農家のシカ対策の柵づくりに行ってきました。

今日は、シカ対策の柵作りのため豊田町に行ってきました。

下関市の農家の方にとって、シカ・イノシシ・サルなどの有害鳥獣による被害は深刻な問題です。農業が盛んな旧郡部では、田畑を作る以前にこれらへの対策をすることが必要になっています。

しかしながら、高齢化により食害を防ぐための防護柵をつくることが困難になり、柵で囲ってもどこからかシカが入ってきて野菜を食べつくす被害があちこちで起こっています。農家の方がどのような苦労をされているのか、被害の実態、それを防ぐためにどのような柵が有効なのかを知るために、シカ・イノシシ対策の柵作りを経験させていただきました。

お邪魔した農家では、毎年さまざまな野菜をつくっておられましたが、近年シカの被害が酷すぎて野菜作りをやめてしまったそうです。もちろん畑は手製の柵ですべて囲ってありますが、シカは脆い部分を見つけ、下の写真のように壊して入ってきます。

この畑で野菜を作れるように頑丈な柵をつくるのが今日の仕事です。

まず、破れた網を取り除き、新たに網を張るために2メートルもの鉄の支柱を数メートルおきに深く打ち込まなくてはなりません。今回は若手複数人で作業をおこなったのでできましたが、足場の不安定な脚立に乗って重いハンマーを振ることはきつい仕事です。

支柱がたったら、たるまないよう引っ張りながら網を張っていきますが、引っ張りすぎるとせっかく立てた支柱が倒れてしまうし、ゆるいと網がたるんでしまいます。その加減を見ながら網を張り、イノシシ対策の低いトタンを支える支柱と針金で結わえます。敗れた箇所と、網が低くなってシカに狙われやすい場所をやりかえるだけで数時間が経過し、夕方にようやく完成しました。↓↓↓

この作業をこれまではご主人一人がやられていましたが、高齢になるとどうしても力は弱ります。支柱がしっかりと埋まらなかったり、網がたるんでしまえば、そこからシカはどんどん入ってきます。その結果農業をやめてしまわれることにつながっています。

農家が一定まとまった集落であれば集団でできることもありますが、今回伺ったような山奥の小さな集落では、集団になることもできず、すべて手出しのうえ、自力で柵を作るしかないのが実際です。

道の駅などでは農家がつくる新鮮な野菜が多くの人に喜ばれていますが、その農家では毎回このような苦労をしながら野菜をつくられています。これ以上、鳥獣被害が広がらないよう対策を講じることが待ったなしです。

 柵の中には、野菜を植えました。無事に育ちますように。

第80回下関ふく供養祭に参加してきました。

4月29日、南風泊市場でおこなわれた第80回下関ふく供養祭に参列しました。

南風泊でのふく供養祭は、ふくの水揚げが終わるこの時期に感謝と慰霊のために下関ふく連盟が毎年おこなっておられるものです。会場は、祭壇と花輪で豪華に飾られ、水揚げをされている漁師や養殖業者のみなさん、市場関係者、行政関係者など大勢参列されました。

供養祭では、生産者代表、養殖業者代表、加工業者の代表に、前田下関市長と下関ふく連盟の理事長さんからそれぞれ感謝状が贈られ、今季最大となる9・7㎏のふくを水揚げされた漁師の方には大ふく賞が贈られました。

「慰霊のことば」では、全国の人々に尊い命を捧げたふくに対して、感謝の辞と、今季の水揚げの報告がなされ、天然物の減少などの逆境はあるが安心安全なふくを提供することが使命であるとして、今後に向けた決意がのべられていました。

全国にフグの本場として知られる下関ですが、なかなか普段の市民の食卓に出るものではありません。それだけに目に見えにくいものでしたが、フグにかかわる業者さんを含めてこれほど大勢の方々が参列し、毎年盛大な供養祭で感謝と慰霊をおこなわれていることに、改めて水産都市・下関にとってフグの恩恵はたいへん大きいものだと実感しました。

 

道の駅阿武町が大盛況する理由とは

先日、道の駅阿武町に行ってきました。

安くて新鮮な鮮魚や野菜の品揃えが豊富で「行列のできる道の駅」と知られている道の駅阿武町ですが、噂に違わずこの日も大盛況でした。開店前から、若い人もお年寄りも列を作って入口に並んでいました。特にこの日はリニューアル5周年の日でもあり、平時の数倍もの客入りだったそうです。

買い物客で大賑わいの「道の駅阿武町」

圧倒的に人気なのは鮮魚。地元の奈古、宇田郷の漁師さんたちがとってきた新鮮な魚が破格の安値で売られています。お値段も、たとえば小アジ1パック(20匹)が80円~100円など超お買い得! しかも鮮度は抜群です。開店から10分たたずして第1弾は完売となり、その後、第2弾、第3弾と時間差で鮮魚が並べられます。青果も、ホウレン草、キャベツ、レタス、高菜、山菜、タケノコ、葉わさび、春菊、水菜、からし菜などなど、時期の野菜がもりだくさんです。

阿武町は人口3000人の小さな町ですが、この道の駅の魅力を知り尽くした人たちが、これほど町内外から集まっていることには驚かされます。

農林水産物のほかにも、食堂あり、スイーツあり、温泉と温水プール、芝生公園、そして美しい海。若者から高齢者、家族連れまでが長時間楽しめる場所です。

開店と同時に入店するお客さんの列

阿武町では、本年を「第一次産業再生元年」とし、町の基幹産業である農漁業にさらに力を入れていくそうです。少子高齢化の問題とかかわって、道の駅でも出荷者の高齢化の問題はあるといいます。しかし人口減少を食い止めるための並々ならぬ努力をされてきたこと、その効果が着実にあらわれていることに確信をもっておられ、「まだまだこれからだ」とおっしゃっていたのが印象的でした。

人口減少・高齢化といえば、下関も同じ問題を抱えています。とくに阿武町と同じ農漁業を基幹産業とする豊北地区や豊田地区では高齢化も深刻ですが、「どうにかしなければならない」という切実な思いがあるものの、個人の努力だけではどうにもできない現実があります。

人口減少を解決する糸口は、人を増やす努力のなかでしか見いだせません。その意味で、阿武町は町と住民が一体となって農漁業の後継者の育成に力を入れ、雇用を創出し、人口減少の問題に本腰を入れてとりくんでいます。下関の人口のおよそ100分の1しかない小さな町がこれほどの活気にあふれている背景には、「人が少ないから仕方がない」と諦めて縮小していくのではなく、過去と現在とを分析し、解決に向けて具体的な対策を講じ、それを住民と一緒にとりくんでこられていることが大きいのではないかと思いました。かつてない人口減少にどのように向きあうのか、その違いが決定的だと思います。人口減少が避けられないものと捉えて思考停止したり、外の力に期待するだけではなく、地域の魅力と強みを生かした努力によって再生の余地が十分にあることを教えられる視察でした。

地域によって条件の違いはありますが、成功例をしっかり学んで、下関ならではの解決策をみなさんと一緒に探っていきたいと思います。