市議会先例85-1「一般質問等の質問における議会に対する発言通告は、これを受理しない」について。

 先日、長周新聞紙面にも掲載された「公用タクシー券の不正使用を許さない市民の会」の提言を受け、亀田議長及び市議会事務局長に再度見解を伺ってきました。もうじき任期も終わろうかというなかで、この問題について追及してきた一人の市議会議員として、事の是非を曖昧にしたまま1期目の幕を下ろすわけにはいかない、過程で生じた不当な議会ルールをそのままにして終われないという思いで動いています。下関市内を回っていると、市民のみなさんから、「議会の(公用)タクシーチケット問題はどうなったのか?」「誰が考えてもおかしい。うやむやにしないでほしい」と声をかけられることが増えました。したがって、この間公用タクシーチケット問題から始まった一連の出来事について、支持者のみならず、広く市民の皆様にご報告することにしました。

歴代の市議会正副議長が公用車の代用として使っている公用タクシーチケットについて、公務だけでなく飲み会の帰りなどにも使用していた実態が明るみになり、そのことについて一般質問で質問をしようとしたのが令和2(2020)年6月のことでした。そのさい、議会(議会運営委員会。無所属は委員に入れず)で突如「ルール」がつくられました。「一般質問等の質問における議会に対する発言通告は、これを受理しない」(先例85-1)という一文です。

この先例85-1により、タクシーチケットの運用実態や運用規程について、私は「議会」に対して質問することができなくなりました。それだけでなく、この一文をつくったことで、議員が議会費(予算執行)に関して本会議の場で質問をおこなうことができなくなるというおかしな事態になってしまったのでした。

まぎれもなくタクシーチケットに関する一般質問を封じるために、質問通告(議員は事前にどのようなテーマで一般質問するのか通告し、その後執行部の関係部局から質問点について聞き取りがおこなわれる)を受けてにわかにつくられた先例なのですが、大きな問題をはらんでいます。下関市議会で決められた先例85-1を決めるときに「参考」として用いられた衆議院先例427には、「議長に対する質問書はこれを受理しない」となっています。議員の質問先は内閣(執行機関)であるから、議長に対しては質問できないというものです。当然の内容です。しかし下関市議会の先例は、議員が執行機関に質問する権利をも剥奪するもので、これは地方自治法上大きな問題です。

このことを指摘し、早急に廃止を求める意見書を亀田議長に提出したのが今年の8月8日でした。そのさい8月19日までに返事をして頂けるよう求めた(遅れる場合はいつになるかを教えて頂ければいいともお伝えしました)のですが、19日になっても返事がありませんでした。仕方がないので議長室まで出向き、「来週末には返事をする」との回答を頂きました。しかし「来週末」にあたる8月26日になっても音沙汰がなく、再度議長室まで行き、その日の夕方に面会しました。

亀田議長に意見書の件はどうなったのかを聞くと、驚くことに「答えられない」というのでした。先に述べている先例があるからという理由です。先例の内容については指摘させて頂いている通りですが、先例にある「一般質問等」の解釈を拡大し、議会外での議員個人の申し入れに対しても適用するというものでした。その意味を理解するのにしばらく時間がかかりました。「一般質問等」とは一般質問、個人質問、代表質問のことを指しており(当時そのように説明を受けています)、拡大解釈が過ぎるのではないかと指摘しても「同じようなものだ」といって答えを頂けませんでした。しかしその後「みんなと相談する」といわれましたので、再検討をお願いしその日は帰りました。

亀田議長と岡本事務局長の対応

8月26日の議長との対談を経て、10月25日火曜日午前10時より議長室で亀田議長と対面し、先例85-1の廃止を求めた意見書がその後どうなったのかを確認に行きました。議長のお答えは「特段のことはしていない」ということです。議会運営員会にはかることもしていないといわれていましたが、その後、正副議長、議運正副委員長と9月定例会の前に打ち合わせをした結果、現状維持ということになったということが説明されました。そのさい、「先例は今季の議員が決めた先例であり、メンバーも変わっていないし、あえて今変える必要はないのではないか」という意見があったということです。違法性について指摘しているが、そのことは議論になったかどうかを問うと「なっていない」とのことでした。

