12月定例会閉会と反対討論の報告です。

15日、12月定例会が閉会しました。下関市議会は今回の定例会に提出されていた92議案をすべて賛成多数で可決しました。今回の議案のなかで、学校給食施設再編整備事業を含む補正予算議案(161号)と、下関市立大学の中期目標に特別支援教育特別専攻科を加える内容を含む議案(245号、246号)に反対し、反対討論をおこないました。以下は、反対討論の要旨です。

161号についての討論

議案第161号 令和2年度下関市一般会計補正予算(第7回)について、反対討論をおこなう。このたびの補正予算は、歳入歳出に19億6076万1千円を追加し、その総額を1501億9584万2千円としようとするもので、その内訳には、人事異動にともなう職員人件費の減額や、新型コロナウイルス感染症対策、災害関連事業費の増額などが計上されている。

このなかに、金額の変更はないが、学校給食施設再編整備事業の債務負担行為についての変更が含まれています。令和2年の当初予算で議会が認めたものでありますが、再編整備事業については先日から申し上げている通り、現在の教育委員会の進め方に保護者や学校関係者、栄養士、調理員のみなさまから疑問と、説明を求める声が上がっている。

民設民営で8000食規模のセンターをつくり、そこに自校方式の学校を再編するという内容を、きちんと保護者やかかわるみなさんに対して説明するべきだと思う。委員会での答弁では「要望があればする」ということだったが、事業者が決まる前の段階、もっといえば公募を始める前の段階で、きちんと説明し、みなさんの意見を聞くべきだと思う。スタートに立つのはそれからではないか。

今とくに、食材についての関心が高まっていることは先日の一般質問で述べたとおりだ。衛生面だけでない「安心・安全な給食」を提供することはもちろん、生産者を含めて安心・安全な持続可能な生産体制をつくっていくことは自治体の戦略にかかっている。今あるセンターを現地で建て替えたり、自校式の学校を各学校で建て替えるには、衛生基準に達するための敷地的な問題や財政の問題があり、大規模センターにするにしても公設公営よりも安くできるのが民設民営だというのがこの間の決定の経緯だろうが、学校給食の存在価値について改めて捉え直し、保護者や学校、栄養士、調理士さんなど関係者の意見を聞き、「これからの下関市の子どもたちが食べる給食をどうするか」を検討すべきではないか。今回の補正予算が通れば、プロポーザル公告に入り事業が動き出す。今現在の給食に関してもさまざまな課題があるが、それも含めて協議するいい機会だと思うので、決めてしまう前に関係者へ事業の説明をすることを強く要望する。

今回の補正予算には、とくに新型コロナ対策として、市民病院、海響館、市民会館の改修事業、住宅リフォーム助成事業、公共交通事業者・国際定期航路事業者の支援、3密回避のための公園整備、修学旅行の中止・延期にかかるキャンセル料等支援事業などがあるほか、トビイロウンカによる被害を受けた農家に対する給付金の交付や特牛港の給油施設増設にかかる経費の一部補助など、市民生活を支えるための事業が多く含まれている。それらのことには賛成だ。しかし、給食施設再編事業に対して決まってしまう前の説明を求める声をないがしろにするわけにはいかない。遅れが生じたのは偶然ではあすが、市民の声を聴く機会を得たと思って、いったん立ち止まることが必要ではないか。議員のみなさまにおかれましては賢明な判断をお願いする。

 

245号、246号についての討論

議案第245号「公立大学法人下関市立大学に係る第3期中期目標の変更について」、ならびに、議案第246号「公立大学法人下関市立大学が徴収する料金の上限の認可について」に反対の立場から答弁をおこなう。

この議案は245号において、下関市立大学の第三期中期目標(2019~2024年度)に特別支援教育特別専攻科を加えること、また総合大学化のための学部新設に向けた文言改定、地域共創センターを廃止することがあり、246号においては、令和3年4月開設の特別支援教育特別専攻科の授業料、入学金、入学検定料を定めるものだ。 

そもそも中期目標とは、大学が6年間で達成すべき業務運営について市長が定めた目標であり、それになかった専攻科の設置が突如出てきたのが昨年5月以降のできごとだが、すでに強引に決めてきたものを後になって付け加えている感が否めない。

専攻科の設置をめぐっては、昨年5月30日に前田市長が山村理事長に担当研究者を紹介したことに始まっており、中期計画にもなかった専攻科設置の計画が市長の意向として動き始めた。特定の人物の採用ありきの専攻科設置に学内での反発が広がり、9割の教員が反対する事態まで起きたが、教育現場からの意見を聞かぬまま採用を内定したのは周知のとおりだ。こうしたなかで昨年の9月議会では、大学運営の根幹にかかわる教員採用や学部・学科の設置などの重要事項を、教育現場の意見を聞くことなしに、市長の任命する理事長の任命する理事で構成される理事会で決めていくことができるようになる定款変更議案が出され、それを市議会が可決した。その後、市長の意向で採用された研究者が市大理事と副学長に内定し、新定款のもとで教授として採用された。さらにその後に決まった新しい教員採用規程のもとで、教授会の資格審査などを経ることなく複数名が採用されるなど、他の国公立では考えられないような事も起こってる。

