新学校給食センターに関する動画が配信されています。

来年4月から稼働する予定の民設民営方式の新学校給食センターについて、下関市教育委員会が説明動画をつくり、7月31日から配信しています。市民のみなさまもぜひご覧になっていただければと思います。(下の動画は下関市のホームページから)

新センターの稼働に関しては、まだ不確定な点が多くあり、保護者や現場の方々から不安視されているのも事実です。この動画でそれらが解消されるのかも不明ですし、そもそもこの動画をもって関係者への「説明」となるのか疑問に思います。

アレルギー対応に関してこれで安心できるのか、栄養教諭の配置が未確定ななかで具体的に学校での受け取り体制がどうなるのか、そうした視点からも見ていただき、保護者、関係者はもちろん、市民のみなさまのご意見をお寄せいただければ幸いです。

なお私としては、保護者の声を直に聞き、それらに応える責任が、民設民営のセンターを決めた教育委員会にあると思っています。したがって、学校単位での説明は引き続き求めていくつもりです。

南部学校給食共同調理場

 

【視察報告】「住みたい田舎ランキング」1位の今治市に経済委員会の視察で行ってきました。

7月3~5日の日程で、経済委員会の視察で愛媛県今治市と愛知県常滑市に行ってきました。大雨の時期と重なったこともあって大変遅くなりましたが、今回、「住みたい田舎」ベストランキング1位(宝島社『田舎暮らしの本』2023年度版)にもなっている今治市の視察内容を報告します。

今治市の視察のテーマは、「今治市の食と農のまちづくり~地産地消と食育のすすめ~」です。数年前から委員会視察で今治市を希望しており、その理由は今治市が学校給食を中心にした地産地消のとりくみの先進地で全国的注目を集めているからです。下関市では現在、学校給食調理場の老朽化にともない、22校を集約した民設民営型の大型センターの建設が進んでいますが、今治市は真逆で、大型センターから自校式の単独調理場や親子方式の小規模調理場への転換を進めてきた経緯と実績があります。なぜそうなったのか、学校給食を中心にした地産地消の推進がもたらした効果はどうなのか、課題をどのようにクリアしてきたのか。これらのことを知り、下関市の行政に反映できればと思いながら視察に向かいました。

食と農のまちづくり全国に先駆けた取組

今治市では市役所で農林水産課と学校給食課の職員の方々から説明を受けました。

今治市は全国に先駆けて30年以上前から食と農のまちづくりのとりくみをおこなってこられました。その始まりは1982(昭和57)年1月の市長選挙で、老朽化した給食センターをどうするのか、ということが争点になったことに始まります。大型の給食センターの建て替えをかかげる現職と、自校式調理場を推進する新人候補が立候補し、新人候補が当選しました。それから、新市長を支持した今治立花農協の方々が、「自分たちがつくった安全な食べ物を子や孫に食べさせたい」と、学校給食に地場産野菜や有機農産物を導入するよう求める陳情を提出されました。

その後、徐々に自校式調理場への転換が進むなか、1988(昭和63)年3月には、今治市議会が「食糧の安全性と安定供給体勢を確立する都市宣言」を決議します。宣言には、輸入食料に含まれる残留農薬や化学肥料の使用等への懸念から、「市民の健康を守る食生活の実践を強力に推し進める」ことが明記されています。

この宣言を受け、1999(平成11)年からは学校給食米を今治産の特別栽培米(農薬・化学肥料を50%以上削減)に切り替えたり、2001(平成13)年9月には地元産パン用小麦を使ったパン給食を開始。さらに翌2002(平成14)年には学校給食用豆腐の原料大豆の今治産への切り替えが始まります。

2005(平成17)年には12市町村が合併し新たな今治市となりますが、新市議会において「食料の安全性と安定供給体制を確立する都市宣言」【写真】が決議され、2006(平成18)年には「今治市食と農のまちづくり条例」が制定されます。この条例が今治市の食と農のとりくみの根拠となっており、時代の変化等あるなかで現在も食と農のまちづくりがおこなわれています。

