3月8日の本会議における個人質問の文字おこしを掲載します。収穫もありましたが課題もあります。今後もみなさんのご意見を伺いながら、それが市政に反映されるよう、さらに力量をつけて挑んでいきたいと思います。
①川中支所移転検討業務について
本池 はじめに川中支所の移転検討業務について質問する。先日からの代表質問でも取り上げられていたので、それを踏まえたうえで質問したい。現在、川中支所は、綾羅木本町にある川中公民館分館の1階部分に併設され、この建物は築53年が経過して老朽化が進んでおり、今後に向けた計画を決断しなければならない時期に来ている。市は公共マネジメントともかかわって、川中支所を川中公民館に移転し、川中公民館分館については解体し、土地を所有者に返還する方針で事を進めている。
一方で、川中公民館分館のある綾羅木地区の住民のみなさんのなかでは、災害時には避難所にもなるコミュニティー施設が失われることに強い反対意見が出ている。2月23日に川中公民館分館でおこなわれた移転に関する説明会に私も足を運んでみたが、そこで住民のみなさんは「なにも知らされていないのに、既定事実のように話を進めるのはおかしい」「代替の避難所もないのでは住民はどこに避難すればよいのか」という意見をぶつけておられた。説明にあたった市職員のみなさんは、会場の熱気について十分に認識され報告もされていると思うが、説明会を受けて、住民のみなさんの思いを下関市としてはどのように受けとめているのか、まず現状認識についてお聞きする。
河野市民部長 川中支所の移転業務の内容については、予算としては住民説明会に関する費用を10万円計上している。住民説明会については、この2月に川中地区の3会場において住民説明会を開催したところで、そのなかで住民のみなさまから課題やご意見を伺っている。とくに先般2月23日に川中公民館分館において主に綾羅木地区のみなさまを対象として住民説明会を開催した。そこでは、住民のみなさんから投票所のことや新たなコミュニティ施設に関することなど、課題やご意見を伺っている。これらの課題やご意見について一つ一つ市の考えを丁寧に説明させていただくとともに、地域のみなさまとの対話を図りながら解決していきたいと思っている。そのため今後、まだ日程は未定だが、改めて説明会を開催したいと考えている。
本池 支所の移転にともなう公民館の解体によって、なにか起きたときに避難する避難所が失われてしまうこと、また、住民がよりどころとしていた場所が失われてしまうことへの不安は大きいものがある。とくに、かつての新興住宅地である綾羅木地区は全体的に高齢化が進んでおり、この地域を支えておられる方々も高齢者をサポートする体制をつくっていくことが大きな課題になっていると語られていた。説明会の場では、代わりの避難所は川中公民館になるといわれたが、高齢者がそこまで避難するというのは不可能だというのがみなさんの見解だった。避難所及び住民の集えるコミュニティー施設を今後どうするべきと考えているのか、お聞きする。
今井総務部長 避難所についてお答えする。現在の川中支所が置かれている川中公民館分館は、大雨等の災害時には早期に開設する避難所に指定しており、綾羅木地区における重要な避難所である。昨年12月に公表した公共施設の適正配置に関する方向性で示しているように、川中支所の移転にともない川中公民館分館が避難所として使用できなくなるようであれば、同地区における既存の公共施設を避難所として追加指定するなど、住民のみなさまの安全確保に努めたい。
河野市民部長 コミュニティ施設については、現在綾羅木地区には、住民のみなさまに管理・運営していただいているコミュニティ施設である綾羅木会館がある。綾羅木地区における新たなコミュニティ施設の整備計画はないが、自治会等自らが所有する施設を整備しようとする場合には、コミュニティセンター助成制度や町民館整備事業補助金制度があるのでご活用いただきたい。
本池 綾羅木会館は川中公民館講堂の面積の2分1しかなく、場所も遠いため、代わりのコミュニティ施設としては不適切だというのが住民のみなさんの意見だった。あの説明会で住民の皆さんが熱を込めて「この地域に残してほしい」といわれていたのは、裏返せば、それだけ必要とされていることの証であると思う。なくてよいものならはじめからつくらなければいいが、50年以上にわたって地域コミュニティーの核として役割を果たしてきたからこそ「残してほしい」といわれているわけだ。近年は未曾有の豪雨災害や強い地震も起きるようになっており、大災害に備えることへの意識は高まっている。災害時はもちろんのこと、地域のみんなが集い、趣味や文芸などで交流を深め、地域の繋がりをつくっていくことは、市長が掲げている「健やかに安心して暮らせる誰にも優しいまちの実現」ではないか。以上のような観点から、現在の計画は前に進めるべきではなく、いったん白紙に戻して住民とともに再検討することを要望する。
②下関市立大学の学長選考について
