議員の一般質問時間の削減について。

下関市議会議会運営委員会は、5月6日の議会運営委員会(以下、議運)で議員の一般質問の時間を現行の60分から50分に削減することを決定しました。

「わずか10分」。そう思われる方もいるかもしれません。まず、一般質問とは、議員が日頃から市民のなかを歩き、自身が見つけた課題や、広く共有すべきテーマについて執行部に質問できる唯一の場です。議員一人一人に平等に与えられた時間のなかで、市民の代表という立場からしっかりと議論を交わし、よりよい下関市にしていくための大切な場です。その時間を議会自らの手で削ること自体、議員の口を封じることに等しいものです。

まず、一般質問時間削減の経緯についてですが、下関市議会では昨年6月に議員定数を見直すための下関市議員定数等調査特別委員会が立ち上げられ、①議員の定数、②報酬、政務活動費、③議会改革について協議されてきました。この委員会自体が会派からの代表で構成されており無所属議員は参加できないものです。特別委員会は1年間かけて協議をおこない、議員定数については「削減すべき」でありその削減数は2議席とする結果にいたっています。そして、この特別委員会のなかの「議会改革」の一つとして出てきたのが一般質問の時間削減です。削減理由は「議会事務局や執行部の負担軽減」で、一般質問が60分あることで終了時間が就業時間をこえることもあるため、職員の負担軽減の観点から削減をおこなうとのことです。そもそも就業時間をこえること事態がそれほどあったかとも思いますが、職員の負担軽減というのであれば、一日あたりの質問者の数を減らすなど他の方法もあったのではないでしょうか。

先にも述べたとおり、議会は多様な市民の意見を言論によって反映させる場です。それを削ることは市民の不利益になると考えます。私は定例会では毎回一般質問をおこないますが、一度に2つの問題をとりあげようとした場合、それぞれの問題を掘り下げて質問に挑めば30分では正直短いです。目の前に起きている問題は1つでも、その背景に複合的な原因があり、それらが解決されなければ目の前の問題も解決しない。執行部とやりとりをしながら深めていけば60分などあっという間です。現場に足を運ばない議員や、数字だけ確認したり、執行部のいうことを全て「わかりました」と聞き入れている議員にはわからないと思います。質問時間を50分にすることで一日あたり一時間の短縮になるといわれてますが、それだけ市民の抱える問題や深い思いについてぶつける場が失われてしまうということです。一般質問の時間削減は議員にとっては自殺行為であり、市民の代表としてとても賛同できるものではありません。

しかしながら、一般質問の時間を削減することに対しては無所属議員はなにも意見をいえないのが実態です。特別委員会に加われないこともあるのですが、そもそも議会の運営の根幹である議運にも無所属議員は参加できないのが下関市議会です。そのことについて、昨年山下隆夫議員と濵岡歳生議員と本池の3名の連名で亀田議長に対して要望書を提出しました。大会派に属するか否かによって生じる格差についての是正を求めるものです。議長はその要望書を特別委員会に回し、特別委員会は会派要件については議員定数が決まってからということになりましたが、無所属議員が議運に出席できないことは是正すべきだとの意見も出ており、検討課題となっているところです。一般質問の時間及び議員定数を決定する前に、無所属議員が議運へ参加できる体制を考えることが先ではないでしょうか。

しかし、現体制のまま次々と決まっていくので、少なくとも一人の議員として意見をきちんといっておきたいと思い、4月26日に議会事務局に連絡し、一般質問時間の削減に対しての意見があることをどのように伝えればよいのかを相談してみました。そのさい、意見書や要望書を出すことで議運等で取り扱われる可能性もあることから、それがよいのではないかと教えていただき、すぐに議長あてに意見書を作成しました。するとその直後に事務局から、28日に議長・副議長・議会運営委員会委員長に相談してみるのでその結果が出るまで提出は待ってくれと連絡がありました。そして28日の夕方に議長との協議結果として、5月6日の議会運営員会で委員外議員として意見をいわないかという連絡がありました。そのため書面の提出は一旦置いて、意見を述べる準備をしていましたが、6日の議運では委員外議員としての発言は認めないことを委員会として決しました。無所属議員の発言を認めるべきだと発言したのは一人だけでした。濵﨑議員は「意見を聞くことに関してはやぶさかではないが、議運、常任委員会、本会議の仕組みを考えると自分で会派をつくって、会派から議運へ送り出す努力をするべき」とのべ、他の議員もそれに賛同するかたちで委員外議員としての出席は許可されませんでした。

