁船の隻数を見たところ、平成25(2017)年が168隻だったの対し、令和4(2022)年には84隻まで減っている。延縄漁師への支援はどのようなものがあるか。

三木農林水産振興部長 本市ふぐ延縄漁師に限定したものはないが、下関市の漁業者が漁船等を整備するさいに利用可能な支援として「漁業近代化資金」と「新規漁業就業者生活生産基盤整備事業」がある。

本池 タブレットには下関市水産統計より、下関市の市場の取扱金額、取扱量、次ページには、そのグラフを示している。沿岸、沖底の減少幅が大きいが、南風泊においても取扱量の低迷状況がわかるかと思う。「高度衛生化管理基本計画」では取扱量、金額ともに平成22年や平成24年のものが使われていた。

また、計画のなかには「登録漁船」とあり、平成22年に301隻となっているが、最新の数字でどうか。

三木農林水産振興部長 令和5年4月1日現在で192隻。

本池 301隻から192隻ということで、15年くらいたっているので、そのような変化が出ている。

今回、現場の方々にお話を聞いて回ったが、みなさん危惧しておられるのは、高度衛生市場の建設が進まないことではなく、下関の漁業の衰退状況であり、取り扱う水産物がなくなってしまうということだ。高度衛生の市場については将来的にはないよりはあったほうがいいという声もあるが、立派なものをつくっても肝心な漁業者がいなければ「仏つくって魂入れず」状態になってしまうのではないか。とかく箱物建設がどんどん進むが、漁業者に対する支援――これも現在の高齢化などの現実にあっていない。漁業そのものを底上げする政策が下関は非常に弱く、その結果が現在の水産業の実態につながっているのではないか。

市場関係者の話だが、「エンジンが壊れたなどで辞めていく漁師が多い。エンジンを変えれば2000万円かかるが、その費用は個人では負担できない。借金できたとしても今後後継者もいないなかで返済の見通しはたたない。なのでやめるしかない、と辞めていく。市場の止水対策に2億9000万円かけるぐらいなら、何杯の船を修理してあげられるだろうか」といわれていた。高度衛生化の市場が要らないとはいわないが、今、しなければならないことはなんなのか、ということだ。基本計画策定時の供用開始(予定)は令和3年だった。これほど期間が延びたことにより前提条件は大きく変わってきている。今一度、どこまでの規模感の施設が必要なのか、関係者と再検討をおこなっていただきたい。関係者がどのように考えているかをしっかりと把握してからこの事業を進めるべきだと思うがどうか。

三木農林水産振興部長 大きく工事が遅れているのは事実なので、関係者の方にも説明をさせていただく機会をもうけていきたい。

本池 そのさいには関係者がどう考えているか、今の事業をどう見ているかの把握をお願いする。今回、国の手厚い補助金が、高度衛生化の事業を進める理由の一つになっているが、国の補助金が必ずしも地方のためになるとはかぎらないし、その縛りによって逆にしなくてもいい工事になったり、現場にあっていないということはこれまで経験があるかと思う。少なくとも、4億円の増額という事実についてその経緯には真摯に向きあっていただくと同時に、高価な市場建設よりもまず、下関の漁業の衰退状況に本腰を入れてとりくんでいただきたい。

9月議会での一般質問【大谷斎場の空調設備故障について】のご報告。(文字起こし)

今年の夏、下関市が運営する大谷斎場の空調設備が故障し、多くの市民の方、ご遺族の方から苦情が相次ぎました。故障自体はどの施設でも起きるものではありますが、故障が起きたときの対応の在り方に加え、適正な維持管理を確認するために一般質問しました。以下、要旨をご紹介し報告といたします。