この一年、「大学間競争にうち勝つための大学改革」だとの言葉を何度も何度も耳にしてきた。先日の一般質問に対し市長も「多少強引な時期もあった」といわれていたが、専攻科設置と教員採用をめぐる動きについてはあまりにも民主主義的手続きを逸脱しており、その異様さこそが問題視されているのではないか。
 
インクルーシブ教育そのものについてはなにも否定するものではないし、その手法についても専門家や教育現場の英知を集めて決めていけばいいものだと思っている。必要な学部・学科やそれにかかわる人材は、学内の合意形成のもとで手続きを踏んで進めていけばいいだけの話で、それが叶わないなら定款変更をしてしまえ、学内規定そのものを変えてしまえ、中期計画も変えてしまえというような強引なやり方については看過できない。学内の合意形成が大切なのは、それが下関市立大学という一つの大学にとって、共通理解や目標、理念の共有という点で欠かせないからであり、それこそ大学の針路を決定付けるものだと思う。学長のリーダーシップといいながら、市長の意向で教員採用や専攻科の設置が決まっていくことは、「大学改革」とはいえない。

「多少強引な時期もあった」とのことだが、初めから特定の人物の採用ありきだったことがこの一年半の専攻科設置をめぐる騒動の根源であり、「強引」であるが故に「強引」に定款変更をしてしまい、そのルール変更によって「強引でない」と正当化して今日に至っているに過ぎない。私はこうしたやり方について賛成することはできない。以上で反対討論を終わる。

3月議会が終わりましたので、ご報告します。

昨日23日、令和2年第一回定例会が終わりました。

3月の議会は「予算議会」といわれ、4月からの1年間の予算についてが話し合われます。議員は、執行部の出すどのような事業にどれほどの予算が付けられるのか、事業内容は市民にとって必要なものなのか、必要なところにきちんと予算が付いているのかなど、話し合い、意見を述べることが主な内容になります。代表質問、委員会審議を経て、採決をとるのですが、すべての議案が可決となりました。

今月3日、新型コロナウイルスの感染が下関市内でも確認され、一斉休校やイベント自粛などとかかわった深刻な影響が出るなかでの議会となりました。予算の審議の過程でもコロナ対応なども含めた質疑が多くかわされ、執行部も対応しておられますが、まだまだ市民のみなさんが置かれている実情には手が届いているとはいえない状況があります。引き続き実態を届けたいと思いますので、声をお寄せください。

私は、今年度の一般会計予算に反対し討論をおこないました。理由は、昨年の9月議会の一般質問とりあげたものと関係するのですが、来年度予算のなかの下関市立大学の運営費交付金のなかに、前田市長が推薦した特定の教授を採用するために約2000万円の予算を投入することが含まれているからです。

「お金がない」。市民のみなさんが市役所に行けば、必ずといっていいほどその言葉を聞くと思います。市の財政が厳しいのは事実で、毎年のように基金(貯金)を取り崩しているのが実態です。多くの市民には我慢をさせている一方で、特定の人物のためにお金をつぎこむことは間違っていると思います。仮にどうしても必要な事業であれば、関係者での論議を尽くさなければならず、公の大学でそのような恣意的な人事がなされることはあってはならないというものです。以下、内容を紹介いたします。

反対討論の要旨

議案第10号令和二年度一般会計予算に反対討論をおこないます。

来年度予算のなかには、公立大学法人運営業務2億4,423万4000円のうち、公立大学運営費交付金のインクルーシブ教育推進のための交付金2,185万円が含まれています。来年度予算の新規事業として計上されているこの予算は、専攻科設置にかかるもので支出と収入の差額が計上されています。

まず収入ですが、特別の過程の受講料として675万円、令和3年度からの専攻科設置のための受験料に相当する検定料と入学金で74万9000円、合計749万9000円を見込んでいます。次に支出ですが、教員3名と事務職員1名分の人件費として2,780万円、研究費144万円、消耗費10万円、合計2934万9000円となっており、先ほども述べたとおり予算に計上されている2,185万円はこの収入と支出の差額分となります。

つまり、昨年から問題になってきましたが、前田市長の推薦する特定の方およびそのグループを下関市立大学に採用するための予算だといっていいと思います。下関市立大学の一連の騒動は昨年5月30日に前田市長が市長応接室で山村理事長に研究者を紹介したところから始まっています。実際に市立大学では市長の意向を受けて中期計画にもなかったこの計画が動き始め、大学自治を逸脱した特定の人物の採用ありきの専攻科設置に学内での反発が広がり、9割の教員が反対する事態まで招きましたが採用を内定し、さらに九月議会には、大学運営の根幹にかかわる重要事項、たとえば教員の採用であったり、学部・学科の設置であったりですが、これらを現場の意見を聞くことなしに理事会で決めていく定款変更議案をこの市議会が可決しました。