少なくとも4月26日の時点で議長宛ての意見書は準備できており、議長に提出しておけば無所属議員の意見としてとり扱われていた可能性もあるものです。それには待ったをかけておいて委員外議員としての発言も認めないということは、初めからそのようにことを運ぶつもりだったかとも受けとれるもので、非常に憤りを感じます。発言することが許されなかったので用意していた意見書を提出してきましたが、結果として協議の過程で無所属議員の意見はなにも扱われることはなく、一般質問の時間削減が決まりました。質問時間削減がどのようなことを意味するのかという議会の本質としての議論もないうえに、無所属の意見は聞く必要がない。これが今の下関市議会の姿です。

また、会派に属するか否かで生じる格差の是正を求めているのに、会派をつくってから議運で発言するべきだとの指摘も的外れなように感じます。選挙で選ばれた議員は平等なはずです。みなが平等な立場でに意見を言いあい、市民のために切磋琢磨する。そのような議会の仕組みに変えていけるよう、一人であってもしっかりと意見を言っていきたいと思います。

議員定数について

下関市議会では現在、議員の定数について話し合いがおこなわれています。

昨年から下関市議会議員定数等調査特別委員会が開催され、議員定数等について広く市民の意見を求めるために、市民アンケートが無作為の市民1000人に対しておこなわれたり、自治会やまちづくり協議会などの団体にも意見を求めてきました。

アンケート結果はホームページで公表されていますが、市民アンケートの結果では、市民の生活や感情と乖離した市議会の実態を市民から鋭く指摘されるものとなり、「議会が市民の役にたっていない」「ただいるだけの議員ならいらない」と感じていることがわかり、同時に定数を減らしたほうがいいといった意見が多くなっているように思います。

定数についてはもうすぐ結果が出ますが、問題だと思うのは、定数や報酬についての議論がされていることを知らない市民のほうが圧倒的に多いことです。定数や報酬の増減については、市民自身が「市民の代表の議会とはどうあるべきなのか」というところから考え、下関市の課題と結びつけて考えなければならない問題だと思うからです。特別委員会は12月に青森に視察に行っていますが、その前に下関市民のなかでこのことが議論されるべきではないでしょうか。ただ減らしただけで今の議会が飛躍的によくなるとは思う人はいないでしょうし、私はむしろ議員報酬のほうを削減するべきではないかと考えています。

市民のみなさんはどのように考えられているでしょうか。ぜひご意見をお聞かせください。

【ご報告】6月議会で一般質問をおこないました。

6月30日に6月議会が終わりました。25日に一般質問をおこない、混乱し日てきた下関市のワクチン接種について質問をしました。以下、質問と答弁の要旨をご紹介します。少し長いですが、ご覧いただけますと幸いです。ワクチン接種について声を寄せていただいたみなさま、傍聴していただいたみなさま、ありがとうございました。

本池 新型コロナワクチン接種業務について質問する。下関市のワクチン接種体制を見ると、県内他市と比べあまりにも混乱をきたしており、多くの市民のみなさんから「下関はどうなっているのか」と怒りの声が寄せられている。「災害時に命を守ってもらえる自治体ではない」というお叱りの声もいただいた。これから64歳以下の接種も続く。これまでの教訓を踏まえて今後のとりくみを進めていかなければならない。下関市のワクチン接種の進捗状況だが、65歳以上の高齢者で、1回目の接種を終えた人の人数と接種率、2回目の接種を終えた人の人数と接種率を示してほしい。

九十九保健部長 6月25日朝9時現在の情報だが、1回目を終えた人が3万7479人、2回目を終えた人が4392人、接種率は1回目が39・1%、2回目が4・6%となっている。

本池 6月に入って医療機関での接種も始まり、少しずつ進み始めたところかと思う。予約の方も6月21日現在で、65歳以上の高齢者約9万5000人のうち7万3836人が1回目の接種または予約を終えているとのことで、残りは約2万1000人ほどになると思う。6月に入って集団接種会場が増設されて予約枠が広がり、予約をめぐる混乱も少し解消されてきたと推察される。一方、個別接種の場合、8月以降に接種を予定している高齢者の方が大勢おられる。そうした人たちが医療機関で安心して受けることができた方がいいとも思うが、市が「7月末までに希望する高齢者の接種が完了する」とくり返しいわれることに不安を感じる医療機関や市民の方もおられる。市がいわれる「7月末までに希望する高齢者の接種が完了する」の真意を今一度お願いする。