その後、岡本善隆議会事務局長に先例について確認に行きました。岡本事務局長に関していえば、令和2年当時、提案者として先例追加について議会運営委員会で説明をされており、私も当時、先例についての説明を岡本事務局長から受けています。この間の私の意見書についても亀田議長が事務局に渡しているといわれていましたので、事務局長にきちんと確認をしておきたいと思い、亀田議長と対面ののちに事務局長に質問の申し入れをしました。

まず、事務局長は私のボイスレコーダーをとりあげ、「記者として来るなら対応しません」といわれますので、議員として来ているというと、「議員として来ているなら切ってください」といい、ボイスレコーダーをご自身の手元に置き、「触らんか見させてください」といわれました。私が、この件については裁判で争うつもりであることと、そのために一言一句正確に記録しておきたい旨を伝えたのですが、頑なに拒否されるため、メモで対応することにしました。

思い返しますと、8月26日に亀田議長と対談したさい、事務局長も同席されたのですが、ボイスレコーダーにご自身の声が入らないようにするためか、一言も言葉を発せられず、うなずくだけでした。ご自身の声が入るのがよほど嫌なのでしょうか。言質をとられまいとする対応のように感じました。みずからの発言に関してやましいことがないのであれば、正確に記録することは身を守ることにもなるのですが、どうしてそのように身構えられるのか不思議でなりません。

事務局長に対しておこなった質問と回答ですが、以下のとおりです。 続きを読む

9月議会が閉会しました。(一般質問のご報告)

22日に9月議会が閉会しました。今回の一般質問では、令和3年度に発覚した未集金となっている介護報酬過払い金について質問をしました。この事件は、市内の介護事業所(1社)に対し下関市が3億円にのぼる介護報酬の過払いをしており、その返金について、40年以上にもわたる分割納付が認められたものです。数十年になる返済計画は過去になく、同業者の方々からも疑問の声が上がっています。今回、過払い金が発生した経緯や、なぜ40年以上にもわたる返還計画が認められたのか、判断基準の根拠としたものはあるのか、政治家の介入はなかったのかについて質問をしました。以下、質問と答弁の要旨を報告させていただきます。

未集金となっている介護事業者への介護報酬過払い金について 

 本池 ちょうど1年前、令和2年度決算の下関市介護保険特別会計介護保険事業勘定歳入歳出決算書において、突如2億2361万2973円が返納金の収入未済額として計上された。今議会に提出されている令和3年度決算でも返納金の収入未済額は2億1775万5825円となっている。ちなみに令和元年度の決算における収入未済額は207万円だった。巨額の収入未済額は令和2年度中に調定されたものだ。まず、令和3年度決算の収入未済額のうち事業者への過払い金で未収金となっているものは何件で、それぞれいくらあるか。

冨本福祉部長 令和3年度の下関市介護保険会計歳入決算、款諸収入の収入未済額は2億1775万5825円の決算額ででご指摘の通り。内訳は2件で、1件は2億1739万9467円で、質問の対象となっている行政指導に基づく返還金だ。もう1件は、35万6358円で行政処分として返還を求めていたものになる。

本池 大半が1件の返還金だ。このような過払い金がどうして発生したのか、対応及び回収は適切になされているのか質問する。発生の経緯だが、当該事業所の件については、平成25年度に実施した監査において、人員基準を満たしていないことが判明したため、改善勧告をおこなうとともに、介護給付費の請求の是正について文書指導をおこない、平成27年4月から、国民健康保険団体連合会のシステムを通じた過誤調整による返還が始まったということだ。当初は10年で完了する計画であったが、その後、相手方法人の経営状況から10年以上を要することが確実となったとのことだ。令和2年度に改めて相手方法人と今後の対応について協議をおこない、毎月50万円づつ、約40年かけて返済していく計画になったということだ。経緯については間違いないか。

