厳しい暑さが続いていますが、みなさまお元気でしょうか。
8月1日と2日に、博多で開催された自治体財政についての議員研修に行ってきました。
講師は立命館大学政策科学部教授の森裕之先生。今回の講座は初当選後10年未満の議員を対象としており、地方自治体の決算カードを見て財政状況を読み取るというものでした。自治体財政は専門用語が多く、一般にわかりにくいものですが、9月の決算議会をはじめ下関の財政状況や課題を知ることができると思い参加しました。
まず基本として、行政事務は国と地方が分担しておこなっていますが、歳出規模約100兆円のうち6割を地方財政で担っており、残りの4割を国が担っています。とくに、教育、福祉、衛生、消防など、住民生活に密接にかかわる分野はほとんど地方自治体がおこなっていますが、国民が納める税金(税収)を見ると、国税が6割、市県民税などの地方税が4割となっており、歳出割合と税収の「ねじれ」が生じています。
地方自治体が住民福祉をおこなうために足りない部分を補っているのが、国からの地方交付税や国庫支出金です。地方自治体では税収と地方交付税を財政基盤として行政がおこなわれています。地方での住民サービスは、国と地方が一体となって憲法25条にある「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を住民に保障しているということです。税収では足らない部分を補うのが国の責務であり、地方自治体は住民サービスを低下させないために必要な財源を要求していくことが大事だと述べられていました。
下の表は、下関市の平成29年度の決算カードです。この決算カードを見ながら、用語の説明や記してある数字からどういったことが読み取れるのかを教えていただきました。
下関市の場合に目立つのは、実質公債費比率の高さです。これは下関市が歳出のなかで借金の返済に充てている割合を示したものですが、参加自治体のなかではもっとも高かったです。合併後の庁舎建設なのか、人工島なのか、下水道の敷設なのか、自治体によって理由は違っているため下関の理由については聞かなければわかりませんが、他の自治体と比較しても「借金が多い自治体」になるようです。
実質公債費比率(借金返済に充てている歳出の割合)が10%を超える下関市
細々の説明を書くと非常に長くなるので省略しますが、一番重要なのは、今後地方財政をめぐる大きな変化が起きてくるなかで、自治体の自己決定が非常に重要になってくるということです。
なお講演のなかでは興味深い話がいくつも話されました。そのなかの一つで、多くの自治体で取り組まれている「公共施設マネジメント」についてのお話がありました。下関でも川中支所をはじめ、各地で公共施設の大削減が問題になっています。後日、整理してまたお伝えします。