本池 今年の7月17日から8月8日までの23日間にわたり、下関市の火葬の約85%を担っている大谷斎場の空調設備が故障した。故人との最期のお別れをするために訪れた方々が猛暑のなか待機しなければならなくなり、車内で待つよういわれたり、館内で働くみなさんも大変暑いなかでお仕事をしなければならなかった。そのうえ、復旧まで時間を要したことから、「下関市はなにをしているのか」との苦情が多く寄せられた。すでに復旧はしているが、斎場の役割から考えたさいの施設の維持管理のあり方、緊急時の対応について考えなければならない。そこで、今回の故障の原因についてお聞きする。

山田市民部長 まず、大谷斎場の空調の故障により、長期間にわたり多くの斎場利用者のみなさまにご迷惑をおかけしたことをこの場をお借りしてお詫び申し上げる。この度の大谷斎場の空調設備故障の原因は、冷却ポンプモーターの異常により、館内に冷却水を送ることができなくなったことによるものだ。この冷却水ポンプモーターの故障は、施設の雨漏りにより配電盤のなかに雨水が侵入し、電気回路上の制御機器が故障したことで、過電流が生じ、冷却水ポンプモーターに過度な負荷がかかったことにより発生したものだ。

本池 8月8日の復旧までの流れを確認する。7月17日の故障を受けてから、いつ、どこに工事を依頼したのか、修繕の金額はいくらになったのか、契約方法についてお尋ねする。

山田市民部長 空調機能の障害が発生したのが、令和6年7月17日、午前9時15分頃で、ただちに空調設備の点検業務を委託している事業者に対して現況確認と原因の特定を依頼した。この事業者により、この日の午後1時ごろに故障の原因が特定されたのでただちに故障の解消のための修繕を発注した。修繕の契約相手方は山口合同ガス株式会社。契約方法は、競争入札により選定する時間的余裕がなかったことから一社随意契約とし、契約額は148万5000円。契約期間は7月17日~8月9日までの24日間。修繕が完了したのが8月8日の夜間で8月9日から正常に稼働している。

本池 復旧まで23日間という日にちを要した理由は

山田市民部長 冷却水ポンプモーターを取り換える必要があった。このモーターが受注生産であったため納品までに時間がかかった。

本池 故障の間の利用者への対応について聞く。斎場は営業していたので、利用者に対してどのような対応をとったのか。

山田市民部長 ただちにスポットクーラーなどを手配し、この日の午後にはスポットクーラーを9台、大型扇風機を10台設置し、斎場利用者のみなさまがお過ごしになる環境の改善を試みた。また、葬祭事業者に対しても大谷斎場の空調設備の故障について周知し、利用者のみなさまには葬祭事業者を通じて、必要に応じてマイカーやバスなどの空調の効いた環境でお過ごしいただくようご協力をお願いした。

本池 利用者が暑い思いをしないよう、一応そうした対応がなされたのはわかった。利用者のみなさんに必要に応じてマイカーで待機してほしいといわれていることについて、扇風機やスポットクーラーを設置してもなお暑いという事実があったから、車で待ってもらうよう案内したということか。

山田市民部長 そのとおりだ。

本池 確認したところ、故障期間の火葬件数は216件ということだった。1件に対し遺族・親族がどれだけ訪れているかはわからないということだが、仮に5人であったとして、1000人以上の方々が1時間半~2時間も外の車で待たされたことになるし、火葬を終えるまでの間に親族で集まって故人を忍ぶこともできなかったということだ。一人の方が人生を終えること、悲しみとともに厳粛に故人を送る方々の立場にたったとき、「故障していたから仕方なかった」では済まない。利用を受け入れるのであれば、お金がかかってでも館内を遺族・親族が過ごせるようにするまでが「対応」だ。扇風機やクーラーを置きました、でも冷えませんでした、ということではない。今回は雨漏りによる故障ということだったが、これまでこのようにエアコンが使えず利用者に迷惑をかけてしまったことがあったか。