福祉部長 間違いない。

本池 この決定にいたるまでの公文書にも目を通しているが、3億円に迫るほどの巨額な案件に対し、過誤調整で対応したのはなぜか。

福祉部長 行政処分ではなく行政指導で対応させていただいた。基本的に行政指導で対応した案件については、過誤調整ということで、誤った金額を毎月支給される介護給付金から差し引く手続きをとるようになっている。今回の案件も行政指導であったということで、過誤調整で対応している。

本池 過払い金が非常に巨額だが違反の内容はなにか。「人員基準を満たしていなかった」としかないが、違反の内容について述べてほしい。

福祉部長 配置が必要な専門職が人員の基準に達していなかった。

本池 介護報酬の算定については、複雑であるがゆえに過誤は少なくないと聞いている。入所者の介護度や人数、施設の人員、提供しているサービスなど、複合的な要素で計算されるため過誤が起きやすい。しかし、今回の場合は「人員配置」だ。しかも専門職。老人福祉施設における人員基準はそれぞれ明確に定められており、勘違いが起こるのかという問題がある。同業者にもお話を聞いたところ、毎年法人の状況や人員配置等について報告する「自己点検表」があるとのことだ。手元にあるのは介護老人保健施設の自己点検表だが、施設の種類によって、チェック項目があり、それぞれの専門職が何人いるか、それに対して「はい」「いいえ」の2択で答えるようになっている。過払いがあった期間について、法人側が「満たしていない人員」について、「いる」としていたのか、逆に「いない」と記載しているのに市が支払いを続けていたのか、この二つが考えられまるが、どちらか。

福祉部長 人員基準を満たしているという報告になっていた。

本池 事業者のほうが、いないにもかかわらず「いる」と書いていたということか。

福祉部長 丸をつける欄があり、そちらに「満たしている」と丸をつけていた。

本池 開業時から人員欠如が生じた状態だったのか、それとも途中で人員欠如が生じたのか。

福祉部長 この人員配置については平成22年6月からと把握している。

本池 平成22年6月から今までいた人員がいなくなったということだ。途中で人員欠如が生じたにもかかわらず、いないものを「いる」と報告していたのであれば明らかに虚偽報告にあたると思うがどうか。

福祉部長 基準については明確に文書化されているところでまずは判断するが、それぞれいろんな施設なり事業所なりで状況が違うため、解釈というものが国から示されている。その解釈について、こちらの事業所の方が誤った認識をしていたことが原因だ。

本池 誤った認識ということだが、先ほど自己点検票では「いる・いない」で答えるようになっている。それに対して解釈という余地があるのか。「いる・いない」しかないのにどのような解釈をされていて、誤った認識だったのか。

福祉部長 こちらの事業所の判断として、事業所の中の体制でカバーできるという判断をされていたという解釈の誤りだった。

本池 体制でカバーできるという相手方の主張があるから、市は勘違いだったという主張を認めたのか。市が、虚偽報告ではなく誤った解釈をしていたという主張を認める理由はなにか。

福祉部長 自己点検票だけで判断するのではない。聞き取りに行って、向こうの状況もお聞きをして、いろんな書類を調べて判断していく。そのなかで、詳細は申し上げられないが、解釈基準の判断のなかで、事業所としての全体的にフォローができる体制について、解釈自体は誤っていたがその範囲のなかでそこの事業者さんはそのように判断された。あとはいろんな報告とか説明をしてもらっているなかで、通常処分になる場合は、その職員がいないにもかかわらずいたかのような虚偽報告されたりということがあるが、こちらの事業所はそういった虚偽報告というかたちの悪質性はなかったので、指導という対応で処理させていただいた。

本池 公文書を見ていると、当初は月々350万円の支払いを約束したにもかかわらず、翌年には返済が滞っている。そして令和2年1月27日付で、事業者から「介護給付費返還の方法に関する上申書」が届いており、「月額100万円ずつの返済」を希望する内容となっている。その理由の一つとして“当時の福祉部長が「現在実施中の毎月の返還は、※※(黒塗り)、法人全体の運営状況、資金繰り等から返還が困難であるときは、猶予・延滞しても致し方ない」との判断がなされました経緯がございます”と書いてある。面会要約も添付されているようだがこの発言自体は事実か。市はこの事業者のこの主張を認めたのか。