九十九保健部長 あくまで7月末までに希望される場合に、その方をしっかり打つように体制を整備しているが、ご自身の判断でそれ以降に打つ人もいると思うので、7月末までに打ちたいという人が打てる体制を整備するのが行政の役割だと思っている。

繋がらないコールセンターの運営について

本池 次にコールセンター等の運営について質問する。この1カ月半、混乱をきたしていたのは高齢者の優先接種だ。混乱の主な内容は「コールセンターに電話がつながらない」「医療機関でも予約ができない」ということ、集団接種会場が遠すぎることだったと思う。まずコールセンターの運営についてお聞きする。

5月10日に集団接種の予約受付が始まり、月曜日ごとに6回の受付日があった。6月15日、16日からは県の広域接種とボートレース下関での予約が加わり、21日に7回目の月曜日を迎えたところだ。15日以降は予約枠が広がったため、インターネット予約が可能になったものの、それまで電話・インターネットのいずれも、予約がとれる方が奇跡的といわれるような状況が続いてきた。65歳以上の方は、電話で予約される方が圧倒的に多いのが実際だ。しかし、「電話がまったくつながらない」と、みなさん本当に苦労しておられ、それは直近の6月21日の予約日も同様だった。

とくに14日の週までは、毎週月曜日は買い物にも病院にもいかず一日中電話をかけ続けているといったお話や、子どもさんが親のWeb予約のために仕事を休んだお話、携帯ショップに機種変更をしに行かれたお話、予約開始初日に2時間足らずで受付が終了したことを知らず午後5時まで電話をかけ続けたお話、5月の電話代が高額な請求が来たというお話、あまりにも予約ができないため接種をあきらめたというお話等々……あげればきりがない。このたび下関市はワクチン接種のためのさまざまな業務を業務委託されている。委員会でコールセンター業務の委託先は、凸版印刷とJTBのJV(共同企業体)と聞いたが、それぞれどんな内容をどこに、いくらで契約したのか、わかりやすく示してほしい。

九十九保健部長 令和2年度に凸版印刷・JTB共同企業体に対して委託した内容だが、高齢者用の接種券の印刷業務とコールセンターの設置・運営に関する業務で、金額は接種券の印刷が894万9976円、コールセンターの設置・運営に関する業務が3314万7773円。令和3年度に凸版印刷・JTB共同企業体に委託した内容は、今後状況により内容が変更となる可能性もあるが、現時点のもので、高齢者以外の方の接種券の印刷業務、コールセンターの運営、予診票データの作成に関する業務と、集団接種会場の設置・運営に関する業務となる。金額は接種券の印刷が1490万2633円、コールセンターの運営、予診票データの作成に関する業務が2億8581万228円、集団接種会場の設置運営に関する業務が2億2318万6407円となっている。

本池 非常に高額な委託となっている。今回の接種にかかる費用は全額国の負担とはいえ税金だ。委託した業務が遂行されているのかはきちんと見なければならないし、接種予約がうまく機能せず、市民に大変な迷惑をかけてきた責任についてはっきりさせなければならない。電話がつながらない要因は電話の台数が少ないことだった。3月の接種券発送時点では17台で対応されていた。3月末に全高齢者のもとに届けられた接種券とチラシは、予約開始時期、接種時期などがなにもわからないものだったので、多くの方が問い合わせの電話をしており、この時点でも「電話がつながらない」という状況が発生した。このときコールセンター側の答えが「ワクチンがいつ届くかわからない」「いつから予約できるのかわからない」というものだったので、「なにも決まっていない」ということを聞くためだけに料金が発生することに、怒りの声が寄せられた。せめて、なにか説明できる状況でコールセンターを開設すべきだったと思うが、開設時期については市側が決めたのか。

九十九保健部長 市の方で判断した。

本池 つながらない状態でみなさんが電話して、時間だけかかって料金がとられるということに、料金をとるために電話を開設したのではないかという声も聞かれた。もう少し開設時期についても市が考えられてもよかったのではないか。ようやく集団接種の日程と予約開始の日が決まり、受付が5月10日から始まったが、電話の台数を3台増やして20台で対応されていたと聞いている。約8万8000人を対象にしたコールセンターとしては、圧倒的に不足していることは一目瞭然だが、17日の個別接種の予約開始でも電話の台数は増えず、6月1日に3台増やして23台になり、そのまま3回目の受付日をへて今日まで来ている。初めの「17台」は市が指定したとのことだが間違いないか。また、17台にした根拠を示してほしい。