「今治市の食と農のまちづくりのとりくみは、約40年前の消費者運動や農民運動などの市民活動に端を発しており、行政主導ではなく市民のとりくみとして発展してきました」「市民の活動が発展し、議会と連動し、それが流れとなって今に至っています」と、誇りを持って語られる職員さんの姿勢にも大変感銘を受けました。

条例の3本柱 有機農業の推進が特徴

今治市食と農のまちづくり条例の3本柱は「地産地消の推進」「食育の推進」「有機農業の振興」です。食と農に関するまちづくりのビジョンを明確にし、市の責務や、市民、生産者、食品関連従事者の役割を明確化し、具体的なとりくみがおこなわれる根拠となっています。

なかでもこの条例の大きな特徴としては、有機農業の推進と有機農産物の消費拡大を明確に位置付けていることで、「有機農業の推進」の障害となる遺伝子組み換え作物の栽培を事実上規制していることです。

学校給食センターから自校式へ

この3本柱の中心にあるのが学校給食です。先述したとおり24小中学校(2万1000食)分を提供していた大型センターから分離し、現在は21の調理場(自校式や親子方式などの小規模共同調理場)で1万3000食を供給しています。

食材についても地産地消を推進し、単独調理場への切り替えを契機に地元産農産物を優先的に使用するようにしてこられました。現在は今治市産の野菜の使用が約50%(重量ベース)を占めており、遺伝子組み換えとわかる食材の使用はおこなっていません。また立花地区の3つの小学校(鳥生小学校、立花小学校、吹揚小学校)には、有機農産物の導入がおこなわれています。有機農産物の使用の割合は令和3年で36・7%。現在は島しょ部でも、自然農法・有機農法で農業をやりたいという移住者の方々が増えており、こうした方々が生産された野菜等を使った「給食の日」もおこなっています。

給食の食材 コメも小麦も地元産

また市内の小中学校すべてで農薬・化学肥料を50%以上削減した今治産の「特別栽培米」がほぼ100%導入されており、「搗(つ)きたて」「炊きたて」で提供しています。ここで気になるのは価格です。特別栽培米はどうしても通常のお米より高くなってしまいますが、給食食材への導入については差額を公費で補填しています。令和5年度の予算は590万円です。 続きを読む

学校給食新調理場の説明会がおこなわれています。

下関市教育委員会が新学校給食共同調理場についての保護者説明会をおこなっています。日程は、19日(金)、21日(日)18時45分~彦島公民館、24日(水)18時45分~勝山公民館、27日(土)10時~勝山公民館です。

下関市では南部学校給食共同調理場(彦島)の老朽化にともなう建て替えがおこなわれる予定で、南部調理場の受配校(9校)だけでなく市内中心部をはじめとした自校式の学校も含め、23校約8000食の給食をつくる大規模な調理場を民設民営方式で建設・運営していくことが決まっています。対象校のうち、現在給食室で給食をつくっている学校では給食室がなくなり、センターから運ばれてくるようになります。単に「老朽化した施設の建替え」という問題にとどまらず、民間業者に運営をまかせていくことや、栄養教諭が配置されないこと、アレルギーや食材のことなど、不安や疑問の声を頂いています。

このたび初めてとなる説明会ですが、場所が校区外の公民館であることなどから参加しにくいとの声を頂いています。実際、21日の彦島公民館での説明会に行ってみましたが、保護者の参加は数人でした。19日も数人だったそうです。

これをもって「説明会をした」というのもおかしな話ですし、本来なら一校ずつ、もしくはせめて近隣の公民館などで丁寧にしなければならないものです。教育委員会は内容が固まった段階で学校ごとに説明をするといっていますが、保護者や関係者からの直接の意見を聞かないままどんどん内容が決まっていくことになります。現段階で保護者の方にはぜひ内容を知っていただき、子どもたちの給食のあり方についてのご意見・ご要望を出していただきたく思います。

お忙しいなかではありますが、ご都合のつく方はぜひ参加されてみてください。

残る日程は、明日24日(水)18時45分~、27日(土)10時~、両日とも勝山公民館です。