12月定例会閉会と反対討論の報告です。

15日、12月定例会が閉会しました。下関市議会は今回の定例会に提出されていた92議案をすべて賛成多数で可決しました。今回の議案のなかで、学校給食施設再編整備事業を含む補正予算議案(161号)と、下関市立大学の中期目標に特別支援教育特別専攻科を加える内容を含む議案(245号、246号)に反対し、反対討論をおこないました。以下は、反対討論の要旨です。

161号についての討論

議案第161号 令和2年度下関市一般会計補正予算(第7回)について、反対討論をおこなう。このたびの補正予算は、歳入歳出に19億6076万1千円を追加し、その総額を1501億9584万2千円としようとするもので、その内訳には、人事異動にともなう職員人件費の減額や、新型コロナウイルス感染症対策、災害関連事業費の増額などが計上されている。

このなかに、金額の変更はないが、学校給食施設再編整備事業の債務負担行為についての変更が含まれています。令和2年の当初予算で議会が認めたものでありますが、再編整備事業については先日から申し上げている通り、現在の教育委員会の進め方に保護者や学校関係者、栄養士、調理員のみなさまから疑問と、説明を求める声が上がっている。

民設民営で8000食規模のセンターをつくり、そこに自校方式の学校を再編するという内容を、きちんと保護者やかかわるみなさんに対して説明するべきだと思う。委員会での答弁では「要望があればする」ということだったが、事業者が決まる前の段階、もっといえば公募を始める前の段階で、きちんと説明し、みなさんの意見を聞くべきだと思う。スタートに立つのはそれからではないか。

今とくに、食材についての関心が高まっていることは先日の一般質問で述べたとおりだ。衛生面だけでない「安心・安全な給食」を提供することはもちろん、生産者を含めて安心・安全な持続可能な生産体制をつくっていくことは自治体の戦略にかかっている。今あるセンターを現地で建て替えたり、自校式の学校を各学校で建て替えるには、衛生基準に達するための敷地的な問題や財政の問題があり、大規模センターにするにしても公設公営よりも安くできるのが民設民営だというのがこの間の決定の経緯だろうが、学校給食の存在価値について改めて捉え直し、保護者や学校、栄養士、調理士さんなど関係者の意見を聞き、「これからの下関市の子どもたちが食べる給食をどうするか」を検討すべきではないか。今回の補正予算が通れば、プロポーザル公告に入り事業が動き出す。今現在の給食に関してもさまざまな課題があるが、それも含めて協議するいい機会だと思うので、決めてしまう前に関係者へ事業の説明をすることを強く要望する。

 今回の補正予算には、とくに新型コロナ対策として、市民病院、海響館、市民会館の改修事業、住宅リフォーム助成事業、公共交通事業者・国際定期航路事業者の支援、3密回避のための公園整備、修学旅行の中止・延期にかかるキャンセル料等支援事業などがあるほか、トビイロウンカによる被害を受けた農家に対する給付金の交付や特牛港の給油施設増設にかかる経費の一部補助など、市民生活を支えるための事業が多く含まれている。それらのことには賛成だ。しかし、給食施設再編事業に対して決まってしまう前の説明を求める声をないがしろにするわけにはいかない。遅れが生じたのは偶然ではあすが、市民の声を聴く機会を得たと思って、いったん立ち止まることが必要ではないか。議員のみなさまにおかれましては賢明な判断をお願いする。

 

245号、246号についての討論

議案第245号「公立大学法人下関市立大学に係る第3期中期目標の変更について」、ならびに、議案第246号「公立大学法人下関市立大学が徴収する料金の上限の認可について」に反対の立場から答弁をおこなう。

この議案は245号において、下関市立大学の第三期中期目標(2019~2024年度)に特別支援教育特別専攻科を加えること、また総合大学化のための学部新設に向けた文言改定、地域共創センターを廃止することがあり、246号においては、令和3年4月開設の特別支援教育特別専攻科の授業料、入学金、入学検定料を定めるものだ。 

そもそも中期目標とは、大学が6年間で達成すべき業務運営について市長が定めた目標であり、それになかった専攻科の設置が突如出てきたのが昨年5月以降のできごとだが、すでに強引に決めてきたものを後になって付け加えている感が否めない。

