正副議長の公用タクシーチケット不正使用問題について、議会事務局に再質問しました。

下関市議会の正副議長の公用タクシーチケットをめぐる問題について、なぜ公務ではない私的な飲み会等の帰りに税金を使って帰宅できる状態になっていたのか、規定ではどうなっていたのかを明らかにするために、昨年10月17日に議会事務局に対して質問書を提出していました。ところが同11月6日に返ってきた回答は非常に不誠実と感じるものでした【11月17日に報告済み】。質問と回答に関しては下の【表】の通りです。

この回答ではなにもわかりませんので、その内容について再度確認させてほしい旨を伝え、昨年11月27日に議会事務局の担当職員とやりとりをしてきました。12月議会を挟んだために遅くなりましたが、その内容についてご報告いたします。

1、2について

まず、質問事項の1番「平成30年9月時点において、公用タクシー券は正副議長に使用の都度一枚ずつ渡していますか。それとも予めタクシー券の綴りを渡していますか」、2番「平成30年9月時点において、公用タクシー券を渡すときに、その都度使用目的を聞いていますか」です。正副議長が公務証明のない日にもかかわらず豊前田や唐戸の歓楽街から夜10時~12時に公用タクシーチケット(税金)を使って帰宅していた――この事実について、なぜ公金でそのようなことができるのかという疑問です。当時、1枚ずつ渡していたのかどうか、渡すさいには使用目的を確認していたのかどうかを尋ねていました。使用目的を聞いて1枚ずつもしくは(必要枚数を)渡すようにしていれば飲み会帰りに使いたい放題などできないはずです。

これに対する回答が「従前の方法により、処理をおこなっている」ということでしたので、具体的にどういうことなのかを尋ねました。

この日応対したのは、議会事務局庶務課長(議会事務局参事)と庶務課長補佐ですが、その回答は要を得た答弁とはいいがたいものですので、要約しますと、「これまでの判断基準や運用を引きついでいるため、(当時も)1枚ずつ渡していただろうということだ」とされ、必要枚数を渡していたのかは「そうだと思います」、使用目的を聞いていたのかは「聞いていたと思います」とのことです。

つまり、現在の担当である議会事務局庶務課では、これまでの判断基準や運用を引きついでおこなっているので、「引き継いでいる」ということは平成30年当時も当然同じようにやっていた「だろう」ということのようです。回答のなかでは「引き続いてやっていますとしか答えられない」といわれるのです。やりとりのなかでは「当時の担当ではないので」という言葉もいわれており、非常に無責任な回答です。

ちなみに、判断基準を引き継いできているといわれていますが、令和2年に文書化する前は文書もなく「口伝」であり、職員の方々の頭のなかに判断基準はあったようです。市役所の仕事とは思えませんが、その結果として公用タクシーチケットが使い放題になっていた事実からみると問題視されて当然です。

3~6について

次に3~6についてです。
質問事項への回答としてはすべて「取扱要領に則り、使用している」となっています。しかし、平成30年9月時点では、公用タクシーチケットの使用の基準となった文書はないと情報公開請求によって確認済みであり、であれば、いったいなにに基づいて公金の支出がなされたのでしょうか。この点について事務局は、「質問1、2では時点を特定されているが、3~7については今現在の状況を回答している」とのことです。「今時点」とは令和2年7月に判断基準を明文化した「取扱要領」に沿った今現在の運用を指しています。

質問書の質問事項は1番からすべて関連しているものであり、事務局職員の言葉は議員の質問やその背後にある市民の思いをばかにしていると思いますが、そういうのであれば、今後のやりとりで追及させていただくことにし、質問を進めました。

具体的な内容に関してはそのままやりとりをお伝えしても非常にわかりにくいので、とくに4番と6番について報告させていただきます。

「用務」について

4番では、「用務」と私用の区別について尋ねていました。

歴代正副議長の公用タクシーチケットの使用問題の重要な部分として、「公務」でないのに公用タクシーを使い放題にしてきたことと、その弁明として公務ではないが「用務」だったということがいわれています。しかし「公用タクシー」でわかるように、本来、公用タクシーチケットは議長副議長の公務にしか使えないはずのもので、この「用務」によって使用範囲を大幅に広げている問題が浮き彫りになっていました。しかも他の自治体では「用務」なんて言葉は使われていません。改めて、「用務」とはなんなのか、私用との区別はどうなっているのかを質問していました。そのやりとり(要旨)は以下のとおりです。

事務局 公務というのは正副議長の仕事で、正副議長であってなおかつ議員だから正副議長のなかの公務のなかに議員の活動が含まれる。公務でなくても議員の活動として、例えば私用でないもの。

本池 議長であって議員であるというが、議員には公用タクシーチケットはない。

事務局 でも判断がつかないことだってある。

本池 案内文書がなかったりとか?

