立地適正化計画(案)のパブリックコメントについて。

本庁と支所に設置してある計画案とパブリックコメント書面提出箱

下関市は10月1日~31日まで立地適正化計画(案)のパブリックコメントをおこなっています。

立地適正化計画は2014年8月に改正・施行された都市再生特別措置法により創設された制度で、国が主導して全国で策定が進められているものです。

都市計画法を中心とした従来の土地利用計画に加え、居住機能や都市機能(商業・医療等)を行政が誘導することで、街の形成や人の流れをつくり、集約型都市構造(コンパクトシティ)に向けたとりくみを推進していくものです。

下関市の計画案では目標年次を20年後の2040年とし、「居住誘導区域」と「都市機能誘導区域」を設定しています。対象は、都市計画区域にあたる下関都市計画区域・下関北都市計画区域の二区域となっており、都市計画区域外である豊北町・豊田町はこの計画に含まれていません。

都市機能誘導区域には下関駅周辺と新下関駅周辺を、居住誘導区域には彦島、下関駅周辺、新下関駅周辺、長府、小月、川中、安岡、豊浦、菊川のそれぞれの拠点地域を定めています。誘導するための施策としては、都市機能誘導区域内への都市機能の移転誘導のさいには税制上の優遇策等を検討すること、新規創業の支援を図ることが明記され、居住誘導区域内への誘導も公営住宅の整備、住環境改善、区域外への開発許可制度の見直しなどが盛り込まれています。

立地適正化計画については、計画策定や計画に基づいたとりくみには国から補助金が降りる仕組みになっており、全国の地方自治体が次々に策定しています。

現在、市内あちこちの公共施設が廃止・集約となることが「公共施設等総合管理計画」で決まっていますが、「立地適正化計画」もこれとおなじく国が人口減少のなかでいかに効率的なサービスの提供をおこなっていくかを各自治体に決めさせるものです。財政難の自治体ほど従わざるをえず、人口の少ない農業・漁業地域はますます人が集まりにくく、暮らしにくい地域になっていくことにつながりかねないと思います。

人口減少や低所得化による税収の減少のなかで行財政も大きく変化し、住民サービスをどのように維持していくのかは全国共通問題になっていますが、それによって住民が置き去りにされたり、地域間の格差の拡大が生じることは、本来の行政の役割から見て見過ごすことはできない問題です。

このような市民みんなの暮らしにかかわる重大な問題ですが、現在パブリックコメントの募集がおこなわれていることは市民のみなさまにほとんど知られていません。ぜひみなさまには、自分の暮らしている地域が今後どうなっていこうとしているのか、市全体がどのようになっていくのか、目を通していただき、意見を寄せていただけたらと思います。

「立地適正化計画(案)」のパブリックコメントが閲覧できるのは、本庁仮庁舎の都市整備部都市計画課、豊浦・豊北・菊川・豊田の各総合支所、本庁管内の12支所、そして下関市ホームページです。設置期間は31日までですので、お早めにご覧ください。意見箱と用紙も置いてあります。

「下関市立地適正化計画(案)」について(下関市HP)

 

第1回 北浦街道まち歩き・お宝探し

9月26日、中東地区まちづくり協議会・地域づくり部会による「第1回北浦街道まち歩き」(唐戸地域)がありました。この日のために地域づくり部会のみなさまが長期間にわたって準備をしてこられ、当日は50名ほどが参加されました。

北浦街道とは、当時の赤間関と城下町・萩を結んだ街道で、幕末には明治維新の志士たちが行き来した場所です。下関は北前船の寄港地としてにぎわい、本州の端で九州との渡し場もあった唐戸地区にはその時代の遺跡や石碑が多く残っています。唐戸地区で育った私も初めて知ることばかりで大変驚きました。まち歩きで教えていただいたものをいくつか写真で紹介します。

1、亀山八幡宮にある世界一大きいふくの像。ここをスタートにまち歩きはおこなわれました。説明してくださっているのは観光ガイドの平松資朗さん。

2、お亀茶屋跡 伊藤博文の妻の梅子が茶子をしていた茶屋跡。刺客に追われていた伊藤博文をかくまったことが2人の出会いとなったそうです。梅子夫人は1924年に77歳でなくなっています。

3、大坂屋跡 現在の東京第一ホテルの建っている場所が下関のなかでもっとも大きく繁盛していた遊郭「大坂屋」があった場所。

4、東京第一ホテルの裏にある末廣稲荷神社。赤間関最古の神社でもあるこの神社は、今でこそ古くなっていますが、地元の方たちが手入れをしてくださっているそうです。神社の麓のかつての地名は「稲荷町」。西の大坂ともいわれていた下関がもっとも栄えていた時代の神社です。