福祉部長 私どもの記録も確認したが同じような記録はなかった。相手方にも確認したが、相手方についても把握と認識とがあやふやの状況だった。私どもとしては、それ以外の場面では、減額は認めることはできないと、どの場面でお話する場合でも一貫してそのように説明している。

本池 発言は事実ではなく、事業者がいっている主張については認めていないという理解でよいか。

福祉部長 認めていないと言い切れるかどうかはわからないが、こちらとしては記録がないし、こちらが一貫して説明しているとこと説明内容が異なるということで、そういう意味では、私どもとしてはそういう発言ではないという認識だ。

本池 この上申書に関していえば、コロナの影響をうける前の話だ。(福祉部長の発言については)記録がないし、事業者の認識と違うということだが、結局その後、コロナによる経営難を理由に100万円どころか50万円の分割納付を認めている。その経緯についてだが、返済が滞り始めてから月50万円の返済を認める方針が決裁された令和3年2月までの4年あまりの間、放置したわけではなく協議をしてきたといわれたが、いつ、どこで、だれと、どのような協議をしてきたのか。

福祉部長 対面で協議をしてきたのが14件ある。基本的に福祉部長、次長、介護保険課長、担当職員で対応している。

本池 市長が面会されたケースはあるか。

福祉部長 市長は3回面会している。私どもと同様に指導が適正になされたものと説明してもらっている。

本池 対面で14回、それとは別に市長は3回、計17回以上は協議されてきたことになるが、その内容は?

福祉部長 50万円の返還額になったのは最終的な協議の結果で、その間、その間相手方の経営状況であったり、保険料を預かっている立場としてというところで、こちらも顧問弁護士に相談しながら、相手方も顧問弁護士や税理士と相談しながら協議を重ねていったというところだ。

本池 最終的に50万円を認めたというのは、市長が対面されて判断されたということか。

福祉部長 当然協議のなかで福祉部で責任を持って話をお聞きしている場面もある。最終的に50万円でもやむなしというのが適切かどうかはわからないが、結論を出して、方針伺いを出して、市長まで決裁いただいて出した結論だ。

本池 先ほどの福祉部長の発言についても認めていなのに、結局、事業者のほうに譲歩に譲歩を重ねているようで、きわめて不可解に感じる。政治家の関与を問う声もあがっているがそのような事実はなかったのか。

福祉部長 責任をもって、行政としての判断をさせていただいている。

本池 電話や問い合わせもなかったか。

福祉部長 福祉関係の事業所については、おおむねどこも県議や市議とのかかわりはあるが、議員さんのほうからもそういった形で私どもにお話されることはなかったし、あくまでも行政として判断をさせていただいている。

本池 福祉施設については、いろんな政治家から連絡があると。全般の話としてではなく、この件について、100万円でも認めなかったところを最終的に50万円での支払いを認めているが、そのことに関して政治家の介入はなかったかと聞いている。

福祉部長 50万円の金額に関しては相手方の弁護士、税理士、私どもの顧問弁護士とも相談して、地域的に経営がもともと難しい状況にある事業所ではあるが、新型コロナの影響を大きく受けている事業所であったので、あわせて決算書なども確認している。そうした総合的な確認のなかで50万円と結論を出させていただいた。

本池 50万円の支払いを承認するうえで経営状況の確認をしていると思うが、それはどのようにおこなったのか。

福祉部長 決算書のほうは毎年いただいている。毎年いただいたものをすべて表にして、とくに前後の3カ年を踏まえた確認が十分できるようにして、事業収入や負債などがどういう変化をしているのかについて確認している。

本池 事業者が市に提出したものだけなのか、業者のほうに出向いて他の書類も確認されたのか。

福祉部長 基本的には提出をいただいているものになるが、私どものほうが決算書の中身で疑問に思うところなどは相手方のほうに連絡をいれて確認するなどしながら確認作業をおこなっている。

