自治体財政の勉強会に行ってきました。

2月18、19日の2日間、東京都立川市でおこなわれた「議員の学校」に行ってきました。前々から行きたいと思っていたのですが2日立てということもあってなかなか行けず、今回やっと参加できました。

内容が膨大ですので、何回かに分けて報告したいと思いますが、全体を通じて何度もいわれたのが、「首長は一人。それに対してなぜ複数の人が住民の代表としているのか、その意味をよく考えてほしい」という議員の学校校長であるのNPO法人多摩住民自治研究所理事の池上洋通先生の言葉です。講義は合計4つあり、池上先生の講義は今後別掲しますが、2日間を通じてこの視点がつねに問われたように思います。

まず、予算議会の前に講師の森裕之先生(立命館大学教授)から令和2年度の予算のポイントをおしえていただきました。

今回の国の地方財政対策のポイントは3つ。

1、一般財源の確保(0・7兆円増)

2、偏在是正財源を活用した歳出の計上(0・4兆円増)

3、防災・減災対策の推進

です。中身についてはいろいろあるのですが、重点項目としては

■地域社会再生事業費(仮称)

■まち・ひと・しごと創生事業費

■社会保障の充実及び人づくり革命

■緊急浚渫推進事業費(仮称)

■技術職員の充実による市町村支援・中長期派遣体制の強化

■緊急防災・減災事業費の対象事業の拡充等

■会計年度任用職員制度の施行への対応

■次世代型行政サービスの推進

■地域医療の確保

となっています。

地方創生など今年度までやってきたものを来年度以降もおこなっていくというもの、来年度から新規で始まる地域社会再生事業費、幼児教育保育無償化、会計年度任用職員制度のスタートなど、一つの項目のなかでもさまざまな事業が含まれています。これら国が決めた事業を実行するのが都道府県や市町村で、そのための財源が国から地方交付税や国庫支出金などで地方自治体におりてくることになります。

来年度予算のポイントを抑えたあとは、地方財政の仕組みやその役割について森先生が詳しく教えてくださいました。地方自治体の収入になる「歳入」は大きく分けて4つあります。1つ目が地方税。2つ目は地方交付税。これは自治体の標準的な歳出に対して地方税では足りない部分を補填するために国からおりてくるお金です。3つ目は国庫支出金。いわゆる「補助金」で、これは使い道が特定されており、内容によって補助率が決まっています。4つ目に地方債。これは使い道が特定された借金で、充当率が決まっており、こちらも一般財源からの支出が前提のものです。

前記した予算の重点項目で「歳出」が決まり、その事務をおこなうための財源が地方自治体に地方交付税や国庫支出金として入ってきます。昨今、どの自治体も財政状況が非常に厳しくなっており、下関市民のみなさんも「お金がないからできない」という行政サイドからの言葉は聞いたことがあるのではないかと思います。まず人口減少や低所得化によって税収が激減している一方で、国から地方交付税として入ってくるお金がトップランナー方式でどんどん削られ足りていないことが大きく関係しているそうです。その仕組みについては次回の記事で紹介します。

地方に「お金がない」のは事実ですが、それで市民の命、健康、生活に直結するものを削っていいのかという問題についてですが、一方で国に対して地方自治体が声をあげていくことが今とても重要になっていることを教えられました。人口が減っているからといってこれまでおこなっていた住民サービスを削ることなどできるはずがありません。住民の命と健康を支えることは憲法で定められた国の義務で、それを担うのが地方自治体であることからも、「お金がない」といって住民の福祉を削ることはやってはいけないことですし、自治体自身の首を絞めていくことになるのだと、先生の講義を通じて思いました。

では、そのためにどのように財政を見て、提言をしていかなくてはいけないのか。それを考え、決めるのは住民自身だということです。そのために必要なことは、議員が住民のもとに足を運び下関市のあり方を一緒に考え、議会で発言し、論議をつくすことなにしはありえないということです。

議員の学校で出会ったほかの市町村の議員のみなさんは、一人会派の方が多かったです。政党には属さない無所属の一人会派の方もおられれば、自民党員でありながら一人会派を貫いている方もおられました。みな市民の代表として責任もって行政のチェックをしていけるよう、財政について深く学びたいという思いをもって参加されていました。前述の議員さんの一人は、「所属会派の決定に縛られ、自分の思いをあらわせないのは議会ではない。だからあえて会派には入らなかった。それと、市民になにかを聞かれたときに“お金がない”といわない議員になってくれといわれて市民から送り出された」といわれていました。全国で市民と向き合って頑張っている方が大勢おられることに学ばされました。財政の勉強で参加しましたが、議会とはなにか、地方自治とはなにか、という立場から意見交換をし、勉強できたことは大きな収穫になりました。

28日からは3月議会が始まります。今回の勉強をしっかりと活かしたいと思います。

 

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