専攻科の設置をめぐっては、昨年5月30日に前田市長が山村理事長に担当研究者を紹介したことに始まっており、中期計画にもなかった専攻科設置の計画が市長の意向として動き始めた。特定の人物の採用ありきの専攻科設置に学内での反発が広がり、9割の教員が反対する事態まで起きたが、教育現場からの意見を聞かぬまま採用を内定したのは周知のとおりだ。こうしたなかで昨年の9月議会では、大学運営の根幹にかかわる教員採用や学部・学科の設置などの重要事項を、教育現場の意見を聞くことなしに、市長の任命する理事長の任命する理事で構成される理事会で決めていくことができるようになる定款変更議案が出され、それを市議会が可決した。その後、市長の意向で採用された研究者が市大理事と副学長に内定し、新定款のもとで教授として採用された。さらにその後に決まった新しい教員採用規程のもとで、教授会の資格審査などを経ることなく複数名が採用されるなど、他の国公立では考えられないような事も起こってる。

この一年、「大学間競争にうち勝つための大学改革」だとの言葉を何度も何度も耳にしてきた。先日の一般質問に対し市長も「多少強引な時期もあった」といわれていたが、専攻科設置と教員採用をめぐる動きについてはあまりにも民主主義的手続きを逸脱しており、その異様さこそが問題視されているのではないか。
 
インクルーシブ教育そのものについてはなにも否定するものではないし、その手法についても専門家や教育現場の英知を集めて決めていけばいいものだと思っている。必要な学部・学科やそれにかかわる人材は、学内の合意形成のもとで手続きを踏んで進めていけばいいだけの話で、それが叶わないなら定款変更をしてしまえ、学内規定そのものを変えてしまえ、中期計画も変えてしまえというような強引なやり方については看過できない。学内の合意形成が大切なのは、それが下関市立大学という一つの大学にとって、共通理解や目標、理念の共有という点で欠かせないからであり、それこそ大学の針路を決定付けるものだと思う。学長のリーダーシップといいながら、市長の意向で教員採用や専攻科の設置が決まっていくことは、「大学改革」とはいえない。

「多少強引な時期もあった」とのことだが、初めから特定の人物の採用ありきだったことがこの一年半の専攻科設置をめぐる騒動の根源であり、「強引」であるが故に「強引」に定款変更をしてしまい、そのルール変更によって「強引でない」と正当化して今日に至っているに過ぎない。私はこうしたやり方について賛成することはできない。以上で反対討論を終わる。

12月定例会での一般質問『2、下関の学校給食』のご報告です【文字おこし】

一般質問でおこなった『2、下関の学校給食』の質疑(要約)を掲載いたします。下関市では彦島にある南部学校給食共同調理場の建替え計画が進んでいるのですが、同時に、今現在自校方式で給食をつくっている学校も再編し、新調理場の受配校に加える計画になっています。ところが、このことについて、保護者にも学校にも、給食にかかわってくださっている方々にも伝わっておりません。今回の質問は、そのような声をうけておこなったものです。ぜひご覧いただき、質問やご意見をお寄せください。

 

南部学校給食共同調理場

2、下関の学校給食について

本池 次に、小・中学校の給食について質問する。大きくは、南部学校給食共同調理場の老朽化にともなう建て替え、学校給食調理場の再編計画についてだが、文教厚生委員会でも報告がありそこでもいくつか質問させていただいたし、先日の林議員、村中議員の一般質問のなかでも明らかにされた通りだ。学校給食をめぐっては、献立作成、食材の生産、集荷、調達、配送、調理など多くのみなさんがかかわってくださり、自校給食であれ、センターであれ、日々、子どもたちに安心でおいしい給食を提供してくださっています。しかし、その給食の提供体制が変わることが保護者や学校側に認識されておらず、ここ数か月のあいだに「新調理場ができると聞いたが、民営化するのは本当か」「自校式で温かい給食が食べられているのに、それがなくなるのか」「民営化すると食材はどうなるのか」といった声を頂いている。

 委員会の質問では、この度の施設が民設民営であることから、「業者が決まり、仕様が固まってからするという説明がなされ、その前段階の説明は「要望があればする」ということでした。しかし、現段階で決まっていることとして、新下関市場の場所に8000食のセンターをつくること、民設民営であること、自校式の学校の再編も含んでいることがあります。この3点については施設の中身に関係なく、保護者や学校に対して説明すべきだと申し上げている。ここで質問だが、これまでこの計画について、誰に対し、何回説明をしてきたのか答えてほしい。

徳王丸教育部長 文教厚生委員会で合計8回、今年4月の文教厚生委員会の勉強会で事業内容と進捗状況を説明。教育委員会の定例会で7回、校長会や組合など5つの団体に2回、PTA連合会にも2回。その他、市民の方からのお問合せにも丁寧に答えている。

本池 今おっしゃられた団体に対して、どの段階まで説明しているのか?