本池 2億の過払い金を40年かけて返済するという計画を市が認めたことについては業界の方々みなさん驚いている。介護事業者の方々にお話を聞いたところ、過誤はありうることですが、「人員配置に関しては勘違いということはありえない」とみんないわれる。同じように市の監督を受けている事業者の実感としては、「指定取り消しの案件」という受け止めです。100歩譲って、それが勘違いで起こったものであったとしても、「自分だったら借り入れをしてでも、まずは公費の返済をする」「それがが当たり前」とか、「これまでいた人員が減った時点で、市に相談して対応を考えるのが普通ではないか」と指摘されていた。それが行政から指定を受けて事業をおこなっていく、もっといえば地域の介護を守っていく者の責任だと。みんながルールを守ってやっているのだから当然の話だ。どうしてこのようなことが認められるのかというと、すべて行政処分をしていないからなのだが、行政処分をしないとした判断基準、根拠はなにか。

福祉部長 行政処分については、組織性であったり悪質性であったり、被害の大きさであったりを総合的に判断する。今まででも行政処分をした案件があるが、いない人をいるかのように装った報告であったり、計画であればつくっていないのにつくったような虚偽の報告をしたり、悪質な内容のものになるが、今回のことは、適切とはいえないが、そうした悪質性はなかったというところで行政指導という最終的判断をさせていただいている。

本池 部長が今述べたなかで、「いないものをいるとしたり」といったが、点検表においてはいないものをいるとしている。事実として。今、手元に監査後の平成26年3月に下関市が事業者に対して出した改善勧告がありますが、人員配置基準の違反だけでなく、「現況」の欄を見てもひどい内容が見受けられる。4人の部屋に5・6人いるとか。これは悪質とはいわないのか。

福祉部長 人員基準以外でお話された内容については、当然自己点検票と現地に行って確認をしたときに事業所のほうには適正な対応をするようにという指導を必ずする。合わせて文書で送って、それが改善されたかどうかの報告ももらうシステムで対応をしている。

本池 対応するのはいいが、こうした内容が悪質というものには当たらないのかと質問している。

福祉部長 例えば、職員の方が利用者に虐待的な行為をしていたということであれば当然、不適切な対応になろうかと思うが、部屋の利用されている方の人数であったりは、それをもって悪質とは判断していない。あくまでも現地に行って、それが利用者にとって不適切な内容であればそこは指導する。そういうところでご理解をいただきたい。

本池 行政処分をしていない場合、債券回収の規程はあるか?

福祉部長 規程と申しますか、厚生労働省のほうでマニュアルがあり、まずは事業所のほうが自主的に点検をおこない、適切な介護給付費の調整をするというマニュアルは示されている。

本池 今いわれたのは過誤調整をするときのことだ。行政処分をした場合は、「下関市債権管理条例施行規則」に則って回収をおこなっていくと思う。しかし、今回の場合「行政処分をしていない」ことによりこの条例施行規則の対象となる債券ではなく、回収に関して業者のいい分を認めざるをえなかったり、情報公開資料も黒塗りということになっている。こうなれば、なぜ行政処分をしないのかという説明責任が求められる。施設にいない人員を「いる」としていたことは先ほどからやりとりしているが、「悪質」「悪質でない」の判断基準はなにか。

福祉部長 ご説明が難しいが、当然適切な人員配置ではなかった。ただ、事業所のほうが主張する解釈にもとづいてというところは、本当に誤った解釈をしていたということで今回のような判断をしている。          

本池 続いて回収状況について質問する。まず、今年の予算議会で、回収が確実である未収金については収入として記載するべきだと指摘させていただいた。これは市の回収意志があるかどうかという重要な問題だ。その後どうなったのか。

