議員の一般質問時間の削減について。

下関市議会議会運営委員会は、5月6日の議会運営委員会(以下、議運)で議員の一般質問の時間を現行の60分から50分に削減することを決定しました。

「わずか10分」。そう思われる方もいるかもしれません。まず、一般質問とは、議員が日頃から市民のなかを歩き、自身が見つけた課題や、広く共有すべきテーマについて執行部に質問できる唯一の場です。議員一人一人に平等に与えられた時間のなかで、市民の代表という立場からしっかりと議論を交わし、よりよい下関市にしていくための大切な場です。その時間を議会自らの手で削ること自体、議員の口を封じることに等しいものです。

まず、一般質問時間削減の経緯についてですが、下関市議会では昨年6月に議員定数を見直すための下関市議員定数等調査特別委員会が立ち上げられ、①議員の定数、②報酬、政務活動費、③議会改革について協議されてきました。この委員会自体が会派からの代表で構成されており無所属議員は参加できないものです。特別委員会は1年間かけて協議をおこない、議員定数については「削減すべき」でありその削減数は2議席とする結果にいたっています。そして、この特別委員会のなかの「議会改革」の一つとして出てきたのが一般質問の時間削減です。削減理由は「議会事務局や執行部の負担軽減」で、一般質問が60分あることで終了時間が就業時間をこえることもあるため、職員の負担軽減の観点から削減をおこなうとのことです。そもそも就業時間をこえること事態がそれほどあったかとも思いますが、職員の負担軽減というのであれば、一日あたりの質問者の数を減らすなど他の方法もあったのではないでしょうか。

先にも述べたとおり、議会は多様な市民の意見を言論によって反映させる場です。それを削ることは市民の不利益になると考えます。私は定例会では毎回一般質問をおこないますが、一度に2つの問題をとりあげようとした場合、それぞれの問題を掘り下げて質問に挑めば30分では正直短いです。目の前に起きている問題は1つでも、その背景に複合的な原因があり、それらが解決されなければ目の前の問題も解決しない。執行部とやりとりをしながら深めていけば60分などあっという間です。現場に足を運ばない議員や、数字だけ確認したり、執行部のいうことを全て「わかりました」と聞き入れている議員にはわからないと思います。質問時間を50分にすることで一日あたり一時間の短縮になるといわれてますが、それだけ市民の抱える問題や深い思いについてぶつける場が失われてしまうということです。一般質問の時間削減は議員にとっては自殺行為であり、市民の代表としてとても賛同できるものではありません。

しかしながら、一般質問の時間を削減することに対しては無所属議員はなにも意見をいえないのが実態です。特別委員会に加われないこともあるのですが、そもそも議会の運営の根幹である議運にも無所属議員は参加できないのが下関市議会です。そのことについて、昨年山下隆夫議員と濵岡歳生議員と本池の3名の連名で亀田議長に対して要望書を提出しました。大会派に属するか否かによって生じる格差についての是正を求めるものです。議長はその要望書を特別委員会に回し、特別委員会は会派要件については議員定数が決まってからということになりましたが、無所属議員が議運に出席できないことは是正すべきだとの意見も出ており、検討課題となっているところです。一般質問の時間及び議員定数を決定する前に、無所属議員が議運へ参加できる体制を考えることが先ではないでしょうか。

しかし、現体制のまま次々と決まっていくので、少なくとも一人の議員として意見をきちんといっておきたいと思い、4月26日に議会事務局に連絡し、一般質問時間の削減に対しての意見があることをどのように伝えればよいのかを相談してみました。そのさい、意見書や要望書を出すことで議運等で取り扱われる可能性もあることから、それがよいのではないかと教えていただき、すぐに議長あてに意見書を作成しました。するとその直後に事務局から、28日に議長・副議長・議会運営委員会委員長に相談してみるのでその結果が出るまで提出は待ってくれと連絡がありました。そして28日の夕方に議長との協議結果として、5月6日の議会運営員会で委員外議員として意見をいわないかという連絡がありました。そのため書面の提出は一旦置いて、意見を述べる準備をしていましたが、6日の議運では委員外議員としての発言は認めないことを委員会として決しました。無所属議員の発言を認めるべきだと発言したのは一人だけでした。濵﨑議員は「意見を聞くことに関してはやぶさかではないが、議運、常任委員会、本会議の仕組みを考えると自分で会派をつくって、会派から議運へ送り出す努力をするべき」とのべ、他の議員もそれに賛同するかたちで委員外議員としての出席は許可されませんでした。

