3月議会が閉会しました。個人質問の文字起こしを掲載します。

3月27日に3月議会が閉会しました。遅くなりましたが、今回おこなった個人質問について、執行部の答弁要旨とともに文章にて掲載します。少し長いですが、見ていただけると幸いです。また、これから市内全体の学校の給食室や調理場の再編整備がおこなわれていきます。学校ごとに説明がおこなわれていくと思いますが、これを機に市民みんなで給食について考える機会になればと思っています。ご意見等お待ちしています。

(1) 給食費について

本池 はじめに給食費について質問する。学校給食にかかわる予算として、学校給食管理業務5億5300万円、学校給食共同調理場費7億2900万円となっている。令和4年度当初予算では、学校給食管理業務が9200万円、学校給食共同調理場費が6億9000万円であり、どちらも大きく増額計上となっているが、この内容は?

徳王丸教育部長 学校給食管理業務の予算額の増については、学校給食費支援事業により、給食費の半額以上を市が負担するために、単独調理校おいて、賄い材料費や燃料費、光熱費にかかる費用を予算に計上したことが主な原因。学校給食共同調理場費における増額については、給食費の見直しにより増額となった、賄い材料費、燃料費、光熱費を予算に計上したことが主な理由。

本池 増額の主な理由は、来年度予算の重点施策の一つでもある学校給食費支援事業が大きく、給食費の保護者負担の軽減分が、それぞれ計上されているということだ。その、保護者から徴収する給食費だが、下関市では平成26年から一食当たり小学生が260円、中学生が300円で運営されており、これを保護者から徴収し、給食が運営されてきた。しかしながら、昨今の物価高騰等を受け、昨年、検討会がおこなわれ、小学生が35円値上がりし295円に、中学生が40円値上がりし340円となる。

今はあゆるものが値上がりをしており、そうしたなかで従来の金額を維持して子どもたちの食べる給食の量や栄養価がじわじわと減っていくということは避けなければならないと思うし、現状のもとでは単価については上げざるをえないことは理解する。

ただ、下関市の場合は、単価がそのまま保護者負担額となっているため保護者負担額の値上げとなっており、その半額を市が補助するというということだが、実質的な値上げとの指摘になっているのだと思う。県内の自治体に聞くと、単価は上げたものの、保護者から徴収する給食費の金額は据え置き、その差額については市が補助している自治体もある。補助の仕方についてはさまざまだが、今のところ下関市の補助内容は手厚いものであり、これが継続されれば保護者は助かるのではないか。そこでこのたび値上がりをした給食費の単価について質問するが、小学生295円、中学生340円の内訳は?

徳王丸教育部長 ガス代及び消耗品にかかる費用を小学校・中学校ともに25円と見込んでいる。それ以外の内訳は食材費として小学校は270円、中学校は315円を見込んでいる。

本池 小学校、中学校ともに保護者負担額のうち、25円は光熱費と洗剤などの消耗費ということだ。ちなみに値上げ前は260円のうち、光熱費と消耗費は18円だった。

数年前、こういう話を聞いた。「下関市の給食費の額は他の自治体と変わりはないが、光熱費を含んでいるから、食材費が減ってしまい、どうしても給食がよそよりも寂しくなってしまう」「自分の市では光熱費は市が負担している。保護者から徴収する自治体はあまりないのではないか」。こうした声を耳にし、参考までに下関市を除く県内12市の状況を調べてみた。その内容だが、まず岩国市は無償化している。萩市は現在中学生は無償化で、小学生のみ保護者負担だが、来年度からは小学生の無償化が予定されており、今審議中だ。その他、すべて柳井市から長門市まで聞いてみたが、下関市以外の市では、保護者負担は食材費だけで、光熱費や消耗費については市が負担しているということだった。保護者から光熱費や消耗費まで徴収しているのは下関市だけだ。

そして私が保護者のみなさんと話してみて問題だと感じたのは、光熱費や消耗費まで保護者負担になっていることを保護者自身が知らないことだ。小中学生の子どもさんをもつ保護者の方に聞いてみても、「明細も入っていないし、食材費だけだと思っていた」と驚かれた。