九十九保健部長 人員は市の方で判断した。3月の状況では17名の状況で、あまり問い合わせも多くなかったが、4月に接種券が届いてからかなり問い合わせが増えてきた。3月の状況を踏まえて3名追加することとしたが、結果的には想定以上に問い合わせが多くなってしまった。問い合わせについてはもう少し厳しく見積もって人数を増やす必要があったかと思うが、結果的に見込みよりも多いコールがあったという状況だ。

本池 追加の台数「3台」についても市が決めたということだが、コールセンターに電話がつながらないため、保健部内の電話も鳴りっぱなし、保健部にもつながらないので市役所内のほかの課所室にも市民から電話がたくさん入っていたと聞いている。窓口に直接足を運ばれる市民も多くおられたし、こうした状況が発生しているなかで、「30台」ならまだしも「3台」で足りると思ったのはなぜなのかを知りたい。

九十九保健部長 コールセンターを立ち上げた3月の時点ではあまり問い合わせがなかった。接種券を配ることで問い合わせが増えるということで3台追加したが、結果的にそれよりも多い問い合わせが4月以降増えてきたということだ。

本池 接種券を発送された時点で電話がつながらない状況は私も何人もから聞いていたが、それが何日ほど続いたのか。3月の段階ではそこまでつながりにくい状況ではなかったと部長はいわれた。しかし私は市民からつながらなかったと聞いている。つながらない時期はあったが解消されたのか、もともと混雑していなかったのか。

九十九保健部長 手元に3月の詳しい状況がないが、私が聞いているのは3月に立ち上げた段階では問い合わせはあまりなく、当然接種券を配る段階になって問い合わせも増えてくると思う。なかなか委託先スペースの問題や人員の問題もあり、各自治体で同じようなことが起きているので、下関が例えば“思ったよりも多かったので10人増やしてくれ”といっても迅速に対応できるものではなかった。

本池 体制の増員について発注をかけたのはどの段階だったのか。

九十九保健部長 こちらは担当と先方の担当者が随時状況をやりとりしているので、そのなかで打診をしているものと認識しているが、なかなかすぐにはというふうな状況で回答が返ってきた。

本池 やりとりのなかで3台ずつになったということか。

九十九保健部長 先ほどの答弁と重なるが、3月の時点ではそれほど混雑をしていなかったが、3人増員というのは早い段階で、つまり、混みあう前から3台増やすことをお願いしていた。そのあと混雑がわかっても、先方としても増やすことが難しいという状況だったと認識している。

本池 6月21日の受付時点で予約できていない高齢者は約2万1000人だが、それでも電話につながらない状態だ。ましてや対象者が9万人近くいて、その半数が電話してくると考えても、20台では対応できないのは明らかだ。65歳以上をさらに年齢ごとに細かく区切るのであれば20台でも納得いくが、9万人の全対象者の受付を一斉にスタートさせ、まして下関の場合1週間ごとの予約受付にしたのであれば、それに対応する体制をとらなければならなかったと思う。保健部内で体制を大幅に増やしたほうがいいといった意見は出されたのか。

九十九保健部長 答える前に、先ほどのコールセンターの状況についての資料が来たので答える。3月、4月の状況だが、コールセンターの応答率が、3月20日まではおおむね100%で応答していたという状況だ。ご指摘の3月30日、31日あたりは応答率を見ると、30日が76%、31日が57%となっている。4月の時点ではおおむね9割ぐらいが応答できていて、実際に予約が始まった段階からが一番つながらなくなったと認識している。

実際に予約が始まって、かなり電話がつながりにくくなった状況が発生したことについて、事前にもう少し大量に人を増やすべきだというのは私自身なかなかそこまで見込めていなかったところもある。振り返ってみればそこは改善ができたのかなと考えている。

本池 5月10日からの月曜日ごとの応答率を教えてほしい。

九十九保健部長 入電応答率は5月10日が10・1%、17日が11・9%、24日が13・7%、31日が2・0%、6月7日が3・4%、14日が4・3%、21日が5・1%と推移している。月曜日が一番集中する状況だが、例えば直近の6月22日が12%、23日が23・6%、24日が63・3%とかなり曜日によって応答率の差がある状況だ。

本池 とくに5月がほぼとれていない状況だ。これはコールセンターにつながったうえで対応できた数であり、NTTの段階で「込みあっております」ではじき出された数は反映していないと思うが。