事務局 公務のなかには文書のない公務もある。決裁事務であったり。

本池 豊前田や唐戸の飲み屋街から公用タクシーチケットを使って帰っていたから問題になっており、使用についてその規定がどうなっているのかを聞いている。「例えば公務ではない会合(飲み会を含む)等に出席した場合、どのような条件を満たせば私用ではなく〈用務〉として、認められますか?」に答えてほしい。

事務局 ここは現在の状況を回答させてもらっている。判例等を見たり、業務の内容、市民団体、関係団体との意見交換の場もあるので、一概に豊前田であるとか、10時~11時というのがあったとしても、夜になることもあるし、実際に意見交換の場はどこであってもゼロではない。そういうところは総合的に判断する。それを取扱要領に沿ってやっている。なおかつそれが正副議長であり議員であるということもあるから、そこは用務であると判断することもある。逆に聞きたかったのは、「私用」という判断基準はなんなのか。

本池 公用でなければ私用ではないか。

事務局 「公用」というのはなんなのか。

本池 正副議長としての仕事は公務であるが、それ以外で(公用タクシーチケットが)出ているのはおかしい。公用タクシーチケットなんだから。

事務局 では本池議員は公務以外の「用務」が認められないというのか。

本池 庁舎内である仕事は公務だと思う。夜遅くに帰るのが「私用」なのか「用務」なのか、その判断基準をどうしているのかと質問している。

事務局 用務というのは、議長としての立場がある前提で議員としての立場もあるということだ。多分(本池が)完全に公用と私用で考えているのだと。

本池 議員としての立場があるのはわかるが、議員には公用タクシーチケットはない。だからここの基準は明確でなければならないといっている。議長として求められているもの以外は。タクシーチケットは人に対して出ているものではなく、役職に対して出ているものではないのか。

事務局 議長としての立場で要望をお聞きするということはありますよね。そこと議員の部分が混在している可能性がある。

本池 混在していたら公務ではない。

事務局 議長としての立場でお聞きするというところでは、議長としての…

本池 それは議長の仕事だ。

事務局 だから用務も公用タクシーチケットを使っていいという…

事務局 判例等を見ながら総合的に判断して運用している。

以上が「用務」をめぐる主なやりとりになりますが、議長と議員の立場が混在するといわれても意味がわかりませんし、途中でなぜ私が質問されているのかも不明です。いずれにしろこれで市民が理解し、納得できるでしょうか。「用務」「私用」の区分については令和二年当時に一般質問でとりあげたさいにも代表監査委員から明確な回答はありませんでした。曖昧な表現で使用の範囲を拡大しているとも受け取れますし、納得できるものではありません。

知人送りについて

次に6番「私的な会合(飲み会を含む)から帰るときに知人を送って大回りして帰るのも適正使用ですか。例えば、平成31年3月22日の吉田副議長(当時)の知人送りでの使用についても適正使用ですか?」という質問についてです。これに対する回答が「取扱要領に則り、使用している」というものです。答えになっていません。

議員が私的な会合(飲み会含む)から知人を送って大回りして帰る――これは自費であってもやってはいけないことです。ましてやそれを公金で出しているのは大問題であるはずです。

とくに質問事項にある平成31年3月22日の使用に関しては、実際に支出をしていることですので、なぜそれが許されたのかは重大な関心事です。これに対し「取扱要領に則り、使用している」とは前半部分だそうで、後半の平成31年3月22日の知人送りの使用に関しては「適正使用であるか否か」を何度も聞いていると、「適正と思っているから支出しているんだろう」といわれるので、「こういう乗車をよしとする判断基準があるのか」と聞きますと、「ここ(質問事項)に書かれている内容でイエスかノーかは答えられない」との答えでした。ですので「平成31年3月22日にどのような乗車があったのかの材料は事務局が持っているはずだ。それを総合的に見てどのように適正と判断したのか」と尋ね、その後のやりとりで結局最終的には「今答えられる資料がないから回答できない」としつつ、「ただ、そうした基準に則って判断されたのだろう」とのことです。現在そうしているから当時も、やっていただろうとのことでは明確な回答にはなっていないと思います。

8について

最後に8番「①議会費の使用については、税金使用に係る行政の説明責任はないと考えていますか。あると考えていますか。②説明責任があるとするなら、どこの部局が説明すべきですか」についてです。回答は「一般・特別会計決算審査特別委員会等で説明責任を果たしている」とのことでした。

再質問でのやりとりですが、決算委員会等の「等」とは総務委員会とのことでした。また「そうした委員会(決算特別委員会、総務委員会)でこの件に関する質問があろうがなかろうが、市民への説明責任を果たしたという考えか」と問いますと、そうだとのことです。これまでにこの問題(公用タクシー券の使用問題)に関する質問があったのか、直接的な説明をしたのかを聞くと、「タクシーチケットだけのことで事務局がということはない」とのことでした。質問もなく回答もしていないのに「説明責任は果たしている」ということです。

以上が、不十分な回答に対する再質問とそのやりとりです。少々複雑でわかりにくいため、市民のみなさまには申し訳ありませんが、12月議会後も「タクシーチケットのことは最後まで頑張ってほしい」「今の下関市を象徴する問題だから最後まで追及してほしい」との声もいただき、ここでやめるわけにはいかないとも思っています。昨年10月からの議会事務局とのやりとりは、令和2年6月にこの問題について一般質問をしようとしたさいに「本会議で質問しなくても、議会事務局に聞いてもらえれば職員が答える」といわれたことに基づいています。それが11月6日の回答(表の回答)と、今回のやりとりです。事務局に聞いてもらえれば、といっていたのにこの状態ではなにも明らかになっていません。質問事項を都合よく解釈し部分的に回答をしたようにしているだけのような印象です。これで市民が納得すると思っているのでしょうか。

元旦から震災もあったほか、下関市政に関してもさまざまありますが、市民の代表である議員が税金を飲み会帰りのタクシー代に使うなどあってはならないことで見逃すことはできません。議会事務局とのやりとりを経てさらに疑問点がでてきましたので、問題が解決されるまで議会事務局に聞いていこうと思います。

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