先ほどから述べているように、学校給食費支援事業(5億3100万円)については必要なことであると思っているし、賛成の立場だ。「物価高騰の影響を浮けている家庭の支援」については今もっとも必要であると思っている。ただ同時に、県内で下関市だけが光熱費や消耗費まで保護者負担としてきた事実については考えなければならないのではないか。市内のある学校の今年度の給食回数は189回だが、1食当たり25円で計算すると、年間の光熱費・消耗費の負担額は4725円。9年間にわたって払えば単純計算で4万2525円になる。2人以上子どもがいればどうか考えてみてほしい。

物価高騰下での半額支援も大事だが、より長い目で見たときに平常時の保護者負担のあり方についても見直すべきではないか。下関市で何十年にもわたって当然のように続けられてきたことではあるが、今回の予算では「子育て施策」が打ち出されていることに鑑み、県下でも下関市だけ光熱費や消耗費を保護者負担にしているという状況は変えていくべきだ。見解を問いたい。

徳王丸教育部長 ガス代、消耗品等に関する保護者の負担についてのお話だが、今までこういう議会の場で協議をされたこともなく、全体のなかでいけば食材等のほうが割合も大きいし重要なものであるので、給食費を協議するさいにはどうしても全体のなかで隠れてしまいがちな経費だ。ご指摘について他市の事例等もお調べいただいたので、こちらも調べさせていただき、これについての考え方を検討していきたい。

(2) 再編整備事業について

本池 次に、学校給食施設再編整備事業について質問する。この事業は大きく二つあるが、二つ目の新調理場の受配校以外の自校式調理室を持つ学校19校と共同調理場5場の劣化調査をおこない、給食施設の再編整備計画を策定するとある。まず、その進め方はどのようにしていく予定なのか。

徳王丸教育部長 劣化調査のすすめ方は、この結果等について今後市議会定例会でもご報告をさせていただきたいと思う。その後、再編整備計画を策定するので、その段階で、学校、給食にかかわる関係者、保護者の方等に対して適宜説明していきたい。

本池 策定の段階というのは、策定の前か後か。

徳王丸教育部長 計画案として策定した後だと思う。

本池 計画案の策定後で説明するとのことだ。さまざまな計画があるが、案からかわることはあまりなく、「これからこういう再編整備儀業が進んでいきます」「そのために劣化調査を19校と5場でやっていく」ということをアナウンスをしたらいいのではないか。

以前から給食のことにかかわって保護者のみなさんとお話をさせていただくなかで、学校給食についての関心は非常に高いと実感している。しかし、この数年、南部学校給食共同調理場の移転とそれにともなう再編整備事業を見ていると、保護者の関心の高さについて行政側の理解が浅いと思うことが多々あった。以前から保護者のみなさんの声を受け、新調理場の整備をめぐる説明会をおこなうよう求めてきたが、これまでどのようにおこなってきたのか、実績をお聞きする。

徳王丸教育部長 令和4年の第1回定例会でご報告をさせていただいた内容だが、令和3年3月に全学校の保護者に対して整備概要の説明チラシを配布させていただいた。

受配校となる学校の保護者に対しては、新学校給食センターを整備・運営する事業者をどのように決定したのか、事業者の提案内容、今後のスケジュールなどを記載した説明資料を添付し、合同説明会をご案内をさせていただいた。令和3年11月に勝山公民館、彦島公民館で合計4回説明会を開催させていただき、参加者は合計43名。

本池 あわせて、新調理場の進捗状況と公表方法は?

徳王丸教育部長 令和4年9月28日に起工式が執りおこなわれ、現在基礎工事中だ。予定通り進捗している。工事のスケジュールや進捗については、令和4年の市議会定例会で報告をさせていただき、答弁もおこなっている。ただ、広く公表という形ではおこなっていない。

本池 合同説明会には43人、そして現在の進捗状況はわかったが、それを広く公表するということはしていない。先ほども申し上げたが、以前から、子どもたちの給食についてはかかわる人も多く、しっかり説明会をしてくれといってきたが、こういう説明の状況で十分だとお考えか。