九十九保健部長 ご指摘のとおり、NTTの制限にかからなかった数と認識している。

本池 ということはもっとたくさんの市民が電話がつながらない状況だった可能性が高い。これほど電話がつながっていない状況を市が認識されたのはいつごろなのか。

九十九保健部長 このような数字は毎日モニタリングしているので、そういった意味では、モニタリングしながら対応をとってきたが、実際に一気につながらなくなってから人員を増やすように検討をしてきたが、なかなか直ちには増員ができなかったという状況だ。

本池 県内の自治体も当初は下関市と同じような混乱が起きているが、周南市のようにオペレーターを倍増させたような自治体もある。業者との関係はよくわかったが、市民がこれでは混乱する、この混乱をどうするのか、という検討があまりにも遅すぎたのではないか。予約すらとれない状況で「安心してくれ」というのはあまりにも無責任といわざるをえない。

少なすぎる集団接種会場について

本池 次に、集団接種会場についてだが、下関市は当初、集団接種会場が下関市体育館の1カ所しか設置されていなかった。旧四町の場合、かりに予約できても1時間以上かけて来なければならない地域もある。対象は高齢者なので、運転免許を返納して移動手段のない人も多くおられる。旧下関市内ですら足が悪くて体育館まで行けないという高齢者はたくさんおられるが、どのように考えて1カ所にしたのか。

九十九保健部長 基本的に身近なところで接種していただくのが、ご高齢の方の利便性を考えるとよろしいかと思う。現時点で接種できる個別の医療機関が市内に150あるなかで、集団接種会場を分散して設置するという考え方と一つ置く考え方があるが、下関はご高齢の方の人数が他市に比べてすごく多いので、効率よくどんどん打っていかなければならない。集団接種会場は下関の場合は土日だけではなく常設で、規模としては大きな会場になる。それを1回1回場所を移動すると設置・撤去に丸1日かかってしまい効率性が落ちるということで、本市の考え方として、撤去・設置の時間もかからず効率よく迅速に打っていけるというメリットを勘案して集約型の集合接種会場とした。

本池 常設を考えられたということだが、例えば旧郡部や離島などは大規模なものはいらず、公民館などでもできる人数だ。医療機関も公表されているのは39で、今は150までになっている。これが公表されていないから混乱してしまったわけで、個人個人の責任で問い合わせるよりも、常設ではなく1日で終わる人数のところもあるし、例えば離島などでは集団接種を考えられてもよかったのではないか。

先日、高齢者の優先接種についての予約状況をのべられたさい、集団接種が約1万5000人、個別接種が約5万1000人という数字を公表された。この割合でいくと基本的には医療機関での個別接種で実施し、集団接種は補助的なものという位置づけに思えたが、これは当初から想定されていた割合なのか。

九十九保健部長 あくまで個別医療機関で接種していただくというのは協力ベースのものだ。コロナの業務が加わっているなかにワクチン接種業務が加わることで非常に医療現場は戦々恐々としていたのが事実だ。実際150の医療機関に賛同いただいたが、そこに電話が殺到して、通常の診療が厳しいという切実な声が届いた。市民のみなさまにとってすべての情報を公表できることが利便性がいいというのは私もよくわかるが、私も1年半医療現場と一緒にやってきて、そういう声もなかなか無視することはできなかったので、現在こういった状況になっている。不便をおかけしているが、ご理解いただきたい。

本池 市としては大規模な集団接種会場を1カ所しか設置しなかったということは、個別接種をメインにやっていくつもりだったのか? ということを聞いている。

九十九保健部長 個別の医療機関がどの程度参加されるのかということ自体はアンケート等で把握したが、医療機関自身もファイザーワクチンというものが、当初はかなり特殊な扱いをしなければならないものだった。報道のさいに廃棄するとそこがピックアップされるため、少しでも廃棄することを怖がっていた。そのなかで実際どこまで伸びるかという予想が立ちにくかった。結果的に5万人ほど打っていただくようになった要因は、ワクチンの扱いが緩和されたこと、接種に慣れてきたこと、あとは国の措置で接種を促進させるような補助が出たことも影響したかと思う。

本池 結果的にこういう数字にはなったけれども、そこには大変な医療機関のご協力があるということだ。そして医療機関だが、医療機関の一覧を載せたチラシが配布されたが、掲載されているのは当初、137医療機関のうち39カ所だった。さらに電話番号が記載されているのは25カ所だ。市民はこの25カ所に17日の前から電話をされているし、通常診療ができないという状況にまでなっていた。このチラシ自体は、職員の方がゴールデンウィークを返上してつくってくださったとお聞きしているが、39医療機関の位置付けはどのようなものだったのか。

