新下関市立市民病院についての説明会が開催中です。

統合計画が持ち上がっている下関市立市民病院㊤と下関医療センター(旧厚生病院)

下関市が、「下関市立市民病院」と「下関医療センター」を統合し、新たな病院を整備する計画についての説明会を今月1日から開催しています。

この説明会は6月に策定した「新下関市立病院に関する基本構想」についてのもので、内容は急性期機能を担ってきた4つの公立・公的病院を再編し、3病院体制にするものです。基本構想には、市民病院と下関医療センターを統合してできる新病院の整備にあたっての考え方、新病院が担うべき医療機能、運営形態、建設候補地(幡生ヤード)、整備方法などについての方向性が記してあります。

説明会の日程ですが、残る会場は以下のとおりです。

8月20日(火) 長府東公民館

8月21日(水) 川中公民館

8月28日(水) 勝山公民館

8月29日(木) 彦島公民館 ※台風のため中止になりました。

時間はすべて19時~20時まで。

これまで市民全体に向けてはシンポジウムが開催されたり、一部の地域に対する説明、パブリックコメントなどはおこなわれていますが、直接この事業について市民全体に向けた説明会を開催するのは初めてのことです。

3月議会では個人質問をしましたが、質問後にも、「病床の規模についてもっと話し合わなければならないのではないか」「病院が遠くなるので不安だ」「せめて公共交通をきちんと整理し、市民が病院に行けるようにしてほしい」「新病院に精神科を置かないのはなぜなのか」「医療スタッフが足りない」「新病院もいいが、旧郡部の医療についてもっと考えてほしい」などのさまざまな角度からの意見が寄せられています。

今は「構想」ですが、みなさんの意見を踏まえて今年度にはより具体的な「計画」ができていく予定です。可能な方はご参加していただきたいですし、説明会を通じてみなさまの意見をどんどん市に伝えていただければと思います。

経済委員会視察のご報告② 宇都宮市における地域新電力の推進について

宇都宮市のライトライン(次世代型路面電車システム)

経済委員会の視察2日目となった7月9日は栃木県宇都宮市に行きました。ここでの視察テーマは「地域新電力の推進について」です。

地域新電力とは別名「自治体電力」ともいわれ、自治体出資の新電力会社です。下関市では地域新電力として6月6日に「株式会社海響みらい電力」を設立したことがニュースで報じられていますが、これは再生可能エネルギーを使った電力を調達し販売する会社です。現時点での説明では、その電力は奥山工場でゴミを燃やすさいに出た電力で、これを公共施設などで使用していくということがいわれています。

今後、固定買取価格制度(FIT)が終了した家庭用太陽光発電からの電力もとり込んでいくことも想定していると、これまでの委員会で説明されています。電気代が上昇していくなかで少しでも安い電力を公共施設に供給することで電気代の抑制につながることと、売電によって得た利益を市民に還元していくこと、そしてCO2の削減を目指すものです。

宇都宮市の職員の方からのお話は「カーボンニュートラルなまち“うつのみや”の実現に向けて」ということで、脱炭素を中心にして宇都宮市が大きくとりくんでいる内容についてでした。全部は紹介しきれませんので、地域新電力会社についてを主にご報告いたします。

宇都宮ライトパワー(株)について

宇都宮市は2024(令和6)年4月1日現在で人口51万3264人、世帯数23万5188世帯、面積は416平方㌔㍍で、北関東3県(栃木、群馬、茨木)のなかでは一番大きな市になります。首都圏からのアクセスもいいためベッドタウンとなっているほか、平野が広がり居住可能地域も広く日照量が多いこともあって、家庭用太陽光の新規導入量は中核市第1位だそうです。

国が2050年までに二酸化炭素実質排出ゼロを目指すとし、地方自治体でも「カーボンニュートラルのとりくみ」が推進されています。宇都宮市のカーボンニュートラルのとりくみのなかでもっとも早い時期に始まったのが地域新電力会社「宇都宮ライトパワー(株)」の設立でした。電気を調達し売電する小売電気事業で、設立は2021(令和3年)7月。宇都宮市が51%出資し、NTTアノードエナジー、東京ガス、足利銀行、栃木銀行が共同出資しています。代表取締役には宇都宮市副市長が、取締役と監査役にそれぞれの共同出資者の代表が名を連ねておられます。