徳王丸教育部長 文教厚生委員会では毎定例会ごとに詳細に報告している。

本池 それが実際に保護者や現場の栄養士・調理師に伝わっていない。だから今、疑問の声が上がっている。今回の調理場建て替え・再編計画にはさまざまな問題が絡んでいることは承知している。南部調理場の老朽化、自校式調理場の老朽化、子どもの減少、市の財政難などいろんなものが絡んでいるのは承知している。しかし先ほどからいっている、新下関市場に8000食、民設民営、自校式の学校の再編を決める前に、「これからの学校給食をどうするのか」といった関係者を交えた協議が必要だったのではないかと、この間のみなさんの声を聞いていると思う。ここで質問だが、今市が計画しておられる給食調理場の再編によって、得られるもの、失われてしまうものはなんだと考えておられるか、また子どもたちにとってベストな給食提供の形態はなんだと考えられているのか、教えてほしい。
 
徳王丸教育長 新調理場の整備により得られるものとして、衛生基準に適合した施設で給食ができるようになる。高度な衛生管理手法のHACCP対応が可能になる。アレルギー対応給食の専用調理施設の整備ができるという部分が改善される。自校式から受配校になることにより学校行事への対応は難しくなる。

本池 ベストな給食の提供の形態はなにか。

徳王丸教育部長 衛生管理の改善が図られることがベストな給食が提供されることにつながる。

本池 改めて給食について考えてみるうえで、下関市内外の教育に携わっておられる方の声をきいたが、美味しさに関しては自校式の上をいくものはないとみなさん共通しておっしゃっていた。また、学校内に調理場があることそのものが子どもたちにとって大きな影響をあたえている。また、将来子どもたちが生活のなかに正しい食をとりいれられるよううに、給食を生きた教材として使うことがやりやすいのもまた自校方式だと聞いた。学校行事等の変化に対応できる、食材調達に関しても小回りが利くという利点があると聞いている。対してセンターでは、先ほども衛生面や安全面からの良さはあるでしょうが、子どもたちにとってどうかというところではベストは自校だ。そういう意味で下関は多く自校方式が残っており、子どもを育てる環境としては非常に優位であるということがいわれていた。
 子どもの成長にとって非常に優位な自校式だが、もう一つ、現在における問題として、食の安全性への関心も高まっていることがある。林真一郎議員の質問さいに食品の基準がないという話が出たが、ないのであれば独自で食材の品質にかかわる基準をつくるべきだと私も思っている。というのが、今、食品があらゆるルートで入ってくるようになっており、安全面・栄養面から考えても不安なものが出回っていることに保護者は非常に注視されているからだ。地場産食材はもちろん、より安全な有機食材の導入を求める要望があるのですが、こうした問題意識に対する教育委員会の見解をお願いする。

児玉教育長 先ほど質問のあった、ベストな給食の提供形態は自校方式かもしれない。ただ、教育委員会が果たすべき第一の役割は、安全な給食を確実に子どもたちに食べさせることだと認識している。そのためにセンターが必要であればセンターも導入したい、自校式で残すところは残したい、そういうバランスを保っていくために新しい共同調理場が必要だと考えている。

本池 地場産食材の導入、もっといえば、より安全な有機食材の導入を求める声があるが、そうした問題意識に対する教育委員会の見解をのべてほしい。

児玉教育長 地場産食材の使用については可能な限り実現したいと考えている。自校式であると食材納入業者に負担がかかる、センターでやると大量に必要になる、そういったところをどうバランスをとっていくのか、献立をどうするのか、そういう問題はこれから検討していくべきだと思っている。有機栽培や無農薬の野菜については現時点では調達可能な野菜品目や数量なども不明で、実際に学校給食に使用できるか不明。今後、これらの野菜を提供できる生産者があらわれ、必要な種類と量を学校給食に提供いただけるのであれば給食用食材として献立に活用することを検討したいと考えている。

本池 検討していただけるのはありがたいが、そうなると8000食規模にしてしまうことでその実現はさらに遠のいてしまうのではないか。周南市の給食センターを視察したさい、運営している民間企業の提案として、給食の残菜を肥料にして有機農産物を生産し、それを給食に使うという試みをされており、すでにとりくまれているが、その実現の見通しを聞きたとき、4000食の大規模ではなかなか難しいというお話を聞きこれは教訓だと思った。市内の農家も高齢化しており地場産食材の確保も難しい。有機農家はもっと難しい。そのなかでやろうと思えば計画的にやらなければならないし、産業として育てていかなければならないが、一気に多量を確保というよりも小規模から始めていくしかないのではないか。その場合、農政のかかわりが不可欠だと思うが、地場産農産物を学校給食に多くとり入れていくために、農林水産振興部としてとりくんでいることを教えてほしい。