九十九保健部長 医療機関の公表に関しては、ワクチンの接種に関する説明会を市内の医療機関を集めておこなった。とくに医療機関にとっての懸念としては公表することによって問い合わせが殺到して診療に影響を及ぼすことについても説明し、公表して大丈夫だというところが掲載している。

本池 掲載した医療機関のなかには、かかりつけの患者だけに打つという認識でチラシに掲載したところが多かったようで、市民からの電話が殺到して病院側も困惑されていた。説明会で説明されたということだが、そのあたりの連携がどうなっていたのかとも思うが、結局それによって職員の方が苦労してつくられたチラシが数日で意味をなさないものになってしまった。そのあたりの綿密な連携が必要だったのではないか。集団接種も個別接種も目詰まりした状態が1カ月以上放置されてきて、6月8日にコールセンターの増設、同14日にボートレース下関に集団接種会場を設置することが発表された。それに加え、旧四町の医療機関の予約枠拡大、菊川・豊北の住民を対象にしたバスの運行も発表された。その直前まで「集団接種会場の増設は考えていない」とおっしゃっていたかと思うが、急きょ増設の方向に方針転換された理由は何だったのか。

九十九保健部長 増設はしない予定というふうに答弁したような記憶はないが、会場に行かれたらわかると思うが、かなり大規模な医療スタッフ、委託をしているJTBのスタッフも入っている。常設というのは言葉では簡単だが、気軽にもう一つ増やすということをいえる状況ではなかった。医療機関にくり返しワクチンの接種速度を加速させる必要性を説明し、ご協力いただける医療機関が増え、目途がたったので、今回そういった方針をうち出すことができた。

本池 県の接種スケジュールも発表され、一気に流れが変わり、6月15日、16日の県の広域接種(海峡メッセ会場)とボートレース場での予約開始日には、インターネット予約に限り「予約できた」という声をいただいている。体制強化がなされたこと自体は大変喜ばしいが、逆に今できるのであれば、なぜこれまで動かなかったのかとも思う。5月10日の予約受付前から、もっといえば接種券の発送直後から、電話の体制の脆弱さについては露呈していたはずだ。

しかしなにも体制をとられないまま受付開始を迎え、そのことによる混乱はみなさんご承知の通りだ。しかしその後も状況は改善されず、1カ月半脆弱な体制のまま走り続けてきたというのが下関の現状だ。なぜそのような事態になってしまったのかというのは市民の大変な関心事だが、初動の遅れが起きた原因はどこにあるのか、初動の遅れはなかったとお考えなのであれば、その認識も含めて聞かせてほしい。

九十九保健部長 当初、医療従事者の優先接種が始まった時期があったが、3月中に医療従事者をすべて終わらせると医師会も含めて総出で体制を組んでいた時期があり、本市は医療従事者の接種をおそらく全国でもかなり早い段階で集合接種会場で実施したところでもあるが、そんななかでワクチンが実際に来なかった。想定よりもほんとうにわずかしか来ず現場が大混乱をきたしたという経緯があった。そういったことも踏まえ、ワクチンについては慎重に、ワクチンが来ることがわかってから体制を組もうということになり、医師会とも協議して6月7日から慎重に始めようということになった。結果的にその後7月末までの方針が示されるなどして、その後で国全体の命題になってきたので加速しなければならないという機運も高まってきてそれに対応してきた。

前田市長の見解は?

本池 6月3日現在の山口県内13市のワクチン接種の進捗状況の表を見ていただきたいが、ご覧のとおり、予約率、接種率において下関市は県内他市よりも非常に遅れをとっていることがわかる【表参照】。その後、先ほどからのべているとおり突然次々に加速化対策がうち出され、現在の状況はこのときよりも変わっているが、今も県内で遅れている事実は変わらない。

国のワクチン供給がなかなかはっきりせず、先ほどいわれたように医療従事者のときは来なかったり、遅れた挙げ句に「7月中に高齢者の接種を終える」と発言したり、地方自治体を追い立ててきたことについては国の責任だと思う。ただ、その条件は県内他市も同じだ。少なくとも、ワクチン供給が確実になった時点で、一気に進めることができるよう、十分な予約・接種体制が組まれなければならなかったと思う。国からの連絡を待っているあいだに、近隣自治体は地域の実情に即して能動的に体制を組んでいたことがこの進行状況の差となってあらわれているのではないか。先ほど高齢者が多いといわれたが、高齢者が多い分、医療人材や職員数も多く、そうした人たちをいかに束ねて事業を進めるか、そのリーダーシップが問われたのがワクチン接種だったように思う。