山田市民部長 近年の故障については、昨年度、吸収式冷温水器のファンモーターの故障により、令和5年9月16日から22日までの7日間空調設備が故障していた。このときはモーターの経年劣化が原因で、経年劣化箇所については、令和5年度において改修する予定としていたところ、改修工事請負契約締結の直前に故障が発生した。このさいにも今回と同様スポットクーラーや大型扇風機を設置し、斎場利用者のみなさまがお過ごしになる環境の改善に努めたほか、葬祭事業者に対しては空調設備が故障していることを周知するとともに、利用者のみなさまには葬祭事業者を通じて必要に応じて空調の効いた環境でお過ごしいただくように協力をお願いした。

本池 それでも、みなさん暑いとか寒いとかいろんな経験をされたので、苦情がたくさん届いたし、対応というのは考えていただきたい。今後の計画について聞くが、今回の事態を受け、斎場の建屋の工事が必要となると思うが、今後の計画を示してほしい。

山田市民部長 屋根の改修計画だが、令和9年度~11年度にかけて継続して実施することを計画していた。しかし今回の件をうけ、これを前倒しして実施するために所要の予算の確保に努めていきたい。設備改修についても計画的に進めていく。

その他の斎場の状況について

本池 その他の斎場の状況を確認するが、空調が故障している斎場はあるでしょうか。あれば何か所か。

山田市民部長 現時点で不調をきたしているものはない。

本池 6月の定例会に豊北町の自治会のみなさんから要望書が提出されていて、主にトイレの早期改修に関するものだったが、このなかに「冷暖房の効きが悪いため、冬季は寒くて困っている」との記述があった。今は「ない」とのことだが、何度も修繕を重ねていたり、経年劣化が進んでいるのが実態であると思っている。

先日の一般質問では墓地のことが出された。斎場も墓地も目立たないものだ。しかし、先ほどからのべているように、一度きり最期のお別れの場である重みに加え、遺体の適切な処理や伝染病予防など公衆衛生や、福祉の増進の観点からも必要不可欠であり、収益性だけではかれない。必要なお金をかけて設備を維持・管理することはもちろん、遺族・親族が不快な思いをしないようトイレや空調なども改修を進めなければならない。また、豊浦、豊田の斎場については集約化の方向性になっているが、もしも火葬炉や胞衣炉(えなろ)が故障したとき、困るのは市民だ。利用数や老朽化だけで安易に集約化していいものではない。非営利性のものだからこそ公共で運営されているのであって、今回の事態を教訓にして、再度、斎場の役割についてもしっかりと議論し、その重みにたって再検討することを求める。

9月議会での一般質問【新下関学校給食センターについて】のご報告。(文字起こし)

20日に一般質問をおこないました。今年4月から稼働している新下関学校給食センターについて、質問と答弁の要旨を紹介させていただきます。長いですが、ぜひご覧いただけますと幸いです。傍聴していただいたみなさま、ありがとうございました。

今年4月から稼働を始めた新下関学校給食センター

稼働後からの状況

本池 まず、稼働後の状況について確認する。6月議会で文教厚生委員会に報告された資料の一部を表示しているが、ここにあるように、センターの稼働にともなうトラブルがたくさんあった。とくに4月~5月のトラブルに関してはこの表の内容にとどまらずたくさんの苦言があった。現在はそうした状況もおちついており、味がしないとか、給食が一部未提供だとか、食器が足りないなどのトラブルはほぼ起きてはいないようだ。初期の混乱状態から現在まで、必死に現場で子どもたちのために力を注いでいただいた学校の先生方、給食センターの関係者のみなさまにまず感謝する。

ただ、今回の新センターは稼働して終わりではない。むしろ、計画段階では学校関係者や給食に携わるみなさんの不安に応えないまま強行してきた経緯もあるので、行政主導の民設民営のセンターの検証になるものだと思っている。今後もしっかり見ていくし、安全・安心・安定的に給食を提供していくために必要なことは現場の実情に応じてきちんと対応しなければならない。6月議会と今回、文教厚生委員会において教育委員会から説明がされているが、かなり不十分さを感じているので改めて質問する。まず、この5月23日以降の発生事案について示してほしい。