福祉部長 昨年度お話をいただき、関係部署とも協議し、あらかじめ計画的に返していただく金額は見込まれるので、令和5年度予算には計上する方向で調整している。

本池 今後も毎月50万円づつ40年かけて回収していくつもりなのか。

福祉部長 先ほどから決算書の確認をさせていただいているということを説明したが、今回の事案については長い年月の回収作業になるので、相手方と公正証書を作成している。そのなかで、もし決算書を確認して経営状況が改善をして、今以上に返還が可能になった場合はその金額で返していただけるという趣旨の規定を設けているので、その場合は今よりも多い金額で返還してもらうようにさせていただくつもりだ。

本池 40年もたてば当然経営者も変わると思うが、返納中に業者が廃業・倒産したり、事業譲渡などをした場合はどうなるのか。

福祉部長 当然事業を廃止された場合については、原則、可能な限り債券回収ができるような交渉をする。事業譲渡された場合にはあたらしい事業所のほうに債券も引き継がれているか確認をして、最終的に判断をするときは、市の顧問弁護士とも相談して適切な債権回収の対処ができるようにしたいと考えている。

本池 令和3年度に発覚した介護報酬の過払い金は何件あるか。また、このうち、現段階で未収金となっており、今後返還を受けなければならない案件があれば教えてほしい。

福祉部長 明確になっているのは、ご指摘の事案とあわせて報告した案件になる。

本池 協議中のものも含めて教えていただきたい。

福祉部長 資料をもちあわせていない。(後に2件と回答あり)

本池 今後、同じように変換をうけなければならないケースが発覚したときに、同じように何十年にもわたる分割払いを認めていくのかどうかの確認をしたい。

福祉部長 単純に“はい、そうですか”と決めるものではないので、相手方の財政状況なども確認をしながら可能な限り短期間で返していただきという処理になる。顧問弁護士とも相談しながら適切な対応がはかれるようにしていきたい。

本池 基本的には認めないが、経営状況にもよるのだろう。ずっと確認してきたが、なにもはっきり答えられる部分がない。全部協議のなかでの、“感触”のような話になっている。他の事業者からみて、これはどうなのか、と思われるものになっている。この規定にもとづいてこうしたというきちんと説明できるものがいるのではないか。40年もの案件などは今まで一度もないということも前回答えていただいているが、これを認めてしまったことが、今後の介護事業に大きな影響を与えかねないと感じている。すでに事業者の不信は募っている。介護保険制度は被保険者の保険料や税金でなりたっている制度だ。(事業者にとって)財源が十分ではないことは承知しているが、だからといってルール違反をしても「返済は数十年かけて少しずつでいい」というような運用がされれば、介護保険制度そのものが崩れてしまうが、認識を聞かせてほしい。

福祉部長 そうしたご意見は理解できるが、今回の案件についてはもともと地域的に経営が難しいということもあり、新型コロナ感染症の影響を大きく受けたこともある。その辺を考えたときには、決して結果としていいことにはなっていないが、今の金額で、確実に返していただくということで対応したいと思っている。そういった面では、現場の事業所の方に、今お話されたような意見があったかと思うが、ただ、あとでそんな判断だったのかといわれるような判断はしていないので、ご理解はいただきたい。

本池 部長はそういうが、明確なものがないではないか。行政は、根拠規定があってやっているという信頼がある。それがないようになってしまって、なんとなく“これは悪質ではない”“悪質だ”という感触だけで判断していいのか。この質問を取り上げるにあたり、事業者から意見も、介護現場の実態もお聞きした。これまで「人員配置基準を満たしていなかったのは勘違いだ」とか、「地域の介護を守るためにつぶすわけにはいかない」という説明を半年間うけてきた。しかし多くの事業者がルールを守り、まじめに事業をしている。そうしなければ指定も取り消されてしまい、介護報酬も入らなくなる。結果として地域の介護を守ることができなくなるからだ。そうした多くの事業者に対し、胸を張って説明できないことはするべきではない。このことについて今後考えて対応していただきたい。