全国的にも、市民の混乱を目の当たりにして急遽予約方法を変更するなどし、全国で注目を集めた自治体もあった。岐阜県美濃市では、当初、下関市と同じようにインターネットと電話での予約を進めていた。しかし市民が混乱するとの見通しから急遽予約方法を変更し、地域ごとの日時指定方式に変更されたそうだ。そのさい再度65歳以上の全対象者に変更についてお詫びの手紙と日時指定のチラシ、それに送迎バスの時刻表を郵送している。「これでは市民が困る」と判断したときに速やかに変更し対応できる、変更によりいくらかの混乱はあると思うが、すでに生じている混乱をいつまでも長引かせるよりは、変更して分かりやすくする方がいい。市民が困ると分かった段階での速やかな変更が必要だが、それができなかったのはなぜなのかと考えると、そうしたことを考える人的・時間的余裕もなかったのではないか。質問だが、新型コロナ感染症への対応はどのような体制で何人でやっておられ、そのうちワクチン接種対応班は何人でやっておられるのか。

九十九保健部長 新型コロナウイルス感染症対策推進室全体の145名に対し、ワクチン接種対応班は班長以下24名で組織され保健部の職員が12名、保健部以外の職員が10名、会計年度任用職員が2名となっている。

本池 ワクチン接種だけで見ても、個別接種をする医療機関との連絡も、場合によってはご無理をいわなければならない場面も多いなかで相当な苦労があると思うし、集団接種の会場運営は大変な作業だと思う。これに加え市民からの電話にも対応しなければならないと思うが、どのような業務を何人ずつでやられているのか。

九十九保健部長 「総務広報グループ」が周知や広報に関すること、コールセンター及び予約システムに関すること、接種券送付や再発行に関することなどで6名。「専門対応グループ」が、集団接種会場の医療体制や医療専門職の確保に関することなどで7名。「接種対応グループ」が集団接種会場の運営や設置に関すること、ワクチンの要求や配送に関することなどで6名。「被接種者グループ」が高齢者施設の入所者及び従事者の接種の調整に関することなどで3名。その他に班長1名と専門対応グループと兼務の副班長が1名、その他1名を置いている。

本池 コールセンターがつながらないために市民から電話が殺到しており、日中は本来の業務に手がつかない時期が長期にわたってあったことは容易に想像できる。苦情対応で手いっぱいではワクチン接種受付の変更などできるわけがない。その合間に数人で業務をしていれば職員のみなさんは疲弊してしまう。ワクチン接種対応班24人にすべてを任せるのではなく、初めから全庁的にかかわるべきではなかったのか。先日関係部局の連絡会議が立ち上がったと保健部長がいわれたが、初めから、もしくは「これでは進まない」と判断した段階で、下関市として蓄積してきたノウハウを生かすべく、そうした組織を立ち上げ、ワクチン接種関連の事務にあたるべきではなかったかと思うが、その点についてどう考えているか。

九十九保健部長 各部局から多くの人員をワクチン接種対応にいただきながら業務を進めてきたが、少しフェーズが変わってきて、職域接種が始まるとか、64歳以下の接種になるとさまざまな接種のやり方がなされるようになり、優先順位の考え方を自治体独自に考えていく必要性が出てきた。庁内の連絡会議を立ち上げたほうがいいというフェーズになりその時点で立ち上げた。

本池 全庁的というのは人を集めるだけでなく、各部署が持つノウハウや把握している地域の実情などが集約されるような組織でなければならなかったと思う。今、手元にあるのは、豊北町の方からいただいた「令和三年度市・県民税申告相談日程」と「投票所無料運行バスの運行表」のチラシだ。こうしたものからもわかるように、例えば巡回型の集団接種会場の設置や、それが無理なら接種会場までの移動手段を用意するなど、市役所として市民を動員するノウハウを持っている。

今回、下関市がつくったワクチン接種予約体制があまりにも脆弱であったため、コミュニティの強いところでは医療機関と住民が直接連携をとり、独自に接種の体制を整えている。その典型が蓋井島や角島だが、蓋井では市内の医療機関が島に来られ小学校を会場にして希望者全員の接種をおこなったと聞いているし、角島では診療所と振興協議会が連携し、自治会長が自力で接種に行くことが困難な高齢者を募りリストを作成し、診療所が接種体制を組み、6月14日から順次接種が進んでいる。こうした地域では「接種ができる環境さえ整えてくれれば、そこへの動員は地元でいくらでもできる」といわれており、住民一人一人の情報を一番よくわかっている地元のみなさんの英知を集めれば、一人一人が自己責任で予約をとるよりもはるかに効率的なことが明らかになっている。医療機関とのやりとりは保健部でなければできないかもしれないが、旧四町の接種体制については総合支所で知恵を借りるなどしておけば、まだ違った対応ができていたのではないか。