徳王丸教育部長 丁寧に、場面場面では公表なり報告なり必要な場面では心がけているが、もしも不十分というご指摘があれば、謙虚に受け止めさせていただきたい。

本池 あえて新調理場の状況を聞いたのは、来年度から着手する学校給食施設再編整備事業が、新調理場と同様に保護者や給食にかかわられるみなさんがなにも知らないまま進められ、「もう決まったこと」として伝えられるのではないかと危惧しているからだ。

新調理場の保護者説明会に関していえば、当時は対象校23校だったが、それぞれ学校ごとに実情がまったく違う。すでに南部調理場の受配校の保護者は配送時間がかわることを気にしておられたし、自校式の保護者からは共同調理場になることへの不安が聞かれた。共通するものとしてはアレルギーへの対応などもある。学校によって保護者の不安はまったく違う。

その保護者たちをたった2カ所の会場に集めること自体、乱暴だったのではないか。しかも日時まで一方的に指定していた。お母さん方からは「晩ごはんの時間でワンオペなので行かれない」「車がないのでその時間は行かれない」という声をたくさん聞いた。実際に、説明会の会場でも「なぜ説明会が彦島であるのか」という質問を受けたと思う。

保護者や関係者への説明を求め、市民への計画の公表を求めた署名も当時おこなわれた。さまざまな要望が出るなかで、「地産地消」などの部分についてはとりくんでおられることはわかるが、学校給食の提供体制が大きくかわりつつある今、その進め方については保護者や多くの関係者を巻き込んで議論をしていくことが必要だ。新たに始まる再編整備計画の策定が、保護者や関係者を置き去りにした進め方とならないよう強く求める。

(3) 共同調理場の運営について

本池 続いて、共同調理場の運営について質問する。1月25日、市内の9校・2850食分の給食を提供している中部学校給食共同調理場で、水道管の凍結により給食が提供できない事態になった。まず事実関係だが、事態が発覚したのが午前7時30分ごろ。業者を呼んでも復旧が間に合わないという判断で、給食提供の中止を決定。その後、8時30分頃から各学校に一報を入れたとのことだ。保護者のもとには学校から10時頃に午前中授業で帰宅させるというメールが入っている。結果的に、保護者は仕事の真っ最中である午前10時過ぎから対応に追われ、子どもたちの帰宅に備えたり、迎えに行ったりしている。「いきなり午前中で子どもを帰らせますというのは本当にやめてほしい」「給食を中止し、子どもを帰らせるという対応しかできなかったのか?」というお叱りの声をたくさんいただいている。なぜこのような対応になったのか。

徳王丸教育部長 寒波による水道管の凍結の防止策については前日の1月24日から水栓を一部開放して常時水を流した状態にしていた。25日の当日、寒波の影響を考慮し、約30分早めの午前7時ごろから調理を開始したが、30分経過後の7時30分ごろに調理場内すべての水栓から水が出なくなった。その後、共同調理場と学校保健給食課において水道事業者への緊急対応連絡をおこなうとともに、復旧に向けた対応や給食の一部のみの提供、あるいは共同調理場以外からの代替食の提供についても対応を試みたがかなわず、8時30分頃に給食中止を判断し、各学校、給食関係者に連絡した。凍結したのは、屋外の受水槽の貯水レベルが下がると給水信号を出す配管部分に当たり、前日からの配管内の水が凍結しないようあらかじめ放流はしていたが、その水量が少なく、給水指示の信号が出る前に凍結したものと思われる。

本池 当日は、「最強の寒波」の到来だったので、水道管の凍結は仕方がないと思う。ただ、そのような事態になったときに、本当にあらゆる可能性を探り、検討したのか思い返していただきたい。当日、牛乳とご飯の提供は可能だったと聞いている。そのうえでどうすればいいのかと部局をこえて知恵を絞ったのか、センターだけで決めたのではないか。いい方をかえれば、センター任せにしたのではないか。実際にそう思える対応だった。

水道管の凍結に限らず、想定外の出来事は起きるものだ。そうした非常事態になったときこそ、自治体の現場力が試される。質問だが、下関市の学校給食共同調理場は、非常時にはどのように対応するようになっているか。下関市学校給食共同調理場設置条例には、「条例の施行に関し必要な事項は教育委員会が定める」となっている。規定ではどうなっているのか、マニュアル等があるのであれば教えてほしい。