渡壁農林水産振興部長 より多くの地場産農産物を取り入れてもらうために、教育委員会、学校関係者、青果物の取扱事業者等で構成される地場産農産物学校給食連絡会に生産者団体であるJA山口県とともに出席し、地場産農産物の使用量が増えるよう、生産量等の情報提供に努めている。また、学校給食の食材として市内で生産量の多い農産物だけでなく、子どもたち本市の農業に興味をもってもらうためにハナッコリーや垢田のトマトなど、市内の特色ある農産物を提供している。今後も利用拡大に向けてJAと連携し、本市多妻の農産物のの生産振興をはかっていきたい。

本池 ここで学校給食を中心にした有機農産物の生産で先進的なとりくみをされている今治市の例を紹介したい。9日の田中議員の質問のさいには千葉県いすみ市に触れられたが、今治市も先進事例の一つだ。今治市では1980年代から有機農業のとりくみを始めておられ、その契機となったのが、1万9000食分を作っていた大型給食調理場の建て替え計画だったそうです。保護者や農業者が地元産の安全な食材使用と自校方式による手作り給食を求めて運動を展開し、そのなかで誕生した新市長により、大規模調理場から自校調理方式への転換が進み、2000年に市内全部の学校が、自校方式か2~3校で構成される共同調理場への切り替えになったそうだ。こうした流れのなかで昭和63年には、今治市議会が「食糧の安全性と安定供給体制を確立する都市宣言」を決議し、そのもとで学校給食への有機農産物の導入や、地元産の農産物や加工品を地道に増やし、地産地消のとりくみを進めてこられた。そのことには理由があり、今治市には小規模農家が多く、産地間競争では大規模産地には勝てないということがあり、しかし逆に、気候や地理的条件から比較的どんな作物でも生産できるという強みがあったため、同市の農業を守り振興させていくために、地域内循環を目指したのだそうだ。

先の市議会の都市宣言は合併後も引き継がれ、この宣言を行政が受け止めつくられたのが「今治市食と農のまちづくり条例」だ。全会一致で可決されているが、この条例には、地産地消の推進、食育の推進、有機農業等の推進が規定され、さらに第10条ほかには遺伝子組み換え作物の栽培許可に関する規定があり、市長が認めたものでなければ栽培してはならないようなしくみがつくられている。今治市ではこの条例のもとで農林水産業の振興、食の安全の確保、地産地消を進めており、学校給食もしっかりとそのなかに組み込まれている。安全な食糧生産によって市民の食を守り、学校給食の導入で子どもたちの健やかな成長を促し、後継者を育成し、農山漁村の果たす役割まで明記して、豊かで住みよい、環境の保全に配慮した持続可能なまちづくりをおこなっている。

給食は教育委員会の管轄だと思いがちですが、そうではなく、やり方次第で大きな可能性を秘めている。その点自校式が多いことは強みだ。そこに戦略的な食に関するとりくみを入れていけば、安心・安全への関心が強くなっている今だからこそ、若い子育て世代の定住を促進するものにもなりうるのではないか。目の前の老朽化の問題は深刻だが、子どもたちの成長を含めてどんな下関市にしていきたいのかということに直結するものだと思うが、前田市長はどうか。

前田市長 いいお話をいただいたが、食の安全と、農業の跡継ぎ問題等々、下関がかかえる問題たくさんありますから、総合的に考えてベストを目指していきたい。 

本池 地産地消を進めるというとき、より生産者に近い農業振興課が深くかかわって、それこそ横の連携で、地場産農産物を増やす努力をしなければならないと思う。そして学校給食の提供形態も、地産地消をより早く実現しうる形を考えていかなければならないし、そのために、ぶつかっている問題については先に決めてしまう前に保護者や市民になげかけ、「下関の子どもたちの給食をどうするか」「下関の未来をどうするか」をテーマに、市民の熱意と知恵を借りるときだと思う。新型コロナで明らかになったが、すでに地産地消、地域内循環の必要性に気が付いている市民はたくさんいる。ある方が、「安全で災害に強い食糧供給は、コンパクトな地産地消に活路がある」と語っておられたが、市民を交えた活発な議論をすることを強く要望する。