少なくとも4月26日の時点で議長宛ての意見書は準備できており、議長に提出しておけば無所属議員の意見としてとり扱われていた可能性もあるものです。それには待ったをかけておいて委員外議員としての発言も認めないということは、初めからそのようにことを運ぶつもりだったかとも受けとれるもので、非常に憤りを感じます。発言することが許されなかったので用意していた意見書を提出してきましたが、結果として協議の過程で無所属議員の意見はなにも扱われることはなく、一般質問の時間削減が決まりました。質問時間削減がどのようなことを意味するのかという議会の本質としての議論もないうえに、無所属の意見は聞く必要がない。これが今の下関市議会の姿です。

また、会派に属するか否かで生じる格差の是正を求めているのに、会派をつくってから議運で発言するべきだとの指摘も的外れなように感じます。選挙で選ばれた議員は平等なはずです。みなが平等な立場でに意見を言いあい、市民のために切磋琢磨する。そのような議会の仕組みに変えていけるよう、一人であってもしっかりと意見を言っていきたいと思います。

議員定数について

下関市議会では現在、議員の定数について話し合いがおこなわれています。

昨年から下関市議会議員定数等調査特別委員会が開催され、議員定数等について広く市民の意見を求めるために、市民アンケートが無作為の市民1000人に対しておこなわれたり、自治会やまちづくり協議会などの団体にも意見を求めてきました。

アンケート結果はホームページで公表されていますが、市民アンケートの結果では、市民の生活や感情と乖離した市議会の実態を市民から鋭く指摘されるものとなり、「議会が市民の役にたっていない」「ただいるだけの議員ならいらない」と感じていることがわかり、同時に定数を減らしたほうがいいといった意見が多くなっているように思います。

定数についてはもうすぐ結果が出ますが、問題だと思うのは、定数や報酬についての議論がされていることを知らない市民のほうが圧倒的に多いことです。定数や報酬の増減については、市民自身が「市民の代表の議会とはどうあるべきなのか」というところから考え、下関市の課題と結びつけて考えなければならない問題だと思うからです。特別委員会は12月に青森に視察に行っていますが、その前に下関市民のなかでこのことが議論されるべきではないでしょうか。ただ減らしただけで今の議会が飛躍的によくなるとは思う人はいないでしょうし、私はむしろ議員報酬のほうを削減するべきではないかと考えています。

市民のみなさんはどのように考えられているでしょうか。ぜひご意見をお聞かせください。

12月定例会閉会と反対討論の報告です。

15日、12月定例会が閉会しました。下関市議会は今回の定例会に提出されていた92議案をすべて賛成多数で可決しました。今回の議案のなかで、学校給食施設再編整備事業を含む補正予算議案(161号)と、下関市立大学の中期目標に特別支援教育特別専攻科を加える内容を含む議案(245号、246号)に反対し、反対討論をおこないました。以下は、反対討論の要旨です。

161号についての討論

議案第161号 令和2年度下関市一般会計補正予算(第7回)について、反対討論をおこなう。このたびの補正予算は、歳入歳出に19億6076万1千円を追加し、その総額を1501億9584万2千円としようとするもので、その内訳には、人事異動にともなう職員人件費の減額や、新型コロナウイルス感染症対策、災害関連事業費の増額などが計上されている。

このなかに、金額の変更はないが、学校給食施設再編整備事業の債務負担行為についての変更が含まれています。令和2年の当初予算で議会が認めたものでありますが、再編整備事業については先日から申し上げている通り、現在の教育委員会の進め方に保護者や学校関係者、栄養士、調理員のみなさまから疑問と、説明を求める声が上がっている。

民設民営で8000食規模のセンターをつくり、そこに自校方式の学校を再編するという内容を、きちんと保護者やかかわるみなさんに対して説明するべきだと思う。委員会での答弁では「要望があればする」ということだったが、事業者が決まる前の段階、もっといえば公募を始める前の段階で、きちんと説明し、みなさんの意見を聞くべきだと思う。スタートに立つのはそれからではないか。

今とくに、食材についての関心が高まっていることは先日の一般質問で述べたとおりだ。衛生面だけでない「安心・安全な給食」を提供することはもちろん、生産者を含めて安心・安全な持続可能な生産体制をつくっていくことは自治体の戦略にかかっている。今あるセンターを現地で建て替えたり、自校式の学校を各学校で建て替えるには、衛生基準に達するための敷地的な問題や財政の問題があり、大規模センターにするにしても公設公営よりも安くできるのが民設民営だというのがこの間の決定の経緯だろうが、学校給食の存在価値について改めて捉え直し、保護者や学校、栄養士、調理士さんなど関係者の意見を聞き、「これからの下関市の子どもたちが食べる給食をどうするか」を検討すべきではないか。今回の補正予算が通れば、プロポーザル公告に入り事業が動き出す。今現在の給食に関してもさまざまな課題があるが、それも含めて協議するいい機会だと思うので、決めてしまう前に関係者へ事業の説明をすることを強く要望する。