徳王丸教育部長 令和4年1月24日、25日にかけての非常に強い寒波の襲来により、中部調理場において凍結したこと、そのさいに受配校である小中学校の児童・生徒のみなさま、保護者のみなさま、学校関係者各位、多大なご迷惑をおかけしましたこと、まことに申し訳ございませんでした。改めてお詫びを申し上げまる。

非常事態にかかるマニュアル等についてだが、調理や衛生管理に関するマニュアルはあるが、施設が機能不全をおこした場合の対応についてのマニュアルはない。各場において提供する給食の食数が異なること、設備機器もそれぞれ調理室によって異なるなど、各種設備の故障等への緊急対応が可能な業者の連絡先リストや、物資の納入業者の緊急連絡網はあるので、当日の対応はおこなっている。

本池 調理や衛生管理についてはあるが、機能不全というものについては難しいということだ。今回のできごとをうけて、来年度からどうするかを考えるうえでは、なにかしらの事態を想定し、管理マニュアルをつくるなどするべきだ。毎回保護者に連絡し、帰宅させるのか。まだ家にお母さんがいるという時代ならよかったのかもしれないが、今は共働きの家庭がほとんどだ。片親の家庭なども増えている。今回、一時的に子どものお迎えにいったり、ご飯を準備した保護者の方も、仕事に戻った方々も多かったそうで、中学生にもなると学校から帰ってコンビニに買いに行った生徒も多かったようだ。結局コンビニで買わなければないのであれば、給食中止を判断した時点で対応するべきではなかったのか。

同日の下校時、保護者に当てて、お詫びの手紙が配られている。その文中に、「今後、このようなことが発生しないよう対策を講じてまいりますので」となっていますが、「このようなこと」はどのようなことを指しているのか、教えてほしい。

徳王丸教育部長 当日になって学校給食を注視するという判断をおこなうような事態を「このようなこと」と申し上げている。給食中止によって、午後から授業をきりあげて下校してもらうなど、大きな影響があった。このことを非常に重くうけとめて、今後このようなことがないようにしてまいりたい。

本池 その後どのような対策を講じたのか。

徳王丸教育部長 凍結した部分については交換をすべて完了した。また水栓の開放水量についても調整をおこなっている。その後、凍結のおそれがある日があったが、異常なく運営できている。凍結だけでなく、その他の不測の事態に備え、献立において、調理場で長期間保存可能な物品、こういったものを改めて検討し、完全中止にするような事態にいたらないような対応策を検討し、準備を今後していきたい。

本池 凍結というのはありうるし、凍結に限らずいろんな事態が起きると思うので、そういうときにどうするかという対応をとっていることが、自治体の強みになるし、必要であるように思う。

ついでに申し上げると、このたびの騒動のなかで納入業者も非常に困っておられた。一部で、給食用に用意していた大量の食材が引きとられず、「お金は払うから自分たちでどうにかしてほしい」という対応になったからだ。民間の常識からしても、納入を受ける側が、その日になって「引き取らない」というのはありえないと話題になっていた。これがもしも8000食規模(市が建設を計画する新給食センター)だったらどうかと想像してみてほしい。

本池 一番最初に共同調理場日の増額計上についての内容を聞いたが、それは値上げ分ということだった。私はこのたび(1月25日)の事態をうけて非常事態の対応がなされたのかと思ったが、そうではなかった。だが、長期保存のきくものを想定しているということだったので、それはぜひやってほしい。必要であれば、例えば、中部調理場であれば目の前に市場もあった。教育委員会だけの枠で考えず知恵を働かせて考えていただければと思う。

下関市で育つ子どもたちのため、働く保護者のため、生産から提供までかかわるすべての方々のために、「なにがあっても大丈夫だ」「安心して子育てをしてください」といえる体制に整えていただきたいと強く要望する。

このたびの新年度予算は「子育て支援」が大きな最重要施策となっている。学校給食に絞って質問したが、一言で「子育て支援」といっても、求められる支援の内容は非常に具体的だ。給食費のことも調理場のことも、市民がどう思っているかは聞こうとしなければわからないし、惰性でやっていても市民の実情には答えられない。今やっていることが本当の意味で市民みんなのためになっているのか、日々問い続けながら市政運営をしていただきたいと訴え、質問を終わる。

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