本池 次に市立大学の運営交付金とかかわって、学長選考の在り方について質問する。3月5日にようやく学長選考の結果が公表された。新年度を迎えるギリギリだ。前回の学長選考結果は12月末には早々と公表されていたが、今回、これほど長引いたのはなぜなのか、何が起きていたのか、まず説明をお願いしたい。
今井総務部長 学長の選考は、地方独立行政法人法および公立大学法人下関市立大学の定款で法人内に設置される学長選考会議においておこなわれる。したがって、学長の選考について市が直接関与することはできないので、大学から得た情報にもとづき答弁する。
学長選考会議の委員は6人で、議事は出席した委員の過半数をもって決すると定められている。学長の任期満了にともなう次期学長候補者の選考は任期満了の3カ月前までにおこなうことが大学の規定により定まっているので、本来であれば12月には候補者が決定されることになる。しかし学長候補者の辞退により、その取り扱いを審議するのに時間を要し、学長候補者を決定することができず、昨年12月に規定の改正をおこない、今回に限り任期満了の1カ月前までに選考をおこなうことになった。今年に入っても学長選考会議で議論がおこなわれ、最終的には2月26日の選考会議で学長候補者を決定し、3月5日に理事長に報告され、公表されたところだ。
本池 学内で意向投票がおこなわれたのが昨年11月と聞いている。有権者は市立大学の専任教員53名、大学幹部職員14名の計67名。投票結果は、現職の川波氏が24票、対立候補となった元九大副学長の野田進氏が40票、白票3票であり、川波氏の24票から職員票14票を除くと、教員たちの判断としては実質的に40対10、つまり4倍もの圧倒的大差で野田氏が次期学長としてふさわしいと見なされ、次期学長に選考された川波現学長は、7割以上の教員たちから支持を得ることができなかった。これは事実か。
今井総務部長 詳細については聞いていないが、そのような票数の差があったことは承知している。
本池 新年度以後の大学運営が円滑におこなわれるのか否か、重要な部分なので、意向投票の結果については注意深く見ておかなければならないと思う。統率のとれない方がトップに立たれたのでは、大学は不安定化してしまうからだ。不思議なのは、その後、学内の意向投票で圧勝していたとされる野田氏が12月末に突然辞退されたことだ。なぜ辞退されたのか、その理由について市は認識されているのか。市立大学からは何らかの報告はあったのか?
今井総務部長 中身については報告を受けていない。ただ、聞いたところ、辞退された方のほうから辞退届けみたいなものが大学の方に送られてきたということは聞いている。中身については承知していない。
本池 報告しにくい理由でもあったのだろうか。意向投票で圧勝したのに、どうして野田氏は学長選考から下りたのか? ここが最大の疑問だ。よほどの理由がなければ理解し難いものだからだ。いかなる理由で辞退するに至ったのか、その要因として健康上の理由もあるようだが、同時に、事務局に対して「極度の不信」を抱いたことがあるようなのだが、そのことは事実だろうか。事務局はどのようにして極度の不信を抱かせたのか、市は把握されているのか。
今井総務部長 詳細については報告を受けていないので承知していない。
本池 昨年10月に立候補の書類を提出したにもかかわらず、大学事務局からは、それについての受領確認、意向投票の実施通知および結果、その後の手続きの流れを含む、一切の連絡・応答が12月に至るまでなかった。つまり放置されていたようだ。通常であれば、次期学長になる可能性もある人として、せめて「立候補の書類を受領しました」くらいは何らかの連絡応答があってしかるべきだと思うが、まったく何もないというのは異様ではないか。それで12月に突如、面接実施を命じる電子メールが届き、野田氏としては持病が悪化したために手術および入院を医師に相談していたため年内面接は無理であることをメールや電話で何度も伝えたのに、重ねて、執拗に12月中の日程調整を求められ、最終的には「このような事務局の冷淡で強圧的な対応に排除の姿勢を感じ取らざるを得ず」、「将来的に学長として事務局と協力しながら下関市立大学の発展に尽くす展望を失った」のだとお聞ききしている。「事務局に極度の不信を抱く」というのはよほどのことであるし、見方によっては、市立大学事務局は嫌気がさすように仕向けたとも見受けられるが、この辺りの事情を市は把握されていないのか。再度お聞きする。
今井総務部長 先ほども申し上げたが、学長候補者の選考は大学法人内の学長選考会議がおこなうことになっていて、市が関与できることではない。そういうところであり報告の義務もなく、中身については詳しく承知していない。
本池 重要なことであるし、総務部の所管なので知っておいた方がよいと思う。とにもかくにも、意向投票の結果は台無しとなり、学長選考には川波現学長1人が残された。すると2月4日付で、今度は学長選考会議に対して、学長解任審査請求書が教員38人の連名で提出された。専任教員の7割以上が、「学長としてふさわしくない」と重ね重ね申立したように見える。二度にわたって「学長としてふさわしくない」と否定されているわけだ。しかし、学長選考会議は川波氏を次期学長に任命した。一連の経過を見ると、どうもはじめから川波現学長の続投が決まっていたかのようにみえるが、そのようなことはないのか、確認する。