全国的ニュースにもなり、大学のガバナンス上ありえないことだと驚きをもって受け止められるなか、1月にはその方が理事長の任命により市大の理事に就任し、さらに先日3月16日には現事務局長とともに副学長に内定したことが発表されました。また、4月1日以降に教授として採用されようとしています。

9月議会では何人もの議員が反対討論をおこないましたし、全国的に見ても考えられないようなことが「改革」の名を借りて進行しており、これについて問題視する声が大学内外から高まっています。それらについて「将来を見越して学長のリーダーシップのもとで生き残れる大学にするのだ」とか、「これに反対するものは抵抗勢力だ」「改革を恐れている人たちのいうことだ」といった意見が出ているようですが、これまでの手続きそのものがルールを逸脱しており、ならばルールすなわち定款を変更してしまえというやり方だったにすぎません。学内の合意形成も図られないなかで決められていったのは誰がどう見ても事実なのです。

ある市民の方が「市大は前田晋太郎大学なのか?」と私に問うてこられました。本来ならば「いいえ、下関市立大学です」と応えなければならないのですが、市長が「この人」と見初めた人物を理事長にお願いしたら採用されるというのであれば、それは大学としてのガバナンスを逸脱しており、私物化という指摘を払拭することはできません。そして、その度に市財政から何千万円という人件費その他を運営交付金として注ぐというのでしょうか。市民の皆様から、市長が気に入った人物が公金によって養われるのか? と言われた際、私たち市議会議員はなんと答えればよいのでしょうか。この議場におられる先輩議員の皆様にもお聞きしたいところです。

インクルーシブ教育の推進についてはなにも否定するものではありません。重要なことであれば教育現場の実状に即して推進するべきでしょう。ただ、それを特定の人物の採用ありきで、あまりにも乱暴なやり方で進めていることに大きな違和感を感じているところです。本当にインクルーシブ教育を充実したものにしたいのであれば、教育現場の先生方や、専門家、受け入れる市立大学の関係者などで論議を尽くしたうえで、下関にとって必要なものをとり入れるという形でなければ、市民の皆様の理解を得ることもできないのではないでしょうか。

2月27日、市立大学の名誉教授7人が連名で専攻科設置と定款の変更に対して疑問を抱き、意見書を前田市長と山村理事長に対して提出されました。2名の学長経験者も含みます。この方々も「やむにやまれぬ思い」だといわれていました。はじめから特定の人物の採用ありきだったことが今回の騒動の根源であり、そのような人事に対して市民の税金である運営費交付金を投入することについて、認めるわけにはいきません。

来年度予算のなかには市民にとって非常に重要なこともたくさん含まれています。しかしながら議案は一つですので、この内容を含んだ議案に賛成することはできません。下関市議会として、市民の皆様に対して説明がつくような懸命な判断を加えることを訴えて反対討論を終えます。

3月議会が始まりました。そして新型コロナに関して。

2月28日より、令和2年第一回定例会(3月議会)が始まりました。

令和2年度予算を審議するもので、明日3日からは代表質問があり、5日からは個人質問が始まります。さまざまな施策や事業があるなかで、しっかりと見ていきたいと思います。このたび私は、5日(10時~)の一番の質問で、「くじらの街日本一推進事業」「下関市立大学運営費交付金」「市街地の賑わい創出」について質問します。

議会カレンダー(下関市議会公式ウェブサイト)

また現在、新型コロナウイルスが広がっており、学校の一斉休校をはじめ、さまざまな行事が中止になっています。検査の体制もまだ整わないなか、実際にどれほど広がっているのかもわからず、大きな不安が広がっています。

市民のみなさんからは、学校に関すること、体の弱い方や手術を受けられた方などの感染症のリスクなどのお話を伺っています。「学校では低学年を午前中だけ預かるようにされたが、それだけではカバーしきれない」「仕事に行くためにお金のかかるところに子どもを預けたのでは意味がない」といった声も働くお母さんたちから聞かれます。学校の休業にともなって経済的な影響も深刻にあらわれています。さらにマスクやティッシュやトイレットペーパーなどの不足が混乱に拍車をかけています。

みんなで「一致団結」して乗り切らなければならないのは事実ですが、その気持ちだけではなにも解決しません。行政としては、科学的な見地にたって、具体的な実情に沿ったきめ細かな施策が必要だと思います。市議会では、みなさんの意見をまとめ、それが市の対応に反映されるように要望することになっています。市民のみなさんの声を届け、現実に即した対策に一つずつ変えていくことが、子どもたちの命を守るうえでも、市民全体の暮らしを守るうえでも必要になっていると思います。ぜひみなさんの実情をお寄せください。

下関市からの連絡については、ホームページでも確認できます。

新型コロナウイルス感染症について(下関市公式ウェブサイト)

新型コロナウイルス感染症に係る放課後児童クラブの対応について(下関市)

市民のみなさんへのお知らせ(下関市・随時更新)