12月定例会での一般質問『1、公用車と公用タクシーの使用基準について』のご報告です。【文字おこし】

遅くなりましたが、12月11日の一般質問の文字起こし『1、公用車及び公用タクシーの使用基準について』(要約)を掲載します。長いですが読んでいただけますと幸いです。なお、『2、下関市の学校給食』につきましては、次のページで紹介いたします。傍聴していただいたみなさま、ありがとうございました。

1、『下関市の市長・副市長・教育長・正副議長の公用車と公用タクシーの使用基準について』 

本池 下関市では、市長・副市長・教育長・市議会正副議長に公用車が用意されているが、公用車やそれにかわる公用タクシー券の利用について、とくに正副議長分について疑問や不信の声が多くの市民の方々から出て住民監査請求があったことはご存じのとおりだ。ただ、疑問や不信を持たれる利用についてだが、そこには使用基準や取扱要領があり、それにもとづいて使用され公金が支出されている。市長・副市長分については今年四月に、正副議長分については七月一日にそれぞれ公用車とタクシーの取扱要領を定めたということなので、その内容等について質問する。また教育長分については、平成29年12月1日から公用車利用基準が定められているので、これについても質問する。

公用車、タクシーの取扱要領だが、公用車やタクシーの使用は即公金の支出につながるものであり、これは市長や議長等が公金を使うことができる範囲を定める極めて重要なものである。したがって、取扱要領は公金の支払いが無制限に広がらないよう、限定的で歯止めが効く規定でなければならない。市民から「おかしい」「公私混同だ」という不信感や疑問を少しでも持たれるような取扱要領であってはならない。しかし、この取扱要領を読んでみると、とくに正副議長分についてはいくらでも拡大解釈ができるような極めてあいまいな定めになっているように思う。これでは正副議長分の公用タクシー代に多くの市民が疑念を抱くのは当然だ。市長も議長も市民のお金を預かっている立場であって、市民からお金を預かっている立場の者が、自らお金を使うことは、その使い方について市民にいささかの疑念も持たれてはならない。市民にご理解いただけるよう質問に明確に答えていただきたい。

まず市長、副市長の公用車、タクシーチケットの取扱要領についてだが、公務会合のない飲み事はもちろんのこと、「公務会合後の二次会に出席した場合は使用不可」ということで間違いないか確認する。

竹内総合政策部長 間違いない。

本池 今後、市民から疑念を持たれることのないよう厳正な運用をお願いする。もう一点質問だが、この取扱要領のなかで、「ただし、公務の前後において、その遂行上もっとも効率的な場合は使用可」というのはどのような意味か。

竹内総合政策部長 公務である自治会の互例会と消防出初式の間に公務外用務に移動するような場合などを想定している。公用車で一連の移動をおこなった方がもっとも効率的であり、公務が遂行できるという判断の下で入れている。また、公務外の行事から公務への移動、公務終了後の公務外への移動についても、その時間を活用して常時市長との連絡・伝言等をおこなうこともあるので公用車を使用することもある。いずれにしても市長として公務を円滑にまっとうするため、使用行為の前後の状況、あるいは行く場所等を勘案したうえで総合的に公務遂行上必要と認められるかどうか、取扱基準に照らして判断したいと考えている。

本池 教育長分についても、公務場所への行き帰りで、公務後の飲み会や公務会合後の二次会後の帰りはだめということで理解してよいか?

徳王丸教育部長 最終の移動時間が19時をこえると見込まれる場合はタクシーを利用することとしており、次の移動まで公用車の待機時間が3時間をこえる場合もタクシーを使う。お尋ねの件は基本的にタクシーを使うことになっている。

本池 公務会合後の二次会後はだめということでいいか。

徳王丸教育部長 飲食を伴う会合があった場合に、それが公務であればタクシーでも可である。

本池 次に、議長、副議長の公用車、タクシー取扱要領【下写真参照】についてだ。先に述べたように、この取扱要領は公用車やタクシーの使用、すなわち公金の支出範囲が拡大しないよう、限定的に、また、使用に疑義が生じないよう明確に定めなければならないものだ。しかし、この取扱要領は規定が極めてあいまいで、従来通りいくらでも拡大解釈できるような規定になっているように思う。これでは多くの市民が疑念を抱くのは当然だ。市民の方から寄せられた疑問点を聞くので、その疑問に答え不信を払拭するよう、市民にわかりやすく明確に答えてほしい。