「保健部は頑張っている」「大変だ」という言葉をよく聞く。頑張っていないとはだれもいっていないし、中核市の下関市は陽性者の対応なども独自にされているので、日夜奮闘されている職員のみなさんには本当に感謝しているところだ。しかし、いくら頑張っても結果的に市民が大混乱に陥り、ストレスをためている現実には向きあわなければならない。「頑張っているから文句をいわないでほしい」と耳をふさいでいたのでは、ますます混乱に拍車をかけてしまう。災害対応ともかかわるが、現実を把握し問題があれば実態に即して変化させることが必要だ。保健部に任せきり、職員のみなさんが体を壊すまで負担させるのではなく、市長が統率して市民が安心できる体制を整えなければならなかったと思う。これほど混乱が長引いたことについて、市長はどのようにお考えか。教訓とされたこともあるかと思うので見解をお願いする。

前田市長 本池議員がこの質問の冒頭から、市民のこれまでの混乱、大変苦しんだ声、さまざま聞かせていただいたが、私の方にも早くから当然届いているし、それを解決するためにこれまで全庁挙げて努力してきた。結果的にはいわれるように、大変遅れと混乱をきたす結果になった。それは大変申し訳なく思っているし、今回すべての責任は責任者である私にあると、そしてその厳しい批判もすべて、甘んじて受けなくてはいけないという気持ちでいる。そしてただ謝るだけではなくて、この先まだまだワクチン体制が続くわけだから、今回の教訓を生かして巻き返していかなくてはいけないと、県内どこよりも早く、要求する全市民に接種ができるようしっかりと統率していきたいと思う。

そのなかで少しお話したいが、九十九部長が自分の言葉で話されたが、今回のワクチン接種体制は市役所だけではできないということだ。さまざまな人の力を借りながら、うまく組み上げて対応していくということになる。ちらっと出たが、なぜ下関が接種のスタートが遅れたかというのは、さかのぼること2月、3月に医療従事者の先行接種のときに、ものすごくいい体制で医師会と組んでスタートを切った。しかしここにワクチンが届かなかった。大空振りしてしまって大混乱。私も選挙の真っただ中に知事と電話でやりとりしたくらい。そういう過去があって、みなさんちょっと萎縮してしまったことがある。ワクチンが確実に届いてから一歩一歩やっていこうという慎重な考え方が基本になってしまったところがある。

それを医師会のみなさんに、いやいや巻き返してくださいということもなかなかできず。というのが、下関は中核市であるがゆえにコロナの感染対策をしながらワクチンをやっていかなくてはいけないという、非常に厳しい、もう連日戦場ですよ。みなさん満身創痍の状態。それは医師会もそうだ。発熱外来もずっとお願いしてきているし、ホテル療養の方も人が足りない。あまり県に頼ることもできないからということで、自分たちで全部やってきて、それを同時並行でやっていくなかで、ものすごく支障がいろんなところに出た。電話がつながらないのもわかっていた。30回線増やしてくれ、40回線にしようって、ずっといっていくけど、なかなか向こうの会社さんも一気には増やせない。お金積めばいいって問題じゃなくて。そういったことでいろいろ理由はあるが、すべて結果的に私の責任だと、申し訳ないと思っているし、すごいメールも届いている。読むのがつらいが。それは私の仕事だと思っている。しっかりとみなさんの心を整えながら、市民のためにやっていくことだろうと思っている。引き続きどうぞご理解よろしくお願いいたします。

本池 保健部は感染対応もしながらやらなければいけないというのは本当に大変だったと思う。だからなおさら全庁的にノウハウを生かしてやる方法をやっていただきたい。今月5日に市長はワクチン接種をされているが、それが悪いとはいわない。ただ、やることをやっているリーダーとそうでないリーダーとでは市民の受け止めはまったく違ってくるし、後者の場合は批判が高まるのは当然だ。6月半ばより事態が改善されたことは大変評価するが、このたびのワクチン接種をめぐる混乱を痛い教訓にして今後の市政運営をおこなっていただきたいと要望し、質問を終える。