経済委員会の視察に行ってきました

8月3日~4日、経済委員会の視察で京丹後市と豊橋市に行ってきましたので、視察内容をご報告します。

京丹後市の環境保全型農業のとりくみ

京丹後市での視察のテーマは「生物多様性を育む農業推進計画」。

京丹後市には隣接する兵庫県豊岡市から国の天然記念物であるコウノトリが飛来することから、環境保全型農業のとりくみをはじめられ、平成22年に「生物多様性を育む農業推進計画」を策定しています。「生物多様性を育む農業」とは、「農業の持つ物質循環機能を活かし、環境への負荷をできるかぎり低減して、多様な生物を育み、消費者の求めるより安全・安心な農産物を生産する農業」と定義しており、有機農業等そうした農業をとりくむ農家の育成に力を入れています。

京丹後市農業振興課のお話では、有機農業をとりくむのはハードルが高いため、特別栽培米(化学肥料・農薬の使用を府の慣行レベルの2分の1に抑える)の生産を推進していますが、化学肥料・農薬を減らせば収量が減ったり病気が増えたりするため、進みにくい現状があるといいます。

これを進めていくために欠かせないのが慣行農業からの転換と、消費者の理解の醸成です。京丹後市では特別栽培米への転換を進めるために市単独で予算を組み、特別栽培米の団地化を進めれば一反当り約1万円の補助金を出すようにしたそうです。これは、化学肥料・農薬を減らすことで収量が減るのではないかという不安を持つ農家に対してまずは特別栽培を「体験」してもらうことを重視したものです。実際に収量が減ったのかについては、1割ほど減った農家もあったそうですが、多くの農家が苦もなく現在も特別栽培米の生産ができているそうです。

京丹後市の地産地消のとりくみ

もう一つ、興味深かったのが同市の地産地消のとりくみです。具体的には①地域商社、②学校給食の二つがあります。

地域商社については、3年間の予算を組み(令和2年2400万円、3年2600万円、4年2600万円)、道の駅を運営している企業に事業を委託しています。京丹後市は小さな農家が多く小ロットの野菜が多いため、消費地への輸送コストが高くなっている現状があり、これを解決するためにはじめられたそうです。5台の輸送車で農家に出向いて野菜を集荷し消費地である京阪神に運ぶと同時に、途中には学校給食、病院、宿泊施設などに野菜等を配送する役割も果たしています。

今年度で事業期間は終了しますが、この3年のあいだに補助金がなくても自走できる仕組みを市が深くかかわってつくりあげており、「思い描いていた絵に向かいつつある」と手ごたえを感じておられました。

学校給食については、「子どもたちに地域のものを食べさせたい」という農家の思いから出発し、京丹後市内産の特別栽培米をはじめ、野菜、魚なども提供しています。

平成22年度から認定農業者で組織する京丹後市農業経営者会議のなかに「給食小委員会」が設置され、地元産の食材を学校給食に利用するとりくみを開始。この委員会は農家が主体となっており、学校とのつなぎ役として栄養教諭も入っておられるそうです。献立は市内統一献立で、毎月特別栽培米を使った食育週間、月1回の「たんご食の日」、年1回の「まるごと京丹後食育の日」をおこない、子どもたちに安心・安全な地元食材を食べてもらい、食の大切さや生物多様性を育む農業の重要性を伝えているそうです。また、生産者が学校に出向いて生物多様性を育む農業の理解を深めたり、地産地消を推進する「出前講座」もおこなっているそうです。

そのほか後継者育成のとりくみとしては、廃園となった園舎を活用した「丹後農業実践型学舎」のとりくみや、農地付き研修制度についてお聞きしてきました。

以上簡単ですが、京丹後市のとりくみを紹介させていただきました。

環境を守りながら地産地消をどのように進めていくのか。具体的なプランをもって進めておられる市の姿勢に感銘を受けました。近年、下関市でも学校給食の問題等をめぐって、地場産野菜の活用や、より安心・安全な食材の生産の必要性が各所で語られるようになっています。抽象的ではなく京丹後市のように、課題を明らかにし、それを解決しながらよりよい農業現場、学校給食、地産地消につなげていくことが下関にも必要だと感じる視察でした。

京丹後市で学んだことを下関市でどのように生かすのかについては、今後、市民のみなさまとも意見を交わしながら考えていきたいと思います。もっと深く知りたいことやご意見があればお寄せください。