藤田教育部長 4月9日から5月23日まで7件あり、文教厚生委員会で報告した。その後は6月に異物の混入が発生しており、このたびの文教厚生委員会にて報告させていただいた。

本池 異物混入はどこの学校であったか。

教育部長 垢田小学校と西山小学校だ。

本池 この表の「未提供」分について聞く。4月9日の玄洋中学校では「豚丼」、4月12日勝山中学校では「生揚げのみそがらめ」、5月23日の長成中学校では「もやしのソテー」が未提供となっている。この未提供への対応として、玄洋中学校、勝山中学校に対しては4月22日に「追加提供」としてからあげが提供された。長成中学校に対しては当日に代替え品の「レトルトカレー」が提供されたとの報告があっている。この「からあげ」と「レトルトカレー」の提供については誰が判断をしたのか、また、教育委員会として目視で実物を確認されているか。

藤田教育部長 日々の対応については市の組織である新下関学校給食センター運営管理室にておこなっている。4月22日に玄洋中と勝山中に追加で提供した食材、からあげについては、運営管理室が受配校の栄養教諭、アグリフードサービスと協議のうえ決定し提供したものだ。まだ5月23日に長成中に提供したレトルトカレーは非常時の代替食品として、市の承諾のもと、アグリフードサービスがあらかじめ準備していたものである。提供するかどうかの判断は、運営管理室をはじめ教育委員会内でおこない提供したものだ。

本池 長成中学校のカレーに関してだが、委員会では「レトルトカレー」と紹介されたが、タブレットには実際に提供されたものと同じものを表示させていただいている【下の写真】。これは「レトルトカレー」なのか。これは非常食だ。この日未提供となったのは副菜の「もやしのソテー」であって、ご飯も温食もあった。そこにご飯とカレーが混ざったものが出てきて、これはメニュー的にも疑問を感じるが、この非常食はどういったときに使うものか。

藤田教育部長 これはまさに非常時のために備えているものであり、非常時において提供するためにアグリフードサービスがあらかじめ運営業務マニュアルによって備蓄しているものだ。

本池 非常時のとらえ方だが、以前中部調理場が水道管が凍って給食がつくれないというときにもこれ(非常食のカレー)がそのまま出せるということだと聞いた。一部の副菜が足りないときに出すものではない。それと、教育委員会に対して苦言を呈したいのは、委員会での報告のありかただ。写真を見て「レトルトカレー」だと思われるだろうか。学校保健給食課は「初期の段階だからこそミスが起こる」と委員会でいわれていたが、ミスがないとは思っていない。ただ、起きたことやそれへの対応は正直に報告しなければいけないのではないか。

給食とは、その日一日の栄養バランスだとか、カロリー摂取量が大事であって、一食一食がその子の成長や、将来の生き方、命に直結するものだ。あるときには足りず、あるときには多いというものではないし、ないからといって何でもいいから食べさせておけみたいな対応もまた違うと私は思う。トラブルがあってはいけないと思うが、あったときに、その日なにが提供できるかを考え、対応する必要がある。ここで今後の対応について聞きますが、一部未提供がもし発生したとき、今後も「後日追加提供」になったり、この非常食が提供されていくのか。

藤田教育部長 まずそういったことがないよう万全な体制を整えていくことが第一だ。また一部未提供の内容、それがどういう学校のどういう規模で起こったかにもよるので、一概にどう対応すると申し上げられないが、毎日の給食が安全安心だということで、その場その場で時間のなかで最善の判断をしていくことになると思う。そのときの状況によって判断していくことが基本だと思っている。