ほかにも、床屋(とこや)発祥之地、堂崎の渡し場、林芙美子の碑などを見てまわりました。さらに街のあちこちに下関空襲の跡があることも教えていただきました。興味のある方はぜひ唐戸地区に残る史跡をめぐってみていただきたいです。このような場をつくっていただいたみなさまに感謝いたします。

最後に…こうしたイベントを通じて、市民レベルの交流を深めていくことが地域づくり部会の大きな目的です。まち歩きはイベントのなかの一つであり、今後もさまざまなイベントを通じて交流を深めたり課題を解決したりしながら、地域の力をつくっていきたいという思いが詰まったイベントでした。私たちのような若い世代はなかなかこうした場に行くことはありませんが、参加してみることで、地域の歴史はもちろんいろいろなことを教わることができる場になるのではないかな、と感じました。

また、2回、3回と続けて行く予定ですので、みなさん参加してみませんか?

 

下関市立大学の定款変更についての反対討論をおこないました。

一般質問で触れた下関市立大学の専攻科設置問題に関連しておこなわれる同大学の定款変更について、9月26日の本会議で反対討論をおこないました。同議案については、会派の違いをこえて私を含めた4議員が執行部を追及する側から一般質問をおこない、採決では3人が反対討論(賛成討論は亀田議員1人)をおこなうなど波紋を呼びましたが、賛成25、反対7、棄権1で可決されました。多くの疑問について説明がなされていませんし、とても市民の納得が得られるとは思えません。ページの最後に採決の結果を掲載しています。

以下、私の討論内容をお伝えします。

■反対討論

議案第202号「公立大学法人下関市立大学定款の変更について」に、反対の立場から討論をおこないます。

この間の一般質問でも定款変更の問題点について幾人もの方が指摘されてきました。

定款の変更内容は大きく4つあり、理事会の設置、副学長の新設と理事の枠の拡大、理事会と経営審議会・教育研究審議会の役割分担、教育研究審議会の委員数の見直しとなっています。少子高齢化のなかで今後激化する大学間競争にうちかつためには必要だといわれていますが、それは建前であり、要するに、現場の意見を聞くことなしに大学運営の根幹にかかわる重要な事項、たとえば今回のような教員の採用であったり、学部、学科の設置であったりですが、これらを理事会ですべて決めていけるようにする定款変更議案にほかならないと私は考えます。

なぜ、このような定款変更議案がこのタイミングで出てきたのか、下関市議会議員としてこの議場におられる皆様には是非考えていただきたい。そして、既存の定款からどの部分が削除され、あるいは追加され、そのことによって何が可能になっていくのか、何が不可能になっていくのかを精査する必要があると思います。

今回の定款変更を一言で言えば、市長の任命する理事長やその理事長の任命する理事によって構成された理事会の意向で、大学を好きなように運営できる仕組みに変えるものです。それこそ今議会で何人もの議員の皆さんが一般質問でとりあげ、現在の市立大学の定款から見て明らかに進め方がおかしいと指摘した根幹部分、教育研究審議会すなわち現場の教員の意向や判断をまったく抜き去ったまま、専攻科設置や教員採用を可能にするための定款変更であり、これは「大学改革」の名を借りた大学の変質を促進するものであると言わなければならないものです。

スピーディーな「大学改革」ではなく、スピーディーな変質をこの下関市議会がスピーディーに承認してよいのか、熟考が必要であると考えます。何でも「改革」といえば良いとか、早ければよいというものではありません。むしろ、なぜそんなに大慌てで急いでいるのか? それこそ専攻科設置をなにがなんでも押し通したいという意図が貫かれているようにしか見えません。自分たちのやり方が定款に触れるなら、定款を変えてしまえばよいというやり方であり、なぜ定款に触れないように正規の手続きに基づいて進めないのか。あまりにも力業(ちからわざ)がすぎるように思います。

今議会では、こうした大学のガバナンス上異常ともいわれる事態が起きている点で全国的にも大変注目されています。下関市立大学は、市長が見初めた人物を雇う大学であり、その教員採用の判断基準は現場の教員たちの意見は反映されず、市長が気に入るか気に入らないかが判断基準でよいのだと、そのように全国にも他に例がない異常な大学として世間から認識されることになりかねません。

各新聞でも大いにとりあげられ、この定款変更議案について議会がどのように判断するのか、市民の皆様もたいへん注目されておられます。全国の大学関係者の注目度も高いようです。首相お膝元の大学はさすが、やることが違うなと、「市長案件」で教員採用まで決まるのだと別の意味で記録や記憶に残すというのでしょうか。

この場におられる議員のみなさんには、是非とも懸命な御判断をお願いしたい。結果如何によっては「さすが首相お膝元の下関・下関市議会はやることが違うな」の意味合いも、別のものに変わるように思います。