電力ですが、ゴミ処理施設「クリーンパーク茂原」のバイオマス発電と、非FIT、卒FITの家庭用太陽光発電から電力を調達し、庁舎、図書館、文化会館などの市有施設約300件に加え、ライトライン(次世代型路面電車システム)に電力供給をおこなっています。売上は2023(令和5)年度分で10億163万円、当期純利益は2億681万円だそうです。これは売電価格が高かったので売電収入が多かったそうで、リスクに備えつつ市民に還元していくために5年後の収益は6000万円程度を見通しているそうです。地域新電力については電源も下関市の調達とよく似ているので(もしかしたら全国同じかもしれませんが)、市民への周知方法や採算性などは参考になりました。ただ、地域新電力としての事業をおこなうにあたって、東京電力などの民間事業者との関係性もなかなか難しいことが伝わってきましたし、そもそもこれほどの事業を公共がおこなっていくことについても深めていきたいと思います。

宇都宮市は100年先も発展できる町として「拠点化」を進めています。市の西側地区を観光拠点として、東側の産業拠点として、それぞれに機能集約をし、こうした拠点を繋ぐネットワークとして、ライトラインや路線バスなどの公共交通でつなげるなど、都市計画、公共交通、環境を一体的にとりくんでいることがわかりました。ただ、これは平地と居住可能地域が多い宇都宮市ならではの政策であり、人口規模も産業構造も違う下関市が同じようにできるわけもありませんので、地域の状況に応じて冷静に見なければならないものだとも思っていますし、それが本当に市民のためになるのかを大事にしていきたいです。

その他

視察後には毎回「夕食」があります。あらかじめ事務局の職員の方がお店を決めてくださっていますので、そこで食事をしました(アルコールもあります)。食事代は旅費から出ています。

夕食後に希望者で二次会に行かれたのですが、店を出るさいに割り勘をしようとしたところ、ある議員が「二次会も予算があるはずだからそこから出すよう」といったそうです。自分たちで払おうといった議員もいたようですが、結果的に二次会のお金を旅費のなかから出させた(=自腹で払わなかった)そうです。私は二次会には行かなかったのですが、何人かの議員が「おかしくないか?」といってきたので知ることになりました。その場にいた人たちで解決してほしかったのですが、強くはいえなかったのでしょう。

議員の視察(出張)のための旅費は条例と条例施行規則によって規定されています。宿泊費(食費を含む)と日当は定額で決まっており、私なりに計算をしてみますと、今回の視察の場合、宿泊費が1万4800円×2泊分、日当が2000円×3日分で、合計3万5600円となります。その範囲内であれば二次会も出せるということなのでしょう。余ったお金は「余り」として視察後に個人に渡されるのですから同じではないかと思われているのかもしれません。

ただ、考えていただきたいのはこれらが税金だということです。「出せる」といわれても議員側から「ここは自分たちで払います」といわなければならないのではないでしょうか。市民に「旅費の範囲内なので二次会も公費で出してもらいました」といえるでしょうか。視察先で羽を伸ばしてはいけないとまではいいませんが、自分のお金で楽しむべきだと私は思います。

「小さなことまでいちいちいいやがって」と思われる議員の方もいるでしょうが、こうした一つ一つがもたらす結果として市民目線を失っていってしまうのではないかと思うのです。ですので、おかしいことはおかしいといっていくこと、中でいうだけでなく市民に対し明らかにしていくことをしなければならないと思っていますし、今回あえて書くことにしました。

3日目は豊洲市場に行き、東京都職員の方の説明のもと、施設見学をさせていただきました。1日目の青森市、2日目の宇都宮市も含め、視察の内容について詳細を聞きたいという方はご連絡ください。簡単ですが視察のご報告とさせていただきます。議会事務局の担当職員の方、視察先で説明をしてくださった職員のみなさま、ありがとうございました。