今回の補正予算には、とくに新型コロナ対策として、市民病院、海響館、市民会館の改修事業、住宅リフォーム助成事業、公共交通事業者・国際定期航路事業者の支援、3密回避のための公園整備、修学旅行の中止・延期にかかるキャンセル料等支援事業などがあるほか、トビイロウンカによる被害を受けた農家に対する給付金の交付や特牛港の給油施設増設にかかる経費の一部補助など、市民生活を支えるための事業が多く含まれている。それらのことには賛成だ。しかし、給食施設再編事業に対して決まってしまう前の説明を求める声をないがしろにするわけにはいかない。遅れが生じたのは偶然ではあすが、市民の声を聴く機会を得たと思って、いったん立ち止まることが必要ではないか。議員のみなさまにおかれましては賢明な判断をお願いする。

 

245号、246号についての討論

議案第245号「公立大学法人下関市立大学に係る第3期中期目標の変更について」、ならびに、議案第246号「公立大学法人下関市立大学が徴収する料金の上限の認可について」に反対の立場から答弁をおこなう。

この議案は245号において、下関市立大学の第三期中期目標(2019~2024年度)に特別支援教育特別専攻科を加えること、また総合大学化のための学部新設に向けた文言改定、地域共創センターを廃止することがあり、246号においては、令和3年4月開設の特別支援教育特別専攻科の授業料、入学金、入学検定料を定めるものだ。 

そもそも中期目標とは、大学が6年間で達成すべき業務運営について市長が定めた目標であり、それになかった専攻科の設置が突如出てきたのが昨年5月以降のできごとだが、すでに強引に決めてきたものを後になって付け加えている感が否めない。

専攻科の設置をめぐっては、昨年5月30日に前田市長が山村理事長に担当研究者を紹介したことに始まっており、中期計画にもなかった専攻科設置の計画が市長の意向として動き始めた。特定の人物の採用ありきの専攻科設置に学内での反発が広がり、9割の教員が反対する事態まで起きたが、教育現場からの意見を聞かぬまま採用を内定したのは周知のとおりだ。こうしたなかで昨年の9月議会では、大学運営の根幹にかかわる教員採用や学部・学科の設置などの重要事項を、教育現場の意見を聞くことなしに、市長の任命する理事長の任命する理事で構成される理事会で決めていくことができるようになる定款変更議案が出され、それを市議会が可決した。その後、市長の意向で採用された研究者が市大理事と副学長に内定し、新定款のもとで教授として採用された。さらにその後に決まった新しい教員採用規程のもとで、教授会の資格審査などを経ることなく複数名が採用されるなど、他の国公立では考えられないような事も起こってる。

この一年、「大学間競争にうち勝つための大学改革」だとの言葉を何度も何度も耳にしてきた。先日の一般質問に対し市長も「多少強引な時期もあった」といわれていたが、専攻科設置と教員採用をめぐる動きについてはあまりにも民主主義的手続きを逸脱しており、その異様さこそが問題視されているのではないか。
 
インクルーシブ教育そのものについてはなにも否定するものではないし、その手法についても専門家や教育現場の英知を集めて決めていけばいいものだと思っている。必要な学部・学科やそれにかかわる人材は、学内の合意形成のもとで手続きを踏んで進めていけばいいだけの話で、それが叶わないなら定款変更をしてしまえ、学内規定そのものを変えてしまえ、中期計画も変えてしまえというような強引なやり方については看過できない。学内の合意形成が大切なのは、それが下関市立大学という一つの大学にとって、共通理解や目標、理念の共有という点で欠かせないからであり、それこそ大学の針路を決定付けるものだと思う。学長のリーダーシップといいながら、市長の意向で教員採用や専攻科の設置が決まっていくことは、「大学改革」とはいえない。

「多少強引な時期もあった」とのことだが、初めから特定の人物の採用ありきだったことがこの一年半の専攻科設置をめぐる騒動の根源であり、「強引」であるが故に「強引」に定款変更をしてしまい、そのルール変更によって「強引でない」と正当化して今日に至っているに過ぎない。私はこうしたやり方について賛成することはできない。以上で反対討論を終わる。