まず、この取扱要領を定めるにあたって、類似都市または県内他市の状況は調査されたのか。

竹内総合政策部長 市長部局としては承知していない。

本池 定めるにあたって、市長車の取扱要領がどのようなものか確認されているか。

竹内総合政策部長 議会事務局が要領を作成するにあたり、参考までに秘書課から市長・副市長公用車タクシーチケット交際費取扱要領を渡している。

 

本池 次に、「使用者について」の(1)―②にある「その他庶務課長が特に認めた者」についてだが、どのようなケースを考えているのか。

 

竹内総合政策部長 「普通地方公共団体の議会の議長は議場の秩序を維持し議事を整理し議会の事務を統理し議会を代表する」、このうち「議会の事務を統理し」という部分に当たるので、市長部局としては予算執行上、つまり正副議長が公務上公用車を使ったりタクシーを使ったりする予算措置はしているが、判断については議会事務局以外にできないと考えている。

本池 これはすでに5カ月間運用されているもので、これにもとづいて公金の支出がされている。公金の支出について執行部として答えられないのはおかしいのではないか。もう一度丁寧に説明をお願いする。

竹内総合政策部長 一定の範囲内での公金の支出については建前上は長の執行となっているが、議会事務局長に委任している。委任している範囲のなかでこの要領をきちんと判断したうえで、適正に判断しているということで、分離している出納室、会計管理者への支出命令という形になる。市長部局としては委任している範囲内できちんと対応していただいているものと考えており、その運用について了知するところではない。

本池 すでにタクシー代として公金が支払われているわけだが、市長部局として答えられないというのであれば、だれが答えるのが適正なのか。
 議会運営の内容などであれば答えられないことは理解できる。だがこれは公金の支出であって、市民に説明しなければならない事項だ。総合政策部長が答弁されているが、聞きとりのさいにも、「一般質問は議員が執行部に対しておこなうものであるから、だれが答えるかについては関与しない」と伝えている。市民に対してはこのたび給付や支援などがあったが、これはダメ、これはいいなど基準があり、市民は納得がいかなくても一定の基準でやられているから仕方がないと受け止めている。説明責任があるので、払われる、払われないの区別があると思う。タクシー代の議会の使用について、税金を支出しておきながら議場で説明できないのはおかしいのではないかと申し上げている。

竹内総合政策部長 教育長の部分は執行にあたる教育部長が答弁した通りだ。基本的に市民の方がお聞きするのであれば、議会事務局長だろうと考えている。

本池 一応、気になるところを聞いていくので答弁をお願いする。使用方法について、(1)―①の例にある、「その他議会活動上で必要とされる場合」とあるが、極めてあいまいで、歯止めが効かないような規定になっていると思うのでお聞きする。まず、これはどのようなケースが考えられるのか、あるいはどのようなケースを想定しているのか。

竹内総合政策部長 ちょっとお答えのしようがない。

本池 (1)―②「正副議長が正副議長と議員の立場を明確に区別できない場合において、市政の発展、公益の増進等に資するために使用する場合。ただし、疑義のあるものについては、事務局庶務課長が、判例等を参考に総合的に判断するものとする」となっているが、市政の発展、公益の増進等に資するか否かは誰が判断するのか。

竹内総合政策部長 要領に書いてある通り事務局庶務課長と考える。

本池 庶務課長が「資するか否か」を決める判断基準は何か?

竹内総合政策部長 ここにあるように判例あるいは市長部局、教育長等、あるいは市全体の部分を含めて、またその次に書いてある社会通念上相当と認められるという、そういった視点が必要だと考えている。

本池 但し書きの「判例等」とあるが、判例等とは具体的にどういうものが想定されるか?

竹内総合政策部長 行政実例などが想定される。

本池 総合的にというのは具体的に何と何とを総合的に判断するのか?

竹内総合政策部長 社会通念とか、公益の増進に資するレベル、距離など先ほど市長のときにお答えしたのと同じようなことかと思う。

本池 (1)―②例「各種団体との協議・意見交換を行う場合」とあるが、各種団体の定義はなにか?