今井総務部長 それはないというふうに思う。
本池 ここで申し上げたいのは、新年度までに学長選考は間に合ったけれども、大学としては学術面において全学を牽引していくべきトップが、一期を経て7割の専任教員から否定されているという状態であり、リーダーシップを発揮できるのだろうか? 市立大学の発展のためにプラスになるのだろうか? という疑問があることだ。そして選考過程で「事務局に極度の不信」を抱かせたことが要因となって候補が辞退し、意向投票の結果が台無しになり、「他に誰もいないから残りの一人で」という運びになっているのであれば、事務局の責任は重大であると思っている。学長選考の結果を左右する最大の鍵になっているからだ。組織の中で7割の構成員から否定されたリーダーが力を発揮できるのか、甚だ疑問ではあるが、新年度以降の下関市立大学について、引き続き注目していきたいと思う。
③私立学校教育振興補助金の削減理由について
本池 最後に私立学校教育振興補助金について質問する。来年度予算のなかで、せんたく会議によって、私立学校教育振興補助金が昨年度に引きつづいて1400万円から700万円に半減されている。この補助金は、「私立学校の健全な発展と教育の推進を図るため、私立学校の特性が発揮できるよう、私立学校教育振興補助金を交付し支援する」ものとされています。まず、なぜこの補助金が行財政改革推進会議のすすめる見直しの対象となったのか、答弁をお願いする。
肥塚財政部長 下関せんたく会議においては、行財政運営と改革の基本方針にもとづき、市単独事業で事業開始後、相当に時間が経過しているもの、国・県の制度に上乗せ・横出しをおこなっているものなど、9つの視点にもとづき、ゼロベースで事業等の見直しをおこなっている。私立学校教育振興補助金は、事業の効果が不明瞭なものとして見直し対象の一つの事業となった。
本池 各分野で補助金のカットをしているなかで、この私立学校教育振興補助金については、2年連続の50%削減となっている。ここ何年かを見てみると、28年度、29年度の予算では2800万円が計上されていた。それが今年度1400万円となり、来年度は700万円であり、2年前の4分の1だ。再来年度にはさらに半額になるのだろうか。この50%削減の根拠はなんなのか、質問する。
萬松教育部長 私立学校教育振興補助金については、予算編成のなかで財源が限られており、すべての事業を実施することができない状況であったため、事業の優先度を検討するなかで確保できた予算を計上している。予算額については30年度の2分の1である700万円としている。
本池 50%の根拠はなんなのか。
萬松教育部長 くり返しになるが、予算の編成作業の過程のなかで、限られた予算を精査するなかで、確保できた予算を計上した。その結果、前年度の2分の1になったということだ。
本池 すべての事業が50%ではないはずだが。
萬松教育部長 すべての事業が50%ではないが、この補助金については、教育予算は厳しい現状にあり、他の予算も確保しないといけないなかで、この私立学校教育振興補助金の中身等を精査するなかで、事業効果等も再度精査して半額と決定した。
本池 中身等を精査した結果50%になったということだが、この補助金が出されている4法人5学校で700万円を割ると、単純計算しても1学校あたりの補助金額は200万円にもならない。生徒一人あたりにすると、数千円といったところだろうか。私学関係者の方たちに伺うと、以前は、学校規模に応じた補助金に加えて、市内の生徒一人あたり1万5000円の運営費補助が出ていたそうだ。それが平成28年度から事業費補助に変わったが、それぞれの学校ではこの補助金を利用して、外国語の授業のための非常勤講師や、工業の授業をおこなうための非常勤講師を雇用したり、学校の特色を活かすと同時に、より専門的な知識を生徒に学ばせることで、社会に出て力を発揮できる人材育成に力を入れておられるそうだ。
今の下関にとって、若い世代の定住を進めていくことがいかに重要になっているかはいうまでもない。そして高校新卒者の多くが進学・就職で県外に出ていってしまうなかで、下関市内の企業に就職し、若い力で地場産業を下支えしているのは私学の卒業生の比重も大きい。もちろん公立高校の卒業生も活躍しているが、市内の私立高校の中には、市内就職率が7割に達しているところもある。そこでは在学時代の専門的な教育課程が大きく貢献していることを見ておかなければならないと思う。
下関市に下りてくる地方交付税交付金の算出根拠として、私立も含めた子どもたちの人数が当然含まれていると思う。私立学校教育振興補助金については、私学の4法人に対して市の立場から理解を求め、補助金額についても直接協議されることを要望する。
傍聴に駆けつけてくださったみなさん、ありがとうございました!