一般質問で触れた下関市立大学の専攻科設置問題に関連しておこなわれる同大学の定款変更について、9月26日の本会議で反対討論をおこないました。同議案については、会派の違いをこえて私を含めた4議員が執行部を追及する側から一般質問をおこない、採決では3人が反対討論(賛成討論は亀田議員1人)をおこなうなど波紋を呼びましたが、賛成25、反対7、棄権1で可決されました。多くの疑問について説明がなされていませんし、とても市民の納得が得られるとは思えません。ページの最後に採決の結果を掲載しています。
以下、私の討論内容をお伝えします。
■反対討論
議案第202号「公立大学法人下関市立大学定款の変更について」に、反対の立場から討論をおこないます。
この間の一般質問でも定款変更の問題点について幾人もの方が指摘されてきました。
定款の変更内容は大きく4つあり、理事会の設置、副学長の新設と理事の枠の拡大、理事会と経営審議会・教育研究審議会の役割分担、教育研究審議会の委員数の見直しとなっています。少子高齢化のなかで今後激化する大学間競争にうちかつためには必要だといわれていますが、それは建前であり、要するに、現場の意見を聞くことなしに大学運営の根幹にかかわる重要な事項、たとえば今回のような教員の採用であったり、学部、学科の設置であったりですが、これらを理事会ですべて決めていけるようにする定款変更議案にほかならないと私は考えます。
なぜ、このような定款変更議案がこのタイミングで出てきたのか、下関市議会議員としてこの議場におられる皆様には是非考えていただきたい。そして、既存の定款からどの部分が削除され、あるいは追加され、そのことによって何が可能になっていくのか、何が不可能になっていくのかを精査する必要があると思います。
今回の定款変更を一言で言えば、市長の任命する理事長やその理事長の任命する理事によって構成された理事会の意向で、大学を好きなように運営できる仕組みに変えるものです。それこそ今議会で何人もの議員の皆さんが一般質問でとりあげ、現在の市立大学の定款から見て明らかに進め方がおかしいと指摘した根幹部分、教育研究審議会すなわち現場の教員の意向や判断をまったく抜き去ったまま、専攻科設置や教員採用を可能にするための定款変更であり、これは「大学改革」の名を借りた大学の変質を促進するものであると言わなければならないものです。
スピーディーな「大学改革」ではなく、スピーディーな変質をこの下関市議会がスピーディーに承認してよいのか、熟考が必要であると考えます。何でも「改革」といえば良いとか、早ければよいというものではありません。むしろ、なぜそんなに大慌てで急いでいるのか? それこそ専攻科設置をなにがなんでも押し通したいという意図が貫かれているようにしか見えません。自分たちのやり方が定款に触れるなら、定款を変えてしまえばよいというやり方であり、なぜ定款に触れないように正規の手続きに基づいて進めないのか。あまりにも力業(ちからわざ)がすぎるように思います。
今議会では、こうした大学のガバナンス上異常ともいわれる事態が起きている点で全国的にも大変注目されています。下関市立大学は、市長が見初めた人物を雇う大学であり、その教員採用の判断基準は現場の教員たちの意見は反映されず、市長が気に入るか気に入らないかが判断基準でよいのだと、そのように全国にも他に例がない異常な大学として世間から認識されることになりかねません。
各新聞でも大いにとりあげられ、この定款変更議案について議会がどのように判断するのか、市民の皆様もたいへん注目されておられます。全国の大学関係者の注目度も高いようです。首相お膝元の大学はさすが、やることが違うなと、「市長案件」で教員採用まで決まるのだと別の意味で記録や記憶に残すというのでしょうか。
この場におられる議員のみなさんには、是非とも懸命な御判断をお願いしたい。結果如何によっては「さすが首相お膝元の下関・下関市議会はやることが違うな」の意味合いも、別のものに変わるように思います。