竹内総合政策部長 議長・副議長がどのような団体と議会運営上お会いしているか存じ上げないのでお答えのしようがない。

本池 各種団体との意見交換と飲み会とはどのように違うのか。

竹内総合政策部長 広い意味では飲食を伴うような意見交換の場もあると考えている。

本池 公金を使う各種団体等との意見交換であれば、正式文書をもらうべきだと思うが、その点についていかがか。

竹内総合政策部長 あった方がいいと思うが必ず必要とも考えていない。

本池 これらのことを厳密に決めておかないと、形ばかりで骨抜きの基準になってしまう。市民の多くが何らかの団体・組織に所属しておられ、厳密に決めておかないと、正副議長はすべての「飲みごと」に公用車や公用タクシーを使うことができるということになってしまう。

本池 さらにお聞きするが、「私用の飲み事か」「私用でないか」を区別する判断基準はなにか。公金を使っていいか否かを決める線引き、いわゆる判断基準は明確に定めるべきだと思う

竹内総合政策部長 お答えのしようがない。

本池 具体例で質問したい。まず、17時15分ごろに市役所での公務が終わり、その後、公的な会合があって、その後、二次会に行って帰宅する場合、公用タクシー券は使えるか?

竹内総合政策部長 市長・副市長の場合は使えない。

本池 17時15分まで公務があって、その後公的な会合はないのに、飲みに行って、夜の10時、11時に帰宅する(実例)。その場合も公用タクシー券を使って帰宅してもいいのか?

竹内総合政策部長 あまりに内容に具体性がないのでお答えのしようがない。

本池 今聞いてきた使用基準は、取扱要領を定める前の使用基準と同じか、それとも異なるのか。

竹内総合政策部長 議会事務局がどのような形でつくったのか、その前の基準も了知していないので、変更点等お答えする立場にはない。

本池 タクシーチケットは、正副議長の申し出によって渡しているのか。もしくはあらかじめ渡しているのか。そのときの飲み事の内容を聞いてから渡すのか。

竹内総合政策部長 総合政策部長としてはお答えのしようがないというお答えになると思う。

前田市長 (質問を遮る)あまりにも話が遠すぎませんか。やっぱりたくさんの議員と執行部のみんないるなかでですね…。

本池 今から市長にもお尋ねするので。公金支出について、みなさん気にしておられるのは、これは7月につくられ、曖昧な基準で公金支出がされてきているものだからだ。今まったくお答えいただいていないが、見てわかるように取扱要領を定めても、いくらでも拡大解釈可能な曖昧な規定になっている。これでは今まで指摘されてきたように正副議長が飲み会帰りに自由に、公用車あるいは公用タクシーで帰っていいという基準になっているとしか思えない。コロナ禍で市民生活は大変な状況にあり、そのなかで一生懸命税金を納めておられる。それなのに正副議長は飲み会帰りに1回で1万円近くかかるタクシー代を自由に使ってよいというのであれば市民は納得できない。

今(前田市長が)ふさわしくないといわれたが、市議会は市の公金支出が適法・適正であるかをチェックするのが本来の役割だ。(前田市長「それは違うといっているわけじゃない」といったやじを飛ばす)。その市議会の正副議長がこのような取扱要領のもとに、市民のお金を飲み会帰りのタクシー代に使うことは大きな問題だ。

「市政の発展、公益の増進等に資するために使用する」場合はいいというが、市政発展のための意見交換会をおこなおうというのであれば日中におこなうべきだ。議会・議会事務局では、連日のように夜の10時、11時、12時に豊前田や唐戸などの飲食店で話していることがどのように市政の発展に寄与すると考えているのだろうか。仮にそうだとして、それでまじめな市政運営ができるだろうか。本当にそう考えているとすれば、それに公金が使われるのなら下関市民にとっては悲劇であるし、このような基準は他市から笑われるのではないかと心配している。

最後に市長にお聞きする。今明らかになったような曖昧な基準で、公用車や公用車にかわる公用タクシー代が公費で支払われることについて、どう思われるか。「このような曖昧な基準では使ったタクシー代を公金で支払うことはだめですよ」というべきではないか。

前田市長 市民が本当に苦労して働いて納められた血税の尊さと重さについては本池さんのいわれる通りだ。1円たりとも無駄であってはいけない。有効に町に還元されなければいけない。市政発展のために使われるのは当然のことだ。ただ私が途中で声を入れたのは、あなたの気持ちはよくわかるが、それは議会内でやっていただかなくてはいけない。わかっててあえて聞いてますよね。だからそれはおかしいんじゃないかって私はいっている。あなたのその言葉の使い方、頭の回転、わからないはずはない。わかってわざとやってるから、ここでやるべきことではないんじゃないですかといっている。
 動かしたいけど動かせない大きな岩を動かしたい、もがいているのはよくわかる。だけどそれは動かせないことないと思う。でもここでやることじゃない。ルールを逸脱してるから、みんながそこに乗ってくれないのではないか。やり方が違うのではないかと僕は思うが。いってることは間違ってないと思う。その正義感は非常に大切なことだと思う。

本池 質問に答えていただきたい。「このような曖昧な基準で使ったタクシー代を公金で支払うことはできませんよ」というべきだと思うが、そこについてどうかと今お聞きした。

前田市長 議会側が定めた要領に沿ってこちら側が公金を支出するというルールでやっている。議会側のルールについては議会側のみなさん、庶務課長、議会事務局長、議員のみなさんで決めていただくしかないのではないか。それが間違っている、市民に向けて正しいものでないというのであれば直していただかなくてはいけない。そうでないとわれわれも執行する責任が問われるだろうと思っている。

本池 市長もいわれたように支払いの最終責任者は市長だ。私がここでわざとやっているとおっしゃるが、公金の支出について議会は聞くことができるのだから、それをやっているだけの話だ。支払いの最終責任者である市長として、この問題は曖昧にしてはいけない問題だと思うし、間違っていたら正すのは当然のことだ。それに対する答弁が、議会のことは議会で決めるとおっしゃった。公金支出でない部分ならそれでいいが、公金支出については市長をトップにする執行部がおかしいといわなければならないので、そこはぜひ正していただきたい。

本池 市長は前回の一般質問のときに、この問題について「市民のみなさんに胸を張って説明ができる公金支出、タクシーチケットの利用の内容についてきちんとした基準をつくっていこうということで、私もやったし議会にも求めた」と回答された。それでできた取扱要領がこのような内容で、市民に対して胸を張って説明できる公金支出の基準といえるだろうか。これから運用されるのであれば正せばいいが、すでに運用され公金が支出されている。だから問題にしている。胸を張って適正にやっているといえるかどうか。

前田市長 今まで「これくらいでいいかな」というのでやってきた経緯があるから、今回新しくつくられたこと(基準)も許されないのではないかなといってるわけですよね。でも、そもそも考えてほしいが、公用車を使う立場にあるのはものすごく使いづらい。はっきりいって。私なんかは人間らしい生活はできない。ほんと。朝迎えに来てもらって、ありがたいが、仕事をして、行きたいところにも行けず、行きたいところがあっても、それが2つ続くとだめだ。1個でも次の用事に向かって逆方向とか、それが公務とあまりにも乖離されている。この解釈はルールでは決められない。任意というか良識のもとに政治家として、行政側のコンプライアンスのなかでジャッジしていくしかない。
あなたの場合、性悪説に立ってしまっている。このルールのなかでは絶対悪いことをするだろうと。良識の感覚から必ずはみ出してやってしまうだろうと思ってしまうから、そういうふうにいわれるが、きちんとした感覚でもうやってますから。もう悪いことしませんから。議長もそうだ。これからずっとそうだ。ほんとにマジで。聞いて信じてほしいなって思う(この後、シーモールでの公務後、私用があり自費で移動した話を延々と展開)。これじゃだめですか?

本池 市長がそうされているのはわかる。市長の基準を見る限り「公務以外に使わない」となっている。(議長・副議長のタクシー利用について)これまで住民監査請求の件から質問してきたが、市民の声がなければ、この問題も浮上してこなかった。正さなければいけないことはわかっておられ、基準をつくった。しかし、できた基準がこの内容ではだめではないか、という話を申し上げている。市長の基準、教育長の基準と照らし合わせてどうか。さらに議場で説明できないから、それが市民に伝わらない。きちんと答えていただければ市民にも信用されると思う。

最近、新型コロナの影響で飲食のチェーン店の閉店が連続している。市内のホテルが閉じたことも話題になっているが、市内のあちこちで自分の力ではどうしようもないコロナという事態で、職を失ったり、給料が削減されたりしている方たちが無数におられる。そしてそのような人たちも含めて市民のみなさんが、一生懸命税金を納めておられる。滞納することが許されないから。もしも払えなければ支援も受けられなくなるからだ。課税・納税関係の職員さんも本当に心苦しいと思うが、そうして集めた税金がこのような基準のもとで使われていると知ったら市民はどう思うだろうか。市民に対してこの取扱要領を見せることができるだろうか。

私たち議員全員、市民の代表だ。この議会に所属する議員として、このように、解釈によっては使いたい放題でこれまでと何ら変わらない取扱要領をつくってよしとするのであれば、公金の支出責任を負う市長としての責任が問われるのは必至だ。先ほどもいったが、間違っていたことはきちんと正して、それこそ市民に胸を張って説明できるような取扱要領のもとで公金支出をおこなっていただくよう申し上げる。