本池 給食の基本に立って、あるときは多いとか少ないとか、こういった物が出されることがないよう細やかな対応を求める。次に、苦言の多かったうどん類に関して聞きますが、当初から「汁がない」といわれていた。少ないどころの話ではなく「ほぼない」状態であったようだ。水分を吸ってすごく膨らんで、短く切れて、ふにゃふにゃで、後でメニューがうどんと知って驚いたという声もあった。うどんに関してその後の提供はどうなっているか。

藤田教育部長 麺類については初回の状況を踏まえてアグリフードサービスが受配校の栄養教諭とも相談しながら、作業時間や作業工程、また食材の量を調整するようにして、よりよい状態で提供できるよう努めているところだ。

本池 食材の量を調整というのは、麺の量を減らして汁を増やすという意味か。

藤田 麺が増えると煮込み時間も増えるという関係もあったので、若干麺を少なくするであるとか、その分出汁を増やして全体量としては十分な栄養がとれるよう検討しながら対応しているところだ。

本池 もっとも早く給食が到着する学校はどこで、食缶の到着時間は何時何分ごろか。

藤田教育部長 まず配送の関係で説明する。新下関学校給食センターでは7台のトラックを使用し、食器や食缶を学校別にコンテナ収納し、22校の各受配校へ配送をおこなっている。そのトラックについては小中学校合わせて3~4校を受け持っている。通常の給食開始時間や短縮授業による給食時間の繰り上げなど、各学校から提出された予定にもとづき、日々の配送計画を作成し、配送しているところだ。そのなかでその日の計画によって違ってくるが、食缶がもっとも早く到着する学校は、通常の給食開始時間を基準にして、10時24分到着予定の文関小学校が1番早い学校となる。

本池 麺類の「汁がない」という件に関しては、学校に到着してから食べるまでの時間が長すぎることが原因として上げられている。到着が10時24分ごろであるならば、でき上がり時間は何時か。

藤田教育部長 その日の献立および調理計画によって違うが、文関小学校の例でいうと10時10分に調理が完了し食缶をコンテナに収納・配送している状況だ。

本池 準備過程で、食缶の保温機能の高さについては何度もいわれてきた。今指摘している問題は、温かいけれども美味しくない、麺が麺とわからないほどだという問題だ。普通に自分のことで考えてみてほしいが、自分がお昼に食べるラーメンやうどんを10時10分に完成させ保温しておくだろうか。しかし麺類に関してはとくにそんな状況だ。給食の質を落とさず解決する方法としては、すばらしい保温機能よりも、作り上げる時間を遅くしてセンターを出発する時間を遅らせること、つまりトラックも増やして対応するしかないとの指摘も聞いている。その体制を整えることは検討できるか。

藤田教育部長 一つの方法であろうと考えている。今年、新しいセンターができ、課題も含めて検証しているなかであるので、そういった状況も踏まえ、将来的には検討の課題の一つだろうと思っている。

本池 今発生している問題をどう解決するかという方向からしっかり考えていただきたい。ちなみに自校式の学校の場合だが、最終の調理(炒めたり、和えたり)というのは11時ごろから始まって、完成は4時間目の授業が終わる3分前だった。子どもたちにできたての美味しい給食を提供したい、それが子どもたちにとって必要だという思いからだ。それと比較して、新センターの建設・稼働によってこれまで起きてきた状況、またそれへの対応が誰の立場からの対応になっているか、よく考えてみていただきたい。とくに昨年一年間、学校現場の心配に対して教育委員会は、さまざまな場で「大丈夫だ」といってきた。学校現場の側からの動きでこれまで準備はされてきたが、いざ稼働をしてみて、「これほど準備してきたのにそれでもいろいろ起きていて、恐ろしくなった」と学校現場もいわれている。

(2)現在の提供体制

本池 そこで聞くのは人員面での提供体制だ。6月議会の報告では、社員13人、調理員47人、特定技能実習生16人、配送業務19人(下関通運)、受取従事者35人の計約130人(常時約100人体制)でおこなわれていると聞いた。これが最新の数字でどう